走ることと犬が好きなら、ランニングにもっとも適した犬種が知りたくなって当然。 ほとんどの犬は走るのが好き。でも、その程度は犬種によって異なるし、一部の犬種は長距離ランに向いていない。また、暖かい気候を好む犬もいれば、寒い気候を好む犬もいる。自分にピッタリのランニングパートナーは、一体どの犬種なの?

ハスキーやグレーハウンドは走るために生まれてきた犬種だし、使役犬の大半はランニングに向いている。その一方で、パグやブルドッグのように鼻がクシャッとしている犬は体温が上がりやすいので、長距離ランに向いていない(例外はあるけれど)。

いろいろと調べるうちに、長距離ラン、雪の中や複雑な地形では、一部の犬種が圧倒的に有利であることも分かった。

人間と同じで犬にも好き嫌いはあるけれど、適切なトレーニングと辛抱強さ、専門家のアドバイスさえあれば、愛犬と走ることは十分可能。


一緒に走り出す前に

どんな犬も、まずはトレーニングでランニングに慣れさせて。最初は愛犬とコミュニケーションが取りやすい楽なペースで(愛犬を追いかけて息が切れることのないように)、3~5kmを週3~4回。

そのペースで1週間ほど走ったら、翌週は最初の3~5kmに1kmまたは10分をプラスする。それでも愛犬が余裕なら、その週末にペースを上げる、または1回余分に走るといい。このトレーニングを1カ月ほど続け、この距離を愛犬が余裕で走れるようになったら、1日の走行距離を6~8kmに伸ばしてみよう。

また、犬も人も週2日、それが無理なら最低週1日は体を休めるべき。


プロによるトレーニング

時間的な制約で毎日一緒に走れない人は、地元のドッグランナーを探してみよう。プロに任せれば、犬が無理なくランニングというスポーツに慣れるので、あなたが週末に連れ出すのも楽になる。

最後に:ランニング中に愛犬がウンチをしたら、後続のランナーのためにも、必ず止まって拾うこと。

また、愛犬と走るのに便利なツール(ハンズフリーリードや折り畳み式フードボールなど)の購入も検討しよう。

あなたにピッタリのランニングパートナーは?

今回アドバイスをくれたのは、プロドッグトレーナーでドッグトレーニングに関する本の共著者でもあるJT・クラフ、プロドッグランナーのブライアン・バレラ、犬のトレーニングとランニングを楽しむ動物行動学者のカレン・ロンドン、そして米国の愛犬家団体アメリカン・ケネル・クラブ。

地元の動物保護施設にいる混血種が素晴らしいランニングパートナーになることもある。次の20の犬種の血が少しでも入った子なら、みんな素質があると思って。犬種や個体による差異は必ずあるけれど、このリストを参考に理想的なランニングパートナーを見つけてほしい。


ワイマラナー

purebred weimaraner dog outdoors in nature
Bigandt_Photography//Getty Images

得意分野:一定ペースの長距離ラン、ハイペースのランニング、トレイルラン

筋肉質でエネルギッシュな中型犬のワイマラナーは、素晴らしいランニングパートナー。「ワイマラナーには尋常じゃない量の運動と精神的な刺激が必要です」とクラフ。「ご主人にくっついていたいタイプなので、ランニングパートナーにピッタリですね」


ジャーマン・ショートヘアード・ポインター

dog sitting on field
Egle Kasparaviciute / EyeEm//Getty Images

得意分野:一定ペースの長距離ラン、ハイペースのランニング、トレイルラン

中型の猟犬ジャーマン・ショートヘアード・ポインターは、賢くてエネルギッシュ。どんなタイプのランニングにも喜んで付いてくる。「トップスピードが高い機敏なランナーですが、長距離も無理なく走れる体のつくりをしています」とバレラ。


ショートヘアード・ハンガリアン・ビズラ

vizsla running
Hillary Kladke//Getty Images

得意分野:一定ペースの長距離ラン、ハイペースのランニング、暑い日のランニング、トレイルラン

クラフによると、ショートヘアード・ハンガリアン・ビズラはエネルギーの塊。1日1時間のエクササイズを必要とする犬種なので、飼い主もアウトドア派であることが好ましい。「どんなタイプのランニングにおいても、ビズラをしのぐ犬はいません」とバレラ。「ビスラは本当に多芸多才。広い歩幅を活かして広範囲をカバーするのも、一定ペースで長い距離を走るのも余裕です」


