鉄は健康に必須のミネラルであり、酸素を全身に運搬し、赤血球の形成を助け、代謝をサポートしてくれている。「食事から摂取する鉄の量が少なすぎると、冷えや疲労、だるさを感じるようになります」と説明するのは、アメリカ栄養士会で広報担当を務める管理栄養士のメリッサ・プレスト。

鉄分の摂取量の目安としては、女性は1日18mgが理想であり、男性は8mgで十分だという。鉄を十分に摂取するためには食べものから摂取することがベストであり、赤身肉が鉄分の豊富な供給源であることは確か。米農務省(USDA)によると、赤身の牛ひき肉は、一人前(約85g)あたり鉄分を2.2mg含んでいる。

だけど、ステーキを食べたくない場合は? 赤身肉を食べると、筋肉を作るアミノ酸や鉄分、ビタミンB12、亜鉛などの重要な栄養素を摂れることが実証されているが、心臓病や特定のがんなど、ある慢性疾患のリスクを高める可能性もあるとして指摘されているのも事実。一方で植物中心の食事は、将来の健康に対するリスクを減少させることが研究で示されている。

ビッグサイズのチーズバーガーを食べればそれなりに鉄分を摂ることができるけれど、もしあなたがヴィーガンやベジタリアン、もしくは植物中心の食事をしているのであれば、より多くの鉄を摂取するように心がける必要がある。なぜなら、鉄にはヘム鉄と非ヘム鉄の2種類があるから。肉や魚介類、鶏肉には、ヘム鉄と非ヘム鉄の両方が含まれているけれど、植物性食品や栄養強化食品には非ヘム鉄しか含まれていない。アメリカ国立衛生研究所によると、動物性食品に含まれる鉄のほうが体内に吸収されやすい性質があるため、厳格なベジタリアンであればそれが問題に発展することも起こりえる(アドバイス:植物由来の鉄を含む食品とビタミンCが豊富な食品を組み合わせて食べることで、体内への鉄の吸収率がアップする)

その対策として、 「ヴィーガンとベジタリアンは、1日に推奨されている鉄の摂取量の約1.8倍を摂取する必要があります」と話すのは、書籍『The Plant-Powered Diet』を持つ管理栄養士のシャロン・パーマー。要するに19歳から50歳の女性は、1日に約32mgの鉄を摂取する必要があるということ。次の20種類の食品は、牛肉を1人前食べるよりも多くの鉄を含んでいるため、毎日の必要摂取量を満たす手助けをしてくれる。

※下記栄養の数値は、アメリカの基準のものです。

ほうれん草

close up of spinach in bowl on white background
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米農務省によると、茹でたほうれん草に含まれる鉄分は1/2カップにつき3mg、カロリーは21kcalと非常に少ない。鉄分のほかにも、食物繊維やカルシウム、カリウム、葉酸、ビタミンA、C、Kも豊富なうえ、タンパク質も少量含まれている。ほうれん草の栄養価はとても高いので、普段からサラダやスムージー、オムレツの材料として取り入れてみて。

白インゲン豆

植物中心の食事をする人がお豆をいっぱい食べるのには理由がある。米農務省によると、白インゲン豆は1/2カップにつきタンパク質を8.7g、食物繊維を5.6g、鉄分を3.5mgも摂取することができる。次に白インゲン豆の缶詰を見つけたら、野菜シチューやチリコンカーンだけでなく、メニューのレパートリーを増やしてみよう。マッシュルームリゾットに加えたり、ミニトマトとソテーしても美味しい。シーフードが好きな人は、帆立のたたきに添えて食べるのもオススメ。

鉄分が強化されたシリアル

プレストによると、鉄分を強化して作られたシリアルは、3/4カップあたり最大で18mgの鉄分が含まれているので、女性の多くはこれで1日の推奨量を一気に満たすことができる。多忙なライフスタイルを送っているなら、身体のニーズを手っ取り早くカンタンに満たせる手段のひとつとして、このようなシリアルを活用してみるといい。

