周りがみんな同棲してから結婚するようになってきた? 結婚前に同棲する傾向は確かに強くなっていて、米国勢調査局によると、未婚で同棲中のカップルは2018年の時点で850万組に達したそう(この数字に同性のカップルは含まれていない)。

でも、だからといって同棲が万人に向いているとは限らない。結婚前に同棲すべきかどうかは、他の人間関係の問題と同じく当事者次第。そこで今回は、同棲のメリットとデメリットを比較するため、人間関係を専門とする2名のエキスパートに話を聞いた。アメリカ版ウィメンズヘルスから詳しく見ていこう。

結婚前の同棲には間違いなくメリットがある

「ひとり暮らしをしていた人にとって、同棲を始めるというのは楽しいと同時に困難なことでもあります」と説明するのは、性と恋愛を専門とするローガン・レヴコフ博士。「一緒に住むとさまざまな問題が起こるので、嫌でも2人の関係が試されます。その結果、協調性、交渉力、相手のニーズや好みを自分のニーズや好み以上あるいは同じくらい大切にする能力が短期間で身に付きます。どれも結婚前にしておくべき経験です」

セックス&恋愛カウンセラーのメーガン・フレミング博士によると、誰かと同棲してほぼ24時間365日一緒にいるのは、その人の優先順位や価値観を理解して、それが自分の優先順位や価値観と合うかどうかを知るチャンス。言うなれば、将来結婚した場合に備えた予行演習のようなもの。

性的な相性が分かるのも同棲の大きなメリット。同棲すると「頻度と質の点で、お互いの性的なニーズがどのくらい合っているかが分かります」とフレミング博士。「うまくいっているときは2人の関係のごく一部、うまくいっていないときは2人の関係の大部分を占めるのが性生活というものです」

また、結婚しているカップルを含め、パートナーと一緒に住んでいる人は住んでいない人より身体的および精神的な健康状態が良いという研究結果も存在する。

結婚前に同棲するデメリットは?

レヴコフ博士は結婚前の同棲に賛成派で、そうすることに大きなデメリットはないと言う。でも、フレミング博士によると、結婚は同居というよりコミットメントに近いので、ただ家をシェアするときとは違うレベルの努力と忠誠心が必要になると考えたほうがいい。

また、同棲して2人の生活が深く絡み合ってくると、必要に応じて切り離すのが難しくなる。同棲してから結婚すると1年目は順調に行く可能性が高い一方で、将来的には離婚する確率が高くなるという調査結果があるけれど、これにはそうした事実が関係しているのかもしれない。

同棲すると離婚する確率が高くなる理由については明らかになっていないけれど、フレミング博士の話では、同棲したら別れにくくなって仕方なく結婚したものの、数年後、やっぱり無理ということで離婚するケースが多い可能性はある。よって、将来の離婚を避けるためには、同棲をする前の時点で、結婚に対する双方のコミットメントレベルを明確にしておくことが重要になる。

また、この調査結果は1970~2015年のデータに基づいて2018年に発表されたものであり、それほど古くないけれど、最近はもう結婚前の同棲が当たり前になっていることを考えれば時代遅れと言えるかも。また、この調査における離婚率には、年齢、宗教、結婚歴、同棲歴といった多数の要素が関係している。

また、2人が一緒に住んでさえいれば結婚生活がうまくいっていると見なしていたのも、この調査の問題点。フレミング博士によると、結婚生活において本当に重要なのは、言うまでもなく2人の幸せ。

「見方によっては統計も役に立ちますが、本当に大事なのは自分をよく知ることです」とフレミング博士。結婚していようといなかろうと「人間関係には努力が必要ですからね」

同棲を決める前に知っておくべきことは他にある?

レヴコフ博士いわく同棲前には、お互いが同棲したい理由について話し合っておくといい。

「何をするにせよ、あなたとパートナーが同じ認識でいることを確かめたほうがいいですね。仮に2人の認識がズレていても、それに合わせて自分の期待値を変えることは可能です」

この話し合いに交際期間の長さは関係ない(さすがに1カ月は早すぎる気がするけれど)。あなたの心の準備ができた段階で、カジュアルに「誰かと一緒に住んだことある?」「誰かと一緒に住みたいと思ったことある?」と聞いてみれば自然と会話が始まるはず。

ただし、同棲は便宜上の理由からするようなものじゃない。フレミング博士いわく同棲は、今後も2人の関係にコミットして努力する覚悟があるという双方の誓いとして捉えるべき。よって、金銭的な理由から同棲を決めちゃダメ。「同棲をするかしないかは、家賃ではなくパートナーを基準に決めましょう」

同棲に対する双方の期待値を事前に話し合っておくことも大切。これには、お互いに必要な1人の時間やプライバシーの量(あなたがパートナーより内向的な場合など)や清潔の基準(ストレスや対立の主な要因)などが含まれる。

フレミング博士によると、この話し合いの目的は、お互いの“絶対譲れないこと”(毎日起きても耐えられることvs. 別れの原因になりうるということ)を明確にすることにある。

同棲を決める前に「私は自分のパートナーと人生に何を求める?」と自分の胸に聞いてみよう。そして、その答えをパートナーに共有したとき、お互いが似たような未来を思い描いていれば最高。「お互いに助け合い、カップルとしてはもちろん、個人としても成長できたらいいですね」とフレミング博士。そのためには、気まぐれで同棲して様子を見るのではなく、いままで以上の時間と労力を費やす必要がある。

結論として、結婚前に同棲するべき?

私たちは1人ひとり違うので、最終的には、あなたとパートナーがしたいようにするのがベスト。

でも、レヴコフ博士は同棲が結婚代わりになることはないと言う。「結婚を望むなら、同棲で妥協してはいけません。同棲は結婚への足掛かりであるべきです」。結婚の話を先延ばしたいからという理由で同棲に賛成するような人と幸せな未来が築ける可能性は低いので、ここはしっかり話し合って。

お互いに結婚したいと思っているカップルにとって同棲は、2人の生活を融合させて、お互いが楽しめることを一緒に行い、“カップルとしてのアイデンティティ”を形成する大事なプロセス。だからこそ、賃貸契約書に連名でサインするのは、“同棲のあと”に対する2人の認識がズレていないことを確かめてからにしよう。

※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Mallory Creveling Translation: Ai Igamoto

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Mallory Creveling
Deputy Editor, Health & Fitness

Mallory Creveling, an ACE-certified personal trainer and RRCA-certified run coach, joined the Runner's World and Bicycling team in August 2021. She has more than a decade of experience covering fitness, health, and nutrition. As a freelance writer, her work appeared in Women's Health, Self, Men's Journal, Reader's Digest, and more. She has also held staff editorial positions at Family Circle and Shape magazines, as well as DailyBurn.com. A former New Yorker/Brooklynite, she's now based in Easton, PA.

Headshot of 伊賀本 藍

ウィメンズヘルス立ち上げ直後から翻訳者として活動。スキューバダイビングインストラクターの資格を持ち、「旅は人生」をモットーに今日も世界を飛び回る。最近は折りたたみ式ヨガマットが手放せない。現在アラビア語を勉強中。