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こじれるパートナーとの関係......仲良くするための対処法とは?【臨床心理士が解説】

原因追求よりも「解決思考」になろう!

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young couple in conflict
martin-dm//Getty Images

人間関係にまつわるお悩みでも多いのが、パートナーとの関係について。パートナーと間でトラブルが発生した時、どうやって対応していますか? 多くの場合、問題や原因を探すことが多いかと思いますが、それではなかなかうまくいかないこともあるでしょう。そんな時に知っておくと役立つ心理学的なスキルを、心の専門家である臨床心理士がご紹介します。

原因追及してもうまくいかない時に役立つ、解決思考とは?

couple having a disagreement at home
bymuratdeniz//Getty Images

パートナーとの関係に悩んだ時に起こりがちなのが、『相手が○○してくれないからこうなった』とか『〇〇してくれれば、こんなことにはならなかった』という、事が起きた原因を追求すること。しかし、原因を追求するためのやりとりをすればするほど、関係が悪化してしまいます。

そこで、パートナーとの間に問題が起きた時にオススメしたいのが、問題解決に重点を置いてコミュニケーションをとること。

これは、【ブリーフセラピー】という心理セラピーの中で扱われる考え方です。ブリーフセラピーとは、アメリカ・西海岸のパロアルトが発祥のセラピーで、問題を個人の内側(性格や精神病理的な部分)に置くのではなく、個人と個人のコミュニケーションの取り方に注目して理解します。そして、「原因探し」よりも「問題解決」という視点に重きを置いて進めることにより、短期間で関係の変化を起こすことができます。また、ブリーフセラピーの考え方では、物事がうまくいっていない時は、自分と相手との間に何かしらの悪循環が発生しているとします。そして、まずはそれを断ち切ること、そして良い循環を生み出すことを目指します。

問題をスムーズに解決するために使える、ブリーフセラピーのスキル

problem and solution text on jigsaw puzzle
Nora Carol Photography//Getty Images

パートナーといういつも一緒にいる近い関係だからこそ、問題を長引かせずに円滑に関係を進めていきたいものですよね。心理療法といえば、通常であればセラピストと一緒に行うものですが、ブリーフセラピーのスキルは日常的に使えるものもあるので、今回の記事ではその一部をご紹介します。

(1)例外探し

問題が起きている禍中でも、問題が起きていない時や、比較的落ち着いている時があるはずです。ブリーフセラピーではそれを「例外」と呼び、その例外を生んでいる行動やコミュニケーションに注目して、問題が起きていない時間を増やしていきます。パートナーとの関係で考えるならば、パートナーとケンカと言い合いをしたり、険悪なムードになることが日常茶飯事だったとして、一瞬でも空気が和む時間はなかったでしょうか? それはまさに例外と言えます。その和んだ瞬間にフォーカスし、掘り下げてみてください。

(2)ミラクル・クエスチョン
これはご自身で取り組んでもらいたいワークです。『パートナーと問題が起きているとして、それが明日の朝起きたらすべて解決していたとします。どのような違いがあることで、問題が解決したとわかるでしょうか? 』という質問を自身に問いかけます。非現実的な質問かもしれませんが、この質問によって過去思考によって起きる原因探しのモードから、未来志向の解決モードに切り替えることができます。また、一見非現実的とも思える質問について考えることによって、普段気づかなかった自分の欲求に気づいたり、本当にやりたかったこと、パートナーとの理想の関係像を見つけることができるのです。

(3)リソース探し
リソースとは、日本語で『資源』のことを指します。パートナーとの問題解決のためには、自分が既に持っている資源を活用していく必要があります。その時に役立つのがリソース探しのワークです。自分の周囲から得られるサポート源や、円滑な関係を育むためのコミュニケーションスキル、過去に人間関係がうまくいかなかった時に乗り越えた成功体験といった視点から考えてみると、自分の中に意外とたくさんのリソースを持っていることが分かり、問題解決の役に立ちます。

どうしても難しい時は専門家と作戦会議を

woman psychologist talking to patient
Fiordaliso//Getty Images

今回ご紹介したワークは、日常的に1人で取り組みやすいものです。また、パートナーとの関係だけでなく、あらゆる人間関係の問題や、自分自身が抱えている問題に役立てることもできますので、ぜひやってみてくださいね。しかし、やってみてもしっくりいかない、難しいという時もあると思います。そんな時はぜひ公認心理師や臨床心理士などの専門家と一緒に取り組んでみてほしいです。専門家と取り組むことで、より客観的な視点で話をすることができたり、より早く問題解決のための糸口を見つけることができるかもしれませんよ。

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南 舞
ライター

臨床心理士。岩手県出身。多感な思春期時代に臨床心理学の存在を知り、カウンセラーになることを決意。大学と大学院にて臨床心理学を専攻し、卒業後「臨床心理士」を取得。学生時代に趣味で始めたヨガだったが、周りと比べず自分と向き合っていくヨガの姿勢に、カウンセリングと近いものを感じ、ヨガ講師になることを決意。現在は臨床心理士としてカウンセリングをする傍ら、ヨガ講師としても活動している。   公式HP: mai-minami.com Instagram: @maiminami831  

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