パーソン・ラッセル・テリア

jack russell parson terrier running toward the camera
Obradovic//Getty Images

得意分野:一定ペースの長距離ラン

少し前までジャック・ラッセル・テリアの名で知られていたパーソン・ラッセル・テリアは体が小さめ。遊びたがり屋で何事にも熱心に取り組み、とても活発。ただし「もともと猟犬なので、あなたの隣を走る練習をしておかないと、獲物を探してコースを外れてしまうことがあります」とクラフ。


グレーハウンド

whippet dog running
Capuski//Getty Images

得意分野:小走りの短距離ラン、ハイペースのランニング

グレーハウンドといえばドッグレース。でも、普段は自立心があり、やさしい犬種。長距離でなければ、飼い主と走るのも好き。「中には根っからのスプリンタータイプもいるので、あなたの愛犬がグレーハウンドだからといって必ずしも長距離を一緒に走ってくれるとは限りません」とロンドン。


ピットブル

american pit bull running in the field
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得意分野:小走りの短距離ラン

ピットブルは狂暴な闘犬と思われているけれど、もともと非常に賢いので、リードを引っ張らないことさえ覚えれば大丈夫(ピットブルはアメリカン・スタッフォードシャー・テリアや、スタッフォードシャー・ブル・テリアの慣用名)。「ピットブルは体が地面に近いので短距離が得意です」とバレラ。「犬にしては珍しく、走るときに人と同じくらい頑張っている感じがしますよ」


イングリッシュ・セター

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Zelma Brezinska / EyeEm//Getty Images

得意分野:小走りの短距離ラン

アメリカン・ケネル・クラブによると、イングリッシュ・セターは「均整の取れた銃猟犬で、筋力とスタミナをバランスよく持ち合わせている」。それなりに活発で、遊びたがり屋。


ゴールデン/ラブラドールレトリバー

hooray for spring
Betty Wiley//Getty Images

得意分野:小走りの短距離ラン、ゆっくりめの長距離ラン

ゴールデンレトリバーとラブラドールレトリバーは違う犬種。でも、ランナーとしての素質は似ている。フレンドリーで基本的に誰とでも仲良くなれるし、体が大きいので長距離も◎。「しつけやすく、忠誠心が非常に強いレトリバーは、どんな距離でも最高のランニングパートナーになりますよ」とクラフ。


ビーグル

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NozarIsReal / 500px//Getty Images

得意分野:小走りの短距離ラン

ビーグル犬にはスヌーピーのイメージがあるけれど、実際は犬小屋の上で寝転がったりトボトボ歩いたりするよりも、ダッシュしたがることのほうが多い。とても活発で機敏なビーグルには、かなりの運動が必要。ロンドンによると、ビーグルの中でも猟犬タイプの子は長めの距離も走れるそう。


ダルメシアン

dalmatian dog sitting on purple flowers
Ines Arnshoff / EyeEm//Getty Images

得意分野:一定ペースの長距離ラン

ロンドンいわく、ダルメシアンは運動が大好きで、長距離ランに最も向いている犬種の1つ。でも、走り方には注意が必要。「体の大きいダルメシアンは地面をドンドン叩きながら走るので、地面が柔らかいコースを選んでください」とバレラ。


ローデシアン・リッジバック

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Federica Cattaneo Ponzoni / 500px//Getty Images

得意分野:暑い日のランニング、一定ペースの長距離ラン

ローデシアン・リッジバックは運動を好む強靭な犬。「暑さにも強いので、温暖な気候では素晴らしいランニングパートナーになるでしょう」とクラフ。バレラいわくローデシアン・リッジバックの足運びと体内のエンジンは、もともと長距離に向いているそう。

フォックステリア

portrait of dog
Katsuaki Shoda / EyeEm//Getty Images

得意分野:暑い日のランニング

フォックステリアは、フレンドリーかつエネルギッシュで陽気な犬種。アメリカン・ケネル・クラブが言うように、リードを外すと「冒険を求めてすぐどこかに行ってしまう」ため、しつけは早めに。


アラスカン・マラミュート

big brown white purebred majestic alaskan alaska malamute dog on the empty field in summer park
Aleksandr Zotov//Getty Images

得意分野:寒い日のランニング

ダブルコートでガッチリした体格のアラスカン・マラミュートは、寒い気候にピッタリのランニングパートナー。そり犬だけあって、仕事と運動をこよなく愛する。


ジャーマン・シェパード

portrait of german shepherd dog lying on grass
Amol Khedgikar//Getty Images

得意分野:寒い日のランニング

3匹のジャーマン・シェパードと一緒に走ったバレラによると、個性はバラバラでも、みんなランニングが好き。「熱意と知性を持ち合わせ、ハードな運動を必要とするジャーマン・シェパードは、まさに完璧なランニングパートナーと言えるでしょう」とクラフ。


