読者400人にアンケート! テレワークのメリット&デメリットを徹底調査
自分に合った働き方って?
働き方改革で自由なワークスタイルの需要が高まる昨今。今年は特に東京オリンピックの開催に伴い、交通機関の混雑回避などを理由に各企業が在宅勤務を円滑に行えるシステム構築を進めている。そんな中、ここ1~2週間は新型コロナウイルスの感染拡大で急遽テレワークを実施している人も少なくない。オフィスに毎日行かずとも自宅で仕事ができるテレワーク、実施した人たちによるとメリット・デメリットがそれぞれあるようだ。ウィメンズヘルスが約400人に独自に行ったアンケートをもとに働き方のこれからを考える。
時間や場所に縛られない働き方が求められるようになり、“テレワーク”“リモートワーク”“在宅勤務”といったワードを頻繁に耳にするようになった。平成27年度からは、総務省がテレワークの普及促進を目的に「テレワーク先駆者百選(※)」を公表。ちなみに令和元年の「テレワーク先駆者百選 総務大臣賞」は、アフラック生命保険やリコージャパンが受賞した。このように国を挙げてテレワークを推進する動きがある一方、テレワークに疑問を抱く声や会社でシステム導入が進んでいないケースも大いに存在する。
オフィスで、自宅で、カフェで働くなど、今後さまざまなワーキングスタイルを選択できるようになるのは確か。しかし、大切にしたいのはその働き方が果たして自分に合っているかどうか。
(※)テレワークの導入・活用を進めている企業や団体を「テレワーク先駆者」とし、さらに十分な利用実績が認められる企業は「テレワーク先駆者百選」として公表される。
テレワークのメリット① 通勤時間を有効活用できる
「通勤の移動やメイクにかけていた時間を仕事や運動、家族の時間に充てられて暮らしの充実度が増した」(20代女性・IT)
「自分のライフスタイルに合わせて朝早くから仕事に取り掛かれるので、早寝早起きが定着して健康的な生活になった」(40代女性・メディア)
通勤に1時間~2時間かかる人も多い中、移動時間を省けるのはやはりテレワークが支持される大きな理由。他にも「通勤がなくなったことにより、メイクをせずに済むので肌にいい」「なかなか受け取れなかった宅急便を受け取れる」といった声も。
テレワークのメリット② ストレス軽減&仕事の生産性がアップ
「対人ストレスが減った」(20代女性・メーカー)
「満員電車に乗らなくていいのは、メンタルヘルス的にも良い」(30代女性・営業)
「会社で作業していると、その場で頼まれる仕事がいつのまにか増えていたりする。リモートワークは、優先度の高い仕事に集中できる」(40代女性・メディア)
「はじめはすぐに相談できないことが面倒だと思っていたが、きちんと考えを纏めて同僚に相談したり、されたりするので結果的にスムーズに業務が進行できていると思う」(30代女性・営業)
一人で集中して仕事に打ち込める環境は、誰かに阻害されることなく自分の仕事を全うでき、仕事の生産性向上にも一役買っている様子。
テレワークのメリット③ 家族といられる時間が増える
「子育てや介護で在宅していなければならないとき、有給を消化せずに自宅で仕事ができるのは嬉しい」(30代女性・PR)
「子どもと一緒にいられる時間が増えた。改めて家族と過ごす時間の大切さを感じる」(30代女性)
産休や育休が十分に取れない親たちにとっては、在宅勤務ができると子どもをどこかに預けなくていいので安心&楽という意見が多数。ただし、テレワーク中にどうしても会社に行かなければならないとき、(今回の新型ウイルスのように子どもが休校になって自宅にいる場合は特に)会社が子連れ出社を推奨するなど、フレキシブルな対応をとるとより働きやすい環境になりそう。
テレワークのメリット④ 地球環境に配慮も
「マイカー通勤が減ることで大気汚染の緩和にも繋がると思います」(20代女性)
2010年に行われた国勢調査によると、全国で通勤・通学に自家用車を使用する人の割合は46.5%(※)。マイカー通勤者が減るとCO2排出量が減り、地球環境への配慮になる可能性も。
(※)総務省統計局による平成22年国勢調査より抜粋。15歳以上自宅外就業者・通学者(5842万3千人)に占める利用交通手段別割合。
テレワークのデメリット① コミュニケーション問題