スイスチャード

ほうれん草が苦手なら、サラダや炒めもの、スムージーにほかの緑の野菜を加えるように。米農務省によると、茹でたスイスチャードに含まれる鉄分は1カップあたり4mg。さらに、タンパク質や食物繊維、カルシウム、ビタミンAやビタミンCも同時に摂取できる。スイスチャードの素晴らしいところは、1カップあたりに961mgものカリウムが含まれていること。スイスチャードは、心臓に優しいカリウムの素晴らしい供給源であることも覚えておこう。

赤いんげん豆

high angle view of kidney beans against white background
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米農務省によると、赤インゲン豆には1カップあたり鉄分5mg、食物繊維13g、植物性タンパク質15gが含まれている。アメリカ臨床栄養学会誌『The American Journal of Clinical Nutrition』に掲載された論文によると、ダイエットを目標にしている人は、豆、ひよこ豆、レンズ豆を毎日1/2カップ食べるようにするといい。満腹感が持続し、ダイエットにも効果的。

オートミール

米農務省によると、定番の朝食(オートミール)を100g食べると、鉄分が強化されていない一般的なオートミールであれ、鉄分を約2.2mg摂取できる。オートミールを食べれば、あなたの心臓も喜んでくれる。なぜなら、米国心臓協会によると、オートミールには食物繊維が豊富なので、心臓病や脳卒中、肥満、2型糖尿病のリスクを下げてくれるそう。

白米

warm japanese rice
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プレストいわく、わずか1/3カップの白米にも3mgの鉄分が含まれている。ひよこ豆など、このリストの中にある食材と一緒に白米を食べるようにすれば、1度の食事でも毎日の推奨量をほぼクリアすることができるはず。

レンズ豆

米農務省によると、1/2カップ分のレンズ豆を火に通してお皿に盛り付ければ、料理に鉄分3.3mgとタンパク質約8gを上乗せすることになる。2017年の文献レビューによると、レンズ豆はほかの豆類より多くのポリフェノールを含有している。ポリフェノールは、慢性疾患のリスクを減少させる抗酸化物質の一種。

キヌア

キヌアは、完全にヴィーガンの食事をしている人にとっては最適なタンパク質源であり、1カップあたりに含まれるタンパク質の量はなんと8g。しかも、体内で作ることのできない9種類の必須アミノ酸がすべて含まれている(一般的には動物性食品にしか含まれていない)。さらに、1カップあたりに3mgの鉄分を摂ることができ、リンやカリウム、マグネシウムなどのミネラルも豊富。キヌアは、独特の食感とナッツのような味わいを兼ね備えているので、穀物との置き換えにも最適。

ベーグル

アメリカ栄養士会で広報担当を務めるシアトル在住の管理栄養士、エンジェル・プラネルズが言うには、栄養が強化されたベーグルであれば、オニオン、ゴマ、ケシの実、レーズンなど、ほとんどすべての種類のベーグルを食べても、鉄分を十分に摂取することができる。米農務省によると、ミディアムサイズのベーグル(トッピングに含まれる鉄分は除く)に含まれる鉄分の量は3.75mg。

牡蠣

opened oysters on table with lemon
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魚介類は、赤身の肉の代わりとしても優秀であり、とくに牡蠣は鉄分が豊富。米農務省によると、牡蠣を4個食べれば、約7.8mgの鉄を摂ることができる。また、免疫の健康に不可欠であり、多くの人が不足しがちな亜鉛も5mg程摂取できる。

エンドウ豆

プラネルズいわく、料理を盛りつけたお皿にエンドウ豆をトッピングすれば、鉄分を余分に補うことができる。驚くべきことに、塩茹でしたエンドウ豆には1カップあたり2.5mgの鉄分が含まれている。カルシウムやマグネシウムも豊富であるため、骨の健康にも優れる食材のひとつ。

