人生を変えるかも? 女性なら絶対観るべき女性監督による映画10選
2018年のゴールデングローブ賞授賞式に参加したすべての女性は、女優ナタリー・ポートマンの非常に適切かつ鋭い発言....
2018年のゴールデングローブ賞授賞式に参加したすべての女性は、女優ナタリー・ポートマンの非常に適切かつ鋭い発言に心から賛同した。映画監督ロン・ハワードの隣で監督賞を発表するにあたり、今年37歳のナタリーは、「ノミネートされた男性ばかりの監督名を紹介いたします」 という核心をつく一言で授賞式の名シーンを作った。
特に今年の授賞式には、ハリウッド内外の職場における男女平等を訴える “時間切れ (Time’s Up)” 運動をサポートするという非公式のテーマがあったため、ノミネートされた女性映画監督が少ないことで授賞式の偽善っぷりが露呈する形となった。
メジャーな授賞式では、男性が監督としての才能を褒められる一方で女性監督は無視されるのが未だよくあること。テレビ・映画業界の女性に関するリサーチ施設Center for the Study of Women in Television and Filmによると、アメリカ国内での興行収益が高かった2016年の映画トップ250のうち、女性が監督を務めた作品の割合はたった7パーセント。
ハリウッド専門サイトHollywood Reporterの話では、昨年90回目を迎えたアカデミー賞の歴史の中でも、監督賞にノミネートされた女性は4人だけ。映画・テレビ・俳優データベースのIMDBによれば、女性が初めてオスカーにノミネートされたのは1977年のことで『セブン・ビューティーズ』の監督リナ・ウェルトミューラーが『ロッキー』の監督ジョン・G・アビルドセンに破れている。これまでに女性監督としてオスカーを獲得したのは、2010年の第82回アカデミー賞で監督賞に輝いたキャスリン・ビグローただ一人だ。
性別による受賞機会の格差に対しては、「男性監督のほうが単純に作品数が多いし、いい仕事をする」 というような弁解が付き物。より正確に言えば、男性、特に白人男性には他の誰よりもゴーサインが出されることが多い一方で、女性は認められるためどころか、そもそもプロジェクトを立ち上げるための基本的な物資を確保するためにも戦わなければならない。チャンスさえ与えられれば、女性には男性に負けないくらい卓越して価値のある映画を作る能力がある。それを証明する10本の映画をご紹介。
Text: Claire Lampen Translation: Ai Igamoto Photo:Getty Images
グローリー 明日への行進 (原題: Selma)
監督: エイヴァ・デュヴァーネイ
高い評価を受けるエイヴァ・デュヴァーネイが監督を務め、2014年に公開された『グローリー 明日への行進』は、アフリカ系アメリカ人に公民権を与えない憎しみに満ちた人種差別に抗議すべく、1965年にマーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師が先導し、結果的に当時の米大統領リンドン・ジョンソンを投票権法の署名へとみちびいた、アラバマ州セルマからモンゴメリーへのデモ行進を題材としている。2015年のアカデミー賞作品賞にノミネートされたものの、ニューヨーク・タイムズ紙によると、アカデミー賞を主催する米国映画芸術科学アカデミーが、この映画の主演男優デヴィッド・オイェロウォと監督のデュヴァーネイを鼻であしらったという。しかしデュヴァーネイは、アメリカの刑務所制度に浸透した人種差別に焦点を当てた2017年のドキュメンタリーで再びオスカーにノミネートされた。
マッドバウンド 哀しき友情
監督: ディー・リース
ディー・リース監督の『マッドバウンド 哀しき友情』は、人種差別的な内容を含むジム・クロウ法に支配された第二次世界大戦直後のアメリカ南部で農場を営む白人のマッカラン一家と、そこで働く黒人小作人のジャクソン一家の関係を描く。ギャレット・ヘドランド演じるジェイミー・マッカランと、ジェイソン・ミッチェル演じるロンゼル・ジャクソンは戦友として友情を築くが、その2人の関係がアメリカ特有の辛辣な人種差別をくっきりと浮かび上がらせる。ジャクソン家の女家長を演じたメアリー・J・ブライジは、ゴールデングローブ賞助演女優賞と作曲賞にノミネートされ、ヴァージル・ウィリアムズと共に脚本も行ったディー・リースにはオスカーの呼び声も高い。
ガールファイト
監督: カリン・クサマ
2000年に公開されたカリン・クサマの監督デビュー作『ガールファイト』は、ミシェル・ロドリゲスの映画初主演作でもある。ニューヨークのブルックリンに住むケンカっ早い10代の少女ダイアナは、弟に代わってボクシングレッスンを受け、大きな大会に向けた練習に励みながら文化的に刻み込まれた昔ながらの男女間格差に立ち向かう。この作品でクサマはサンダンス映画祭の監督賞を獲得。評論家のロジャー・イーバートによると、ミッシェルはボクサー役に完全なまでに入り込み、危うくストリートファイトに巻き込まれそうになったことが何度もあったそう。