デッドバグを2週間続けたエディター。「体幹の締め方」をマスター!
「体幹を締める」って、こういうことか。
体幹を鍛えるのは、力強く走る上でも、重いウエイトを上げる上でも、ケガのリスクを減らす上でも非常に重要。ところが、パーソナルトレーナーのサム・マクゴーワンの言葉を借りると、体幹は普段から運動しているにも関わらず「フニャフニャ」。
「体が支えられるように体幹を鍛えるのは非常に重要です。体幹がフニャフニャで弱いと、体が安定しませんからね」とサムはいう。
もっとケアが必要なことは分かっていたけれど、世の中には、体幹のエクササイズより楽しそうなワークアウトがあるでしょ? 今回はイギリス版ウィメンズヘルスのエディターより、腹筋も鍛えられる体幹トレーニングをご紹介。
ウィメンズヘルスの実験でスクワットを2週間続けたイギリス版ウィメンズヘルスのエディターは、体幹をコントロールすることの重要性を身に染みて感じたそう。実験の中盤では、理学療法クリニック『TenClinical』のトレーナーでバイオキネティシストのナターシャ・キンタルがエディターのスクワットを複数の角度から録画して、バランスの悪いところや弱いところを見てくれた。
そこで指摘されたのも体幹。体幹が弱いがために、スクワットをすると背中が曲がる。
ナターシャは「この姿勢で負荷やウエイトを増やしていくと、腰を痛める」危険性があることを教えてくれた。
本格的な筋トレのあとは毎回決まって腰痛を感じていた。軽度の脊柱側弯(そくわん)症を持つエディターは、その副作用と決めつけていたけれど、体幹を鍛えれば、筋トレ翌日の腰痛から解放されるかもしれない。
腰に負担のかからない体幹のコントロールを身に付けるため、サムが勧めたのはデッドバグ。これを2週間続けたら、どうなるのだろう? でも、その前に基本的な情報を見ていこう。
デッドバグとは
幸いにも死んだ虫(デッドバグ)が使われることはないけれど、デッドバグは、いまにも死にそうな虫のように、あおむけの状態で反対の腕と脚と同時に動かす腹筋エクササイズ。
このエクササイズで鍛えられるのは?
・腹直筋(シックスパック筋)
・腹横筋(体幹深部)
・腰
・腹斜筋(胴体の横を走る筋肉)
【デッドバグの正しいやり方】
認定ストレングス&コンディショニングスペシャリストでスポーツ科学者のルーク・ウォージントンは、クライアントのワークアウトプログラムに普段からデッドバグを盛り込んで、以下のポイントを伝授している。
【デッドバグの準備】
床かマットの上であおむけになり、背骨をできるだけ地面に付ける。二重アゴにして、ベルトのバックルを外すイメージ。
両腕を天井に向かって伸ばし、股関節とヒザを直角に曲げ、スネを地面と平行にする。
デッドバグの動き
背骨を床につけたまま、左腕を頭上に伸ばし、右脚を前に伸ばす。
脚を伸ばしながら、かかとを押し出し、つま先を自分に向ける。伸ばした脚で立っているのをイメージして。
腕と脚を伸ばしながら息を吐き切る。
かかとが地面に付く前に伸ばした脚を元に戻す。
デッドバグが効果的な理由
デッドバグがすごいのは、表面だけでなく深部の腹筋も鍛えるから。
体幹の強化には、腹直筋よりも奥にある腹横筋を鍛えるエクササイズが必要。だからクランチやシットアップでは不十分。
また、動作がスローなデッドバグではフォームに集中しやすく、勢い任せになりにくい。
「デッドバグは間違いなく、効果的で安全な体幹エクササイズの1つです。腹筋のエクササイズにはペースが速いものが多いです。ペースが速いとフォームが崩れ、腰を痛めやすくなります。横になって行うデッドバグでは、腰を痛める心配がありません」とサムはいう。
2週間のデッドバグから学んだ5つのこと
今回の焦点はデッドバグ。疲れるとフォームが崩れやすくなるし、このエクササイズは何が何でもマスターしたいという思いから、ウォームアップ後、他のエクササイズをする前にデッドバグを8~10回x3セット行った。
それを14日間続けたエディターの感想は?
