もし、パートナーや両親、友人など、あなたの人生に関わる人たちが、あなたにどう接したらよいかを知っていたら「何て良いだろう」と思わない?
もし、あなたの周りにいる人たちが、何をすればあなたが愛されていると感じるかを正確に知っていたら? 逆に、あなたが大切にしている人を笑顔にし、幸せな気分にさせる方法を正確に知っていたら?
もしかしたら、それは夢じゃないかもしれない。人生の中で大切な人の心を読み、より良い関係を築くための『5つの愛の言葉』を理解したならば。
来年結婚10年を迎える筆者が、夫との温度差に悩みたどり着いた『5つの愛の言葉』を解説する
『5つの愛の言葉』は”人間のロードマップ”
『5つの愛の言葉』とは、結婚カウンセラーのゲーリーチャップマン博士のベストセラー『The 5 Love Languages (邦題: 愛を伝える5つの方法)』で提唱された人間関係を良好にするためのシステム。
これは、自分自身を含め、人生のすべての人が気持ちよく、愛され、感謝されるための、言わば“人間のロードマップ”と言ったところだろうか。
このシステムでは、人が愛や感謝を感じる方法と、その感情を与えるために個人が必要とするものを分かりやすく説明してくれている。
興味深いのは、人はそれぞれの“タイプ”によって、愛の感じ方が全く違うということ。つまり、あなたの愛の感じ方、与え方、受け取り方は、あなたのパートナー、親、友人とは全く違うかもしれないということだ。
そして、これこそどんな人間関係も良好にするためのキーポイントになる。“違いを理解する”ことで、大切な人との関係を支えてくれ、関係が大きく改善していくのだ。
わたしとあなたの愛の言葉は違う
チャップマン博士によると、人が愛を感じる方法は5つあると言う。それが以下の5つ。
奉仕活動(Acts of Service):相手のためになること、役に立つことを“行動”で表現する
肯定の言葉(Words of affirmation) :支えになることを“言葉”で表現する
クオリティータイム (Quality Time) : 有意義な時間を過ごす
身体的な触れ合い(Physical touch): 身体的な触れ合い、親密さを共有する
贈り物を受け取る(Receiving Gifts):心のこもった贈り物をする、または受け取る
前述した通り、あなたが愛を受け取る方法と、愛を表現する方法が同じではないということは覚えておいて。そうしなければ、愛の言葉システムが活かせないから。
例えば、人に心のこもったプレゼントをするのが好きなのに、自分がプレゼントされてもあまり印象に残らないということはない?
また、あなたが好む愛の言葉は、時が経つにつれて、また人間関係の中で、生活環境の変化に伴って、もしくは人間関係ごとに変わることだってあるはず。
家族といるときよりも恋愛対象者といるときの方が身体的な触れ合いを大切にするケースもあるかもしれない。また、親になった人であれば以前よりもパートナーの奉仕活動を大切にするケースもあるし、遠距離恋愛をしているケースでは、自分の愛の言葉を適応させる必要があることも。
愛の言葉を知ることはなぜ重要なのか
そもそも愛の言葉を知ることはどうして必要だと思う?
それは、自分が人生の中でどのように人を愛し、実際にどのように愛を受け止めているかを意識すればするほど、愛を得ることも与えることもかなり簡単になるから。
もちろん愛の言葉を知らなくても生きてはいけるけれど、知っていたら人間関係での悩みはかなり減るかもしれない。
例えばもし、あなたがジーンズを探していたとしよう。ジーンズと言っても様々なタイプがある。ストレートレッグ、フレア、ダークウォッシュ、ライトウォッシュ……などなど。何も知らずに探そうとしたら、ジーンズを見つけるのは難しいと思わない?試着をし続けているうちに、だんだんと疲れてきて「もう嫌だ」と自暴自棄になってしまうかもしれない。
もし、あなたが自分にぴったりのジーンズは、ハイウエストでタイトフィット、さらには特定のブランドであると知っていたらどうだろうか。そうすれば、自分に合ったジーンズを見つけるのが100倍簡単になるはず。
それは愛も同じ。
自分がどのように行動して、何を求め、パートナーや大切な人に何を与える必要があるのかを知っていれば、それを実行するのは100倍簡単になる。
こうイメージすれば、愛の言語が、わたしたちを満足へと誘ってくれる“人間ロードマップ”という意味が少しは理解できたのでは?
