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1本のペットボトルがレギンスになる。リサイクル手順9
ある企業が教えてくれた。
去年の10月、誰かが1本のペットボトルをリサイクルボックスに放り込んだ。それがいつの間にかオシャレなレギンスになって自宅に届いた。
『Girlfriend Collective』(以下GC)は、再生材からアクティブウエアを生産している。その一例として、ミッドナイト・コンプレッシブ・ハイライズレギンスは、25本のペットボトルから作られるそう。でもこの企業の共同設立者でCEOのクアン・ディンいわく、GCはサステナブルな製品を顧客に届けることをミッションとして設立された珍しい企業。今回はアメリカ版ウィメンズヘルスよりペットボトルからレギンスを作る工程についてご紹介。
ディンによると、GCのレギンスは二酸化炭素の排出量が通常のレギンスよりも推定4374リットルほど少ない。そして、この企業は昨年だけで250万本のペットボトルを再利用した。でも、一体どうやって?
ペットボトルからレギンスを作る(シンプルとは言いにくい)9ステップをみていこう。
1.プラスチックの塊を購入する
台湾でリサイクルボックスに入れられたペットボトルは、トラックで台中市の分類センターに運ばれる。
ここでは数々の機械を用いて、さまざまなプラスチックのボトル、バッグ、箱から、タイプ1のプラスチック(リサイクルマークの中に“1”という数字があるもの)だけが取り出される。
タイプ1のプラスチックは別の機械でつぶされて、高さが1m以上の巨大な塊になる。
GCのような企業はタイプ1のプラスチックの塊を購入し、レギンスなどの製品を作る。
2.プラスチックの塊は、民間のPET処理センターに運ばれる。
計量した後、塊からキャップやラベルが取り除かれて、プラスチックは色別に分類される。
レギンスに最適なのは透明のペットボトル。透明のペットボトルは染めやすい糸になるという。
3.機械で粉砕する
数時間後、裁断・洗浄されたペットボトルは巨大なブレンダーのような機械で粉砕される。
この工程を経てプラスチックは、指の爪の半分くらいの大きさの“チップ”になる。チップは洗浄・計量・こんぽうされて、トラックで台湾にある別の製造工場に送られて糸になる。
4.機械で溶かし、細かい繊維を作る
チップは巨大なポットの中で溶かされて、冷却されたのち同じサイズのペレット(小さな球)に姿を変える。
ペレットは押し出し機というシャワーヘッドのような機械の中で溶かされて、非常に細かい繊維になる。
この繊維は紡糸機によって束ねられ、ねじられて糸になり、大きなボビンに巻き付けられる。
5.肌触りのいい生地にする
この糸は製造工場から台湾の編み物工場に送られて、タコのような巨大な機械でスパンデックスと一緒に編まれて生地になる。
これがGCの4方向ストレッチ素材。そのままだと表面がザラザラなので、この工場の別の機械で少しだけ研磨して肌触りをよくしている。
6.サステナブルな方法で染色する
柔らかくなった生地は、プラスチックを溶かしたのと同じ製造工場に送られて染色される。
この染色過程はサステナブルで環境にとてもやさしい。
まず染色に使われた水は冷却・洗浄されてから、その地域に戻される。そして、“染料泥”と呼ばれる染色の副産物は舗装工場に送られて、歩道や敷石に使われる。
「バッチごとに調合を変える必要があるあたり、再生材の染色はアートです」とディンは話す。
なぜ調合を変えるのか? それは、不透明なプラスチック(マウンテンデューのペットボトルなど)が必然的にバッチに混入してしまうから。
7.人の手によって裁縫し、衣類を作る
染色された素材は船でベトナムのハノイに送られ、裁断・縫製されて衣類になる。
この素材からGCのコンプレッシブ・ハイライズレギンスが作られて、洗濯表示、タグ、GCのロゴが付けられる。
ここまでは、ほとんど機械がやってくれるけれど、裁断・裁縫は人の手によるもの。GCは公正な賃金体系と、安全かつ健康的な職場環境を従業員に提供している。
8.完成したレギンスを発送する
完成したレギンスは空輸で香港の発送センターに送られる。
そしてネットで注文が入るまで他の衣類と一緒に倉庫で保管される。
注文が入ったら、スタッフがレギンスをこんぽうし、送り状を貼って発送する。
9.国際発送は、環境に配慮した方法を選んでいる
アメリカ行きのレギンスはロサンゼルス空港に送られてから仕分けされ、最終目的地に輸送される。
パンデミックによる飛行機の運休と貨物スペースの縮小により、2020年前半はGCの配送に約2週間の遅れが生じた。
世界中がペースダウンしたままなので、いま現在も1週間程度の遅れが出ている(注文してから届くまでに最長3.5週間かかるということ)。
国際配送が環境に与えるインパクトを最小限に抑えるため、GCのレギンスは、貨物スペースを少し残した商用便に乗せられる。
使用済みのレギンスは再びリサイクルが可能
GCの送り状を7ドルで購入すれば、使用済みのレギンスが返送できる上に、GCから15ドル分の“ありがとうクーポン”がもらえる。返送されたレギンスはノースカロライナ州にあるUnifiという会社でサステナブルな繊維になり、さまざまなアイテム(衣類やカーシートなど)に姿を変える。
アップサイクル・アクティブウエアには着てみるだけの価値がある。
ペットボトルを再利用してレギンスを作る企業は多数ある。環境にやさしいレギンスを選んで、トレーニングに励もう。
※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。
Text: Lauren Del Turco Translation: Ai Igamoto
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