スイス・マウンテン・ドッグ

bernese mountain dog berner sennenhund playing running outdoor in green spring meadow with yellow flowers playful pet outdoors bernese cattle dog
bruev//Getty Images

得意分野:寒い日のランニング

大型犬のスイス・マウンテン・ドッグは気分屋で知られるけれど、家の中ではちゃんとくつろぐ。もともと牧場で働く犬だったこともあり、運動には短いジョギングを好むそう。

シベリアン・ハスキー

dog sitting on snow covered field
Mauricio Ramirez Rendon / EyeEm//Getty Images

得意分野:寒い日のランニング

機敏で足取りの軽い使役犬のシベリアン・ハスキーは運動神経抜群で、どんなアクティビティも楽しむ犬種。「一番いいのは間違いなく冬ですが、春と秋でも問題なく走れます」とバレラ。

ボーダー・コリー

profile of dog laying in field
Dougal Waters//Getty Images

得意分野:一定ペースの長距離ラン、寒い日のランニング(ただし雪はダメ)

バレラいわくボーダーコリーは、スーパーアスリートでエネルギッシュ。「有能でよくしつけられたコリーは一緒に走ると楽しいですし、飛び跳ねるのも身をかわすのも動き回るのも得意です」。ロンドンによれば、ダブルコートなので寒さには強いけれど、雪が被毛の中に溜まって体温が下がってしまうこともある。


ベルジアン・シープドッグ

greensdael dog
Kurt Pas//Getty Images

得意分野:小走りの短距離ラン

エネルギーいっぱいのベルジアン・シープドッグとは、いろいろな走りが楽しめる。「とてもしつけやすいですが、牧羊犬時代に身についた噛み癖(ニッピング)は早めにケアしてくださいね」とクラフ。

ファラオ・ハウンド

the pharaoh hound
DevidDO//Getty Images

得意分野:小走りの短距離ラン

1日に何キロも走る必要はないけれど、それなりの運動を必要とするファラオ・ハウンドにはランニングがピッタリ。「ファラオ・ハウンドはスゴイですよ」とロンドン。「とにかく速く走りたがるので、彼らにペース設定を任せることはできません」。猟犬なので、しつけるまでは小動物を追いかけたがることもある。


ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグ

panting puppy
suefeldberg//Getty Images

得意分野:障害物のあるコース、一定ペースの長距離ラン

アメリカン・ケネル・クラブによると、この犬種は愛情深く、冒険好きでエネルギッシュ。「ポーチュギーズ・ウォーター・ドッグは使役犬なので、ランニングも仕事として捉えます。黙々と何キロも走りますよ」。ウォーター・ドッグと呼ばれるだけあって、地面が湿っていても気にしない。

オーストラリアン・シェパード

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Robert Edlich / 500px//Getty Images

得意分野:障害物のあるコース

「私が一緒に走っているオーストラリアンシェパードは、訓練生の中で最も機敏かつ足取りが確かなランナーです」とバレラ。放っておけば、1日中動き回っているくらいエネルギッシュ。


カタフーラ・レパード・ドッグ

playful catahoula leopard dog carrying stick in mouth
Tara Gregg / EyeEm//Getty Images

得意分野:一定ペースの長距離ラン

米ルイジアナ州原産のカタフーラ・レパード・ドッグは、勤労意欲が非常に高い。それなりの運動さえさせてあげれば落ち着いている。


スタンダード・プードル

two standard poodles sitting on road
Iza Łysoń / 500px//Getty Images

得意分野:一定ペースの長距離ラン

クラフによると、スタンダード・プードルはゲームが大好き。いつものランニングに物足りなさを感じる人は、スタンダード・プードルと走ってみるといいかもしれない。「ランニングをもっと楽しくしたいなら、スタンダード・プードルの性質がプラスに働くはずですよ」。ロンドンいわくリードのトレーニングは欠かせないけれど、少し足場が悪くてもへっちゃらで、浅い小川くらいは難なく渡る。

※この記事には、寄稿家クリスティー・アシュワンデンから寄せられた情報も含まれています。

※この記事は、アメリカ版『Runners World』から翻訳されました。

Text: Brian Dalek Translation: Ai Igamoto