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サステナブルな食の選択肢。噂の「培養肉」を食べてみた! その味は?

培養肉を使ったメニューは、週に10人限定のプレミアムな体験。

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cultured meat 培養肉を食べてみた

「培養肉」「研究室で育てられた肉」「ラボミート」「細胞ベースの肉」何と呼ぶにせよ、代替プロテインに新たに加わったものにはちょっとした注目が集まっている。どんな肉なのか、どんな味なのか、そしてその未来は? 世界で初めて培養肉の販売許可が下りたシンガポールで、噂の肉(のようなもの)を実食したライターがこれまでに明らかになっていることをレポートする。

培養肉とは?

cultured meat 培養肉を食べてみた

「培養肉」は、動物から抽出した細胞を培養して作った、文字通りの”肉”だ。ただし農夫によって農場で育てられているのではなく、白衣を着ている(であろう)人たちによって研究所で育てられている。なんだか、SF映画の世界のような話だけれど、現実の話。

培養肉の開発者でカリフォルニアに本拠地を置くフードテック企業「イート・ジャスト」の細胞培養肉部門「グット・ミート」が、シンガポールで販売許可を得たのは2020年のこと。当初は会員制レストランなどで数量限定販売されていたが、それから3年たった現在では「ウーバーズ・ブッチャリー」(余談だが、ヒューバーズやフーバーズと読む人もいるけれどドイツ語読みのウーバーズが正)という精肉店のビストロレストラン「ウーバーズ・ブッチャリー・ビストロ」で食することができるようになった。

培養肉をいざ実食

cultured meat 培養肉を食べてみた

そんなわけで、シンガポール在住の筆者は培養肉を実食してきた。

現在のメニューは「サンドイッチ」と「パスタ」の2種類。共に18.50シンガポールドル(税抜き)。筆者は、サンドイッチをチョイスした。どちらのメニューでも、培養肉は揚げられ、フライドチキンとして調理されている。

肝心の肉の味は、まさに鶏肉の味だった。他に表現のしようがないほど、鶏肉そのものだった。

見た目は鶏肉、食感も鶏肉、そして味も鶏肉。

もしそのバックグラウンドを知らなければ、きっとそれを「鶏肉」と思うだろう。どれくらいの人が、食事をしながら鶏肉が育てられた場所のことを考えるかは計り知れないけれど、きっとその肉が農場から来たものでは「ない」ということは決して想像できないのではないだろうか。そして、工業団地にある研究所で作られた「培養肉」と聞いたら、きっと驚くに違いない。

味についてはもちろんなのだが、筆者が驚いたのはそのにおいだった。個人的な話になるけれど、シンガポールでよくある話で一般スーパーで販売されている鶏肉が臭いことがある。(例えそれがオーガニックチキンとラベルが貼られて売られていても)食べてはいけない臭さではなく、あくまでも鶏肉のにおいが臭いというものだ。それが、それまでに食べてきたエサの臭いなのか、詳しい理由は分からないけれど、とにかくそういった臭いが培養肉にはない。そういったことを踏まえると培養肉はクリーンな肉なのかも?

筆者が培養肉の取材に訪れた日には、はるばるスイスから取材に来たという撮影クルーにも遭遇した。また、韓国からわざわざ培養肉を食べに来たという青年もいた。こうしたことからも、培養肉が世界的に注目を集めていることが伺える。

このように人々の関心を引く理由の一つは、培養肉は家畜を飼育する必要がなく、将来の食料問題に対する切り札の一つになるかもしれないという期待が寄せられているためだ。

一方で、培養肉の製造は決して新しい取り組みではなく、これまでに業界には何十億ドルも注ぎ込んできたんだとか。しかしながら、新規性を超えたその存続可能性には大きな疑問符がつきものだ。イート・ジャストも決して例外ではない。

培養肉の未来

empty science laboratory
Solskin//Getty Images

イート・ジャストが培養肉の製造にどれだけのコストを費やしているか正確には明かされていないが、現在のところ、イート・ジャストの生産能力は週に2kg〜3kg程度だという。

一般消費者も専用ページから予約をすれば、培養肉を食べられるようにはなったけれど、その数は週に合計10人だけと限られている。しかも毎週木曜日のランチタイム(11時〜 / 12時半〜の2回に分けられている)の予約は、日曜日の深夜0時にオープンになり、数分で席は埋まってしまう。(実際、筆者も予約するために土曜日の深夜23時50分からパソコンの前に腰を下ろさなくてはならなかった。前週、日曜日の朝に予約を取ろうとしたらすでに満席だった)

予約をとった数日後、「予約の了承を返信してほしい」とメッセージを受け取った。(のちにシェフ直々からのメッセージだったということが判明)予約時に、クレジットカードなどの情報を入力する必要はなかったものの、限りなくドタキャンなどを防ごうとしている様子が伺えた。

サンドイッチを食べながら、シェフに「なぜ週1回、10人限定でしか食べられないのか」と尋ねたところ、やはり生産量に限りがあるためだそう。ただし、現在生産数を増やす方向で話を進めており、(いつとは言えないけれど)近い将来には培養肉を食べることができるチャンスが増えると思うと話してくれた。

2023年7月には、シンガポールの他に、イート・ジャストの本拠地であるアメリカでも販売許可が下りたという。

「Farm to Table(ファーム・トゥ・テーブル / 農場から食卓へ)」は長い間、食品に求められてきた呼称だが、「Lab to Table(ラボ・トゥ・テーブル / ラボから食卓へ)」は、あなたの好きな動物性タンパク質の次のトレンドかもしれない。

Headshot of 桑子 麻衣子
桑子 麻衣子
ライター

1986年横浜生まれ。2013年よりシンガポール在住。幼少期よりクラシックバレエの練習に励みバレリーナになることを目指していたが、思春期に恋愛に走ってしまう。ヨガインストラクター、アーユルヴェーダアドバイザーの経験を活かし、現在は国内外のウェルネスやフィットネスなど健康周りの情報を中心に発信するライターとして活動。根っからの健康オタク。
Instagram: @mic_kwk 

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