7種類のデリケートゾーンのニオイ。原因と対処法とは?
何よりも大切なのは、パニックを起こさないこと。
膣のある人なら一度は疑問に感じたことがあるはず。「私の膣は、どうして臭うの?」。でも、ひとつハッキリさせておこう。ひどい元カレや膣洗浄の広告が何と言おうと、膣には少なからずニオイがあるもの。米イェール大学産婦人科学臨床教授のメアリー・ジェーン・ミンキン医学博士によると、腸と同様、膣にも独自のマイクロバイオームがあり、驚くほど有益な細菌やイースト菌であふれているのだとか。そして、その細菌が膣に独特のニオイを与えるそう。今回はアメリカ版ウィメンズヘルスより、膣のニオイについてご紹介。
膣は普通どんなニオイ?
「膣はもともと酸性ですから、ちょっと酸っぱいニオイがするかもしれません。カビ臭く感じることもありますよ」と話すのは、米サミット・メディカル・グループの女性・こどもホットラインのチーフで産婦人科医のクリスティーン・マスターソン医学博士。
「でも、耐えられないようなニオイがすることはないはずです」
それでも、“あなたにとって”異常なニオイがすることはある。
ミンキン博士の話では、無害な汗が原因になることも、危険な感染症が原因になることもあるので、かゆみやオリモノなどの症状を伴う場合は特に、しっかりニオイを嗅いでみよう。
膣のニオイが気になる人は、リストと要因をチェックして、当てはまるものがあれば早急に産婦人科医に相談を。
1.魚臭い
可能性のある要因: 細菌性膣炎
膣が魚臭い場合の主犯はおそらく細菌性膣炎という。
米国疾病管理予防センターによると、細菌性膣炎は15~44歳の女性が一番かかりやすい膣の感染症。ミンキン博士の話では、悪玉菌の異常増殖で膣内のpHバランスが乱れたときに起こるそう。
細菌性膣炎は性感染症ではないので、単体では基本的に無害。ミンキン博士が言うように、市販のpH調節ジェルで膣を酸性に戻してあげれば、悪臭が消えることもある。
悪臭が1週間以上続く場合は、産婦人科へ。抗生物質で細菌性膣炎を撃退する必要があるかもしれないし、実はトリコモナス症(抗生物質で簡単に治る性感染症)かもしれない。
2.酵母臭い
可能性のある要因: イースト菌感染症(カンジダ症)
ほとんどのイースト菌(酵母菌)感染症は非常に臭い。
でも、強烈なかゆみを伴うドロッとしたカッテージチーズのようなオリモノからは、ほのかにビールや酵母の香りが漂う。膣周辺の発赤やヒリヒリ、排尿時の痛みがあるときは、大抵イースト菌が悪さをしている。
ミンキン博士によると、糖尿病の女性のオリモノには、イースト菌のエサになるグルコース(糖)が多い傾向にあるため、糖尿病の女性は特にイースト菌感染症にかかりやすいという。病院へ行き、処方薬または医師推奨の市販薬で対処しよう。
3.じゃこう臭い
可能性のある要因: 下着の中に閉じ込められた汗とオリモノ
合成素材(ナイロンやポリエステル)の下着を履いて、大量の汗をかいてない?
ミンキン博士の話では、通気性の悪い下着を履いて運動すると、下着の中に汗が閉じ込められて、じゃこう(雄のジャコウジカの腹部にあるジャコウ腺から得られる分泌物を乾燥した香料)のニオイがすることもあるという。シャワーを浴び低刺激のせっけんと水で洗い流せば、すぐに消えるそう。このニオイを防ぎたいなら、綿素材の下着に替えよう。汗をかいたら、すぐに着替えることも大切。
4.腐敗臭
可能性のある要因: 古いタンポン
膣の悪臭で一番問題なのがこれ。タンポンを数日以上入れっぱなしにしていると、膣から腐敗臭がするのだとか。
「密閉された空間で細菌が異常増殖することが原因です」とミンキン博士。
自分でタンポンを外したいなら、あおむけになるか、片足をトイレの便座に乗せた状態でスクワット。指を洗って膣に入れ、タンポンのひもを探す。見つからないなら産婦人科で外してもらおう。
ただし、これだけは覚えておいて。タンポンを長時間入れっぱなしにしていると深刻な感染症になり、本格的な治療が必要になることも。タンポンを8時間以上替えていない状態でインフルエンザのような症状(発熱、吐き気、体の痛み)が出たときは、早急に病院へ。
5.金属っぽいニオイ
可能性のある要因: 生理
ミンキン博士が言うように、経血は膣内のpH値を変えるため、生理中は銅やスズのようなニオイがすることもあるそう。
香りの強いせっけんを使うと膣内のpHバランスがさらに崩れてしまうので、低刺激かつ無香料のせっけんで膣を洗おう。あとは生理が終わるのを待つだけ。
6.漂白剤みたいなニオイ
可能性のある要因: 細菌性膣炎
マスターソン博士によると、膣から漂白剤やアンモニアのようなニオイがする原因は1つじゃない。まず、“通常は”魚臭い細菌性膣炎がアンモニア臭を生じることもあるのだとか。
また、体が水分不足のときは特に尿のニオイが強くなるし、セックス(精液の酸性度は低い)や潤滑ジェル、殺精子剤がアンモニア臭をもたらすことも。この手のニオイは自然に消えるのを待てばいいけれど、数日たっても引かない場合は産婦人科へ。
7.甘い香り
可能性のある要因: 食べ物かイースト菌感染症(カンジダ症)
甘い香りがするときは、膣に問題があるなんて思わないかも......。マスターソン博士によると実際、主な要因は食べ物という。
「かんきつ系のフルーツを食べると、膣から甘い香りがすることもありますよ。アスパラとニンニクも、尿とオリモノのニオイを変えることで知られています」
とはいえ、イースト菌が甘いニオイをもたらすこともあるので、イースト菌感染症の症状が出ている場合は、市販薬を使うか産婦人科医に相談を。
医師の診察を受けるべきケースとは?
女性の健康を専門とするジェニファー・ワイダー医学博士によると、膣のニオイが気になるときは迷わず医師の診察を受けてほしいそう。
しばらく様子を見てもいいけれど、3~4日たってもニオイが消えないときは絶対に病院へ。オリモノ、ヒリヒリ感、かゆみなどの症状を伴う場合は特に放置はしないように。
なぜ? ワイダー博士の話では、放置した感染症が子宮や卵管に広がって、不妊を含む長期的な問題を引き起こすこともあるという。
そして、これだけは忘れないで。
「医師を前にして恥ずかしがる必要は一切ありません。膣に問題があって産婦人科を訪れる女性は多いですから」
かかりつけの医師に話す気になれないときは、病院を変えてみるといいかもしれない。
「総体的な健康とウェルビーイングには、医師とオープンで正直な関係を築くことが不可欠です」とワイダー博士はアドバイスをくれた。
※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。
Text: Tracy Middleton And Sarah Bradley Translation: Ai Igamoto
主にSNS周りを担当。オーガニック・ヘルシーフード・K-POPなどのリサーチ力が持ち味。オーガニックワイン、ヴィーガンフードなどのキーワードから、土壌を始めとする環境問題などにも興味を持ち、記事へとつなげている。 2022年までウィメンズヘルス編集部に在籍。