グリッツ

プレストが言うには、インスタントのグリッツ(乾燥させたトウモロコシを挽いた粉で作るお粥のこと)1/2カップに含まれる鉄分の量はなんと7.1mg! シリアルやオートミールと同様に、お腹と1日の推奨量を同時に満たしながら、出先でも手軽に食べられる朝食のひとつ。活用しない手はないかも。

枝豆

高タンパク質のおやつを探していたならコレ。米農務省によると、枝豆には筋肉を作るタンパク質が150gにつき18gも含まれている。これに加え、カリウムや食物繊維、ビタミンC、ビタミンAもたっぷりと含まれており、鉄分を3.5mgも摂取できる。これはスゴイ!

ダークチョコレート

rustic homemade dark chocolate
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米農務省によると、一般的なダークチョコレート、1オンス(約28g)に含まれる鉄分の量は約3.4 mg。そのうえ、イギリス発の高級オーガニックチョコレート「グリーン&ブラックス」のようなカカオ70〜85%以上のチョコレートに使われる砂糖の量は、12ピースあたりわずか8gと少ない。チョコレートを選ぶときは、砂糖の含有量にも注意しておこう。

ブランマフィン

ダイエットの常識を覆すようだけど、プラネルズいわく、マフィン(しかも炭水化物)は適切な栄養素(とくに鉄分)の供給源として食べてよいもの。米農務省によると、オートブランのマフィンには1個につき4.75mgの鉄分が含まれており、腸の健康を支える食物繊維も豊富。

かぼちゃの種

かぼちゃの種は、1カップにつき3.7 mgの鉄分を含んでいるので、ローストして食べるのをわざわざ秋になるまで待つ必要はまったくない。鉄分以外にも、タンパク質や良質な脂質、マグネシウム、カリウムが非常に多く含まれている。

ドライアプリコット

米農務省によると、ドライアプリコットは1カップあたり3.5mgの鉄分を含有しているので、ヘルシーな甘いおやつにぴったり。

豆腐

fresh cheese pieces
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豆腐は、鉄分の含有量が突出して高いわけではないが、それでも植物中心の食事をしている人にとってはかなり優良な食材のひとつ。米農務省によると、豆腐170g前後につき鉄分3mg、タンパク質18gが含まれている。豆腐を食べる一番の利点は、カレーや朝食のスクランブルエッグ、炒めものなど、活用の幅が非常に広いこと!

ベイクドポテト

人気の前菜は、意外にもヘルシーだったみたい(サワークリームとバターが加えられていなければ)。米農務省によると、ラージサイズの皮付きベイクドポテトには、鉄分が3mg強含まれており、おまけにビタミンCの1日の推奨摂取量の1/3を満たすこともできる。さらに白いジャガイモにたっぷり含まれる腸に優しい難消化性デンプンは、満腹感を持続させ、消化を助けてくれる。

※この記事は、『Prevention』から翻訳されました。

Translation : Yukie Kawabata

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Alisa Hrustic
Deputy Editor, Prevention

Alisa Hrustic is the deputy editor at Prevention, where she leads the brand’s digital editorial strategy. She’s spent the last five years interviewing top medical experts, interpreting peer-reviewed studies, and reporting on health, nutrition, weight loss, and fitness trends for national brands like Women’s Health and Men’s Health. She spends most of her days diving into the latest wellness trends, writing and editing stories about health conditions, testing skincare products, and trying to understand the next greatest internet obsession.

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Kayla Blanton is a freelance writer-editor who covers health, nutrition, and lifestyle topics for various publications including Prevention, Everyday Health, SELF, People, and more. She’s always open to conversations about fueling up with flavorful dishes, busting beauty standards, and finding new, gentle ways to care for our bodies. She earned a bachelor’s degree in journalism from Ohio University with specializations in women, gender, and sexuality studies and public health, and is a born-and-raised midwesterner living in Cincinnati, Ohio with her husband and two spoiled kitties.