「新しいプロジェクトがスタートする場合、ビデオチャットなどでのミーティングは、要点やメンバーの特徴がつかめていないとコミュニケーションが取りにくい」(30代女性・IT)
「職場の仲間とコミュニケーションできないと、仕事のモチベーションが上がらない」(20代女性・アパレル)
チャットツールやビデオ会議など、会わなくても会話ができるツールは多く存在し活用が薦められている。その一方で、顔を合わせてコミュニケーションしなければ伝わりづらいことがあるのも事実。「いいアイデアは何気ない会話から生まれる」と、同僚や上司との交流を大切にしている人も少なくない。また人との接触が減るので、孤立を感じメンタルバランスを崩してしまうことも。リモートワークをする分、身近な人とリアルで話す時間を確保するなどの対応は必要かも。
テレワークのデメリット② 運動不足に陥る
「通勤していたときは歩数計で8,000~10,000歩/日だったのに対し、テレワーク中は500歩になりました」(40代女性・メディア)
オフィスに比べて、自宅にいると移動距離が減る人がほとんど。長時間座ったままになりがちなので、意識的に運動したり、外に出かける習慣をつけてリフレッシュを。
テレワークのデメリット③ オーバーワークになりがち
「メリハリを自分でつけないと、朝起きてから夜寝るまでずっと仕事をしてしまう」(20代女性)
「普段の生活スペースで勤務することになるので、公私混同する」(30代女性・IT)
オフィスにいる時間=労働時間だったのに対し、自宅での作業は区別がつきづらくオンとオフを切り替えるのが難しい。日々のゴールとタスクを明確にして取り組まないとエンドレスになるので、通勤のような仕事の始まりと終わりのルーティンを作ると気持ちよく働けそう。
テレワークのデメリット④ 仕事環境が整わない
「モニターがなくてノートPCに長時間向かうと疲れる」(30代女性)
「夫も在宅勤務だと、電話やビデオ会議は自室がないと難しい」(40代女性・メディア)
「社内でしかアクセスできないデータがある」(30代女性・営業)
机や椅子の高さが作業に向いていない、wifi環境が整っていないなど、自宅での仕事を想定していなかった場合、集中しやすい環境をゼロから作るのは難易度が高い。自分にとって作業に適切な環境がどういうものか見直す機会になりそうだ。
拡大するビデオアプリ市場
リモートワーク中に重宝するのが、「Zoom」や「Facetime」、「Chatwork」といったビデオチャットアプリだ。2011年にアメリカでローンチした「Zoom」は、この在宅勤務の流れによって株価が急上昇中。ビデオ会議で懸念されていた点を改善し、クリアな音声、バーチャル背景の設定、投票機能などユニークなオプションが豊富に用意されている。
ただし、チームやクライアントによって使用しているツールがそれぞれ異なると、会議のたびにアプリをインストール・設定する手間が生じる可能性も。いずれにしてもビデオ会議の使用頻度は上がり、働く側もアプリの使い方を学んで最大限活用していく必要がありそうだ。
かつて米企業ではテレワーク廃止の動きも? 今後の展開に注目を。
アメリカ企業ではすでにテレワークの導入がかなり進んでいる。しかし振り返ってみると2013年には米・ヤフー、2017年にはIBMがテレワーク廃止に踏み切ったというニュースもかつて話題になった。その背景には、従業員の労働状況を把握できるシステムが整っていなかったこと、リアルなコミュニケーションを重要視する意見等があったそう。
とはいえそれから時代もテクノロジーも進み、テレワークを求める声が拡大しているのは事実。ウィメンズヘルスが読者約400人に行ったアンケートでも、テレワーク賛成派が90%と圧倒的。今後雇用側がテレワークのシステムを整備していくのはもちろん、働く側も自由なワークスタイルが実現したときに行き場を失わないよう、自宅の環境を整える、オンオフを切り替えるルーティンを作るなど、テレワークの準備を進めるべきかもしれない。
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スポーツファッション・サステナブルの記事を担当。山梨県の富士河口湖町へ移住し、オンラインを駆使して取材活動を行う。フェミニズムや環境問題などの時事ネタやニュース、人を掘るのが得意。 2020年までウィメンズヘルス編集部に在籍。