更年期は、ときとして長く厳しい。

米クリーブランドクリニックによると、更年期ではエストロゲンとプロゲステロンの分泌量が減り、数カ月から数年にわたって不快な症状が現れる。まるで思春期をもう一度やり直すようなもの。

更年期の症状と言えば、ホットフラッシュ、ブレインフォグ、不眠、気分のむら。でも、そのリストを見ているだけでは実感が湧かないし、更年期の症状の中には広く知られていないものもある。これは問題。

カリフォルニア州在住のジョディ・ワスキス(仮名)も「更年期の症状にもっと精通していれば、あれほど大きな恐怖や不安に襲われることもなかったでしょう」と話す。

これは、しっかり心の準備をしておいたほうがよさそう。そこで今回は、もっとも意外だった更年期の症状と、更年期に入る前に知っておきたかったことを5人の女性が教えてくれた。

体臭がひどかった

カリフォルニア州のキャシー・パルタックが最初に気付いた更年期の症状は臭い。「歯を磨いてから1時間も経たないうちに、息子から『息が臭い』と言われるようになりました」。ホットフラッシュのあとは、庭仕事を1日中したときくらい汗臭かった。

膣の悪臭にも悩まされた。「パンツを脱いだ瞬間、お風呂に何日も入っていないような悪臭が漂ってきたんです」。カンジダ症かと思いきやそうではなく、女性用のパーソナルケア用品を使っても効果が見られないどころか症状が悪化することさえあった。

絶望のあまり皮肉的になったパルタックは、もう子供が産めないことを理由に、ありとあらゆる症状が一緒になって自分をおぞましい人間にしていると思ったこともあったそう。

自分がおばあさんに思えた

カリフォルニアに住むパーソナルトレーナーのリン・モントーヤを襲った更年期の症状は極度の疲労。

自分でも気づかないくらいだったのは最初のうちだけで、活力は次第に減退。

疲労感は日を追うごとに増していき、しまいには「生徒さんにワークアウトを教えながら『私には無理、きつすぎる』と感じるほど」に。昼寝も1日1回から2回になった。

次に現れたのは見た目の変化。インスタグラム用のセルフィーを撮りながら、筋肉がなくなっていることに気づいた。「あれは本当にショックでした。事前に聞いてもいませんでしたし」と語るモントーヤは、たった6カ月で自分が別人になったような感覚に襲われた。「だんだん年老いていく感じがイヤでイヤで仕方ありませんでした」

ひとりで勝手に激怒していた

気分のむらは閉経の代表的な症状の1つ。月経前症候群(PMS)の人にとってはなじみのある言葉かもしれないけれど、更年期の気分のむらはレベルが違う。テキサス州のパティ・タッカーによると「ご機嫌そうに見えた人が次の瞬間には訳もなく激怒している。それが更年期の気分のむらです。その怒りは来るのも早ければ去るのも早いですが」

これは珍しいことじゃない。パルタックにも、取るに足らないような理由で息子を怒鳴りつけることがあった。あまりの恐怖で息子は肩を震わせていたという。頭の中では自分が過剰反応している理由を考えていたものの、自分で自分を制御するのは不可能だった。

脳機能が恐ろしい速さで低下しているような気がした

ブレインフォグなんて大したことなさそうな響きだけれど、ワスキスは「本当に若年性認知症なんじゃないかと思ってビクビクしていましたよ」。運転中に行き先を忘れてしまい、交差点で曲がる方向が分からなくなったこともある。「車を路肩に止めて考えたり、カレンダーをチェックしたりすることが何回もありました」

オーガズムが急に止まった

更年期は性生活にも影響を与える。アリゾナ州のドナ・F・ブラウンは「それまで絶叫していたのが嘘のようにオーガズムがピタッと止まってしまいました」と当時を振り返る。いまでは、かなり時間を(ときには数時間も)かけないとオーガズムに達せない。セックスの頻度も減った。「更年期に入ると性生活が変わるのは知っていましたが、ここまで劇的に変わるとは思いませんでした」

幸いにも、更年期の症状は治療可能

こういう人の話を聞くと逆に怖くなるかもしれないけれど、大丈夫。このような症状を抑えるための治療法は1つどころか何種類も存在する。その一例として、モントーヤはホルモン補充療法で活力を取り戻した。「そのあとの気分といったら最高ですよ。惨めなままでいる必要はありません」

大事なのは、自分を更年期の症状に精通させておくこと。そうすれば、あとになって驚くようなこともない。かかりつけ医に症状や悩みを遠慮なく伝えることも大切。「基礎的なことも骨盤底筋やセックスに関することも、自分から聞かないと教えてもらえませんでしたから」とタッカー。

変化を受け入れるのは大変だし、更年期の症状は確かに厄介。でも、マイナスのことばかりとは限らない。「昔といまの自分を比べて悲しむようなことはしません(もう子作りはなし!)」とタッカーは続ける。「この先の人生を本当に楽しみにしていますから」

※この記事は、アメリカ版『Prevention』から翻訳されました。

Text: Madeleine Burry Translation: Ai Igamoto