1.見た目ほど簡単じゃない
あおむけでやるエクササイズだからといって侮るなかれ。おなかをさすりながら頭をたたいたことはある? 反対の腕と脚を同時に下ろすのは、そのくらいややこしい。
この動きに脳が慣れたら、今度は背中を床から離さないよう意識する必要がある。最初はこれが難しいそう。幸いにも、デッドバグは難易度を下げるのが簡単なので、最初の数日は基礎的な練習をした。まずヒザを曲げたまま脚だけを動かして、つま先で床をタッチする。
これができるようになったら脚を伸ばす。まだ腕は動かさない。これを6日間続けたら、やっと普通のデッドバグができるように。
2.腰痛持ちの人にオススメ
このエクササイズで腰痛が本当に改善したそう。
体幹がフニャフニャだったということは、体幹のエクササイズをするたびに腰が苦しんでいたということ。体幹のエクササイズのほとんどが腰に負担をかけるのに、どうやって体幹を強くして腰痛を緩和できるのか?
その答えがデッドバグ。正しいフォームで行えば、腰が全然痛くならない。しかも、デッドバグで身に付けた体幹のコントロールは、他のワークアウトにも波及する。
3.ランナーにも非常にオススメ
体幹が強くなると、はしりが良くなるのは周知の事実。よって、定期的に何らかの体幹エクササイズを行えば、目標の自己新記録が近づく可能性もある。
その点、デッドバグには1つ大きな強みがある。反対の腕と脚を同時に動かすデッドバグは、ランニングの動作に似ていない?
「デッドバグでは四肢を動かしている間、ずっと体幹が使われます。あの状態がキープできるということは、走っているときも背筋を伸ばし、上半身を安定させて背骨と腰を守れるということです」とサム。
そこでエディターは、チャレンジ期間の10日目に走ってみることにした。月に2~3回しか走らず、5kmが限界という。だから余計に短期間で違いを感じた可能性はある。
もちろん、大きな変化じゃない。『Strava』アプリで“ストップ”を押したときの疲労感と、ヒザ・腰の痛みが前より少なかっただけ。でも、たった数日の体幹エクササイズでこの結果なら、決して悪くないのでは?
4.「体幹を締める」感覚がよく分かるようになる
体幹を締める感覚は、難しい。「強烈な突風に吹き飛ばされそうなときや、おなかにパンチを喰らいそうなときと同じ体幹の使い方ですよ」という説明のほうが分かりやすい。それでも汗をかきながら、この状況を想像するのは困難。
ところが、デッドバグを初めて1週間がたった頃、突然「締める」の意味が分かったというエディター。表面の腹筋だけは、正しいフォームでゆっくり動けない。デッドバグ中は体幹が深部まで緊張し、腕と脚を伸ばしたときは体が震えるほど。
いきなり「締める」の感覚がつかめるなんて、これは単なる気のせい?
「決して気のせいではありません。デッドバグを正しくやれば、体幹を締める感覚が間違いなく分かるようになりますよ。練習すればするほど締めるのがうまくなり、それが自然になっていきます」とサム。
腕と脚をゆっくり動かすことにプラスして、体幹を意識するのは難しい。でも、この「締める」感覚を意識しながら他のエクササイズをしているうちに、本当に自然と体幹が締められるようになってきたという。そして何よりうれしかったのは、レッグデーの翌日の腰痛が消えたこと。
5.毎日やる必要はない
デッドバグの恩恵は、毎日欠かさずやらなくても受けられる。
エディターの場合、1日3セットやることによる負の影響は感じなかった。でも、サムの話では週に2~3回くらいのほうがいいかもしれない。
「デッドバグを初めてやる場合は特に、間隔を空けたほうがいいでしょう。ウエイト付きのスクワットほど難しそうには見えません。でも、普段使っていない筋肉を使う可能性はありますし、やるなら効果を出したいです。筋肉の使いすぎは逆効果になります」
2週間で、エディターはすっかりデッドバグのとりこに。でも無理せず、1日置きでトレーニングに励むそうだ。
※この記事は、イギリス版ウィメンズヘルスから翻訳されました。
Text: Kirsti Buick Translation: Ai Igamoto
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