もしかしたら、今一日中無視されているように感じたり、愛されていないと感じている人も、実際にはあなたの周りの人は彼らなりの愛の言葉をあなたに送っているはず。
例えば、わたしの体験談で言うならば、わたしの愛の言葉は『クオリティータイム』、夫は『肯定の言葉』(もしくは『奉仕活動』)』だ。
40歳仕事盛りの夫は、ここ数ヶ月休みがほぼない状態。「愛している」「大切に思っている」と『肯定の言葉』を言いながら(家族のために一生懸命働く彼の後ろ姿を見ていると『奉仕活動』で愛を表現しているようにも見えるけれど…)家族と過ごす時間を優先していない。一方で、わたしは一緒にいてくれない夫に対して「この人はわたしたちのことを本当に大切にしていないのかもしれない」と疑う。けれど、実際には、ずっとわたしたち家族に対して愛と感情を表現していたようだ。ただ、それはわたしの心に響く方法ではなかったというだけ。
心に響かないからと言っても、愛の言葉は人それぞれ違うということをしっかり理解すれば、かなり気持ちが楽になる。違いがあるからと言っても、関係を壊す必要は全くないし、むしろ絆は深くなることを精神的に体験済みなので、愛について悩んでいる人には強くおすすめしたい。
5つの愛の言葉を紐解く
それでは、ここからは5つの愛の言葉を更に深く紐解いてみよう。もし良ければ、あなたが愛されていると感じるためにどれだけ重要か1~10の数字で書き留めてみて。
■愛の言葉1:奉仕活動
愛の言葉として『奉仕活動』を挙げている人は、「言葉よりも行動がものを言う」と真に信じている人。
例えば、忙しいパートナーのためにお弁当を作ったり、マッサージをしてあげたり、相手が忙しそうにしているときに代わりに用事を済ませたり。相手のために時間をつかい、相手が喜ぶことを自らすることだ。
■愛の言葉2:肯定の言葉
『肯定の言葉』を第一の愛の言葉として挙げている人は、奉仕の行為を挙げている人とは逆に、行動よりも”言葉”を大切する。
自分が言ったこと、相手が自分に言ったことが、愛と感謝の証というわけだ。
肯定の言葉を毎日いくつか使うことで、あなたの周りにいる肯定の言葉が好きな人は、何日も元気になるはず。
■愛の言葉3: クオリティー・タイム
『クオリティー・タイム』を第一の愛の言葉として挙げている人は、注目を一身に集めたいと思っている可能性大。一緒にいる時間に何をするかではなく、それがクオリティーの高い時間であるかどうかが重要なのだ。
例えば、一緒にコーヒーを飲む時間を質の高い時間にするためには、コーヒーを飲んでいる間は二人で寄り添い、つながり、そしてコーヒーを飲んでいる必要がある。コーヒーを飲みながら、同時にスマホをいじっているなんてもってのほか。相手は愛されていない、感謝されていないと感じるかも。
■愛の言葉4:身体的な触れ合い
『身体的な触れ合い』を主要な愛の言葉として挙げている人は、触れること、触れられることを好む。一緒にいて安心、安全、快適だと感じるためには、触れ合うことが必要なのだ。
これは、性的なものばかりではないことも覚えておこう。例えば、ハグ、手をつなぐ、肩に腕を回す、髪の毛を弄る、抱きしめる、キスをするなど。
こうした身体的な触れ合いは、相手が愛されている、感謝されていると感じられる愛の形。
■愛の言葉5:贈り物をもらう
『贈り物』を受け取ることを第一の愛の言葉としている人は、意味のある、あるいは心のこもった贈り物を受け取ることで、愛されている、感謝されていると感じることができる。
これは、あなたやあなたの周りの人が物質主義だということではないのでご安心を。あくまでも、誰かが大切な人に対して何かを与えることが愛を表現する素晴らしい方法だということを、人生で学んだということなのだ。
なので、贈り物は高価なものでなくてもOK。贈り物の背景にある考えや意味が重要なのだ。
例えば、付き合っていた頃によく行っていたけれど子どもが生まれてからは立ち寄っていない、隣町のお惣菜屋さんのコロッケを買って帰ってきたら喜ばれるかもしれない。
愛の言葉を現実世界で使うには…?
恋愛関係においても、夫婦関係、職場や友達との人間関係においても、愛の言葉は正直でオープンな会話をするのに最適なもの。そして、お互いの愛の言葉を知り、それを表現することは、大切な人との親密な関係を築くための素晴らしい方法のはず。
裏を返せば、まずは周りの人に伝えなければ、あなたやあなたの周りの人にとって愛の言葉は役に立たないということ。
例えば、あなたの愛の言葉が『奉仕活動』ならば、愛を表現したいと思っている大切な人にこう伝えてみて。
「私が愛されていると感じるのは、人が私のために何かをしてくれるときです。そうすることによって、気にかけていること(愛)を示すものなのです」
そして、相手の愛の言葉を聞くのも忘れないで。「あなたが感謝され、愛されていると感じるのはどんなときですか? 私はそれをあなたにとって意味のある方法で表現したいと思っています」と。
ちょっと変わった人と思われることもあるかもしれないけれど、分かってくれる人は分かってくれるはず。
重要なのは、自分自身への感謝の道筋を知ることで、大切な人にその道筋を教えてあげることができるということ。そうすれば、人生がずっと楽になり、あなたはこれまで以上に愛され、感謝されていることを実感できるはず。