マスタベーションは恥ずかしいことではない? 歴史や効能を知ったら意識も変わるはず。メンタルケアとしても今まさに注目されている”セルフプレジャー”とは? 医師が薦めるセルフプレジャーを楽しむための方法やメリットやデメリット。セルフプレジャーの世界を隅々までご紹介!
目次
- セルフプレジャーとは?
- 日本女性がセルフプレジャーを隠す理由
- _なぜ女性は「オナニー」がタブーなの?
- _性生活がオープンだった江戸時代
- 海外女性は「ひとりH」が当たり前? こんなに違う日本女性との差
- セルフプレジャーのメリット
- セルフプレジャーのデメリット
- セルフプレジャーを楽しむ11のコツ
セルフプレジャーとは?
self=「自分で 」「pleasure=悦びを得る」こと、つまり、「自慰」や「マスターベーション」、「ひとりH」のことで、自分で自分の体を愛撫することを指す。
日本女性がセルフプレジャーを隠す理由
欧米に比べて、まだ抵抗を持っている女性も多いのは事実。でも実は昔の人はもっと”性”に対してオープンだったとか。一体なぜ現代社会ではタブーになってしまったの? その歴史的背景をアダルトグッズメーカーの先駆者である「TENGA」が教えてくれた。
なぜ女性は「オナニー」がタブーなの?
そもそも「オナニー」の語源は、旧約聖書に登場する「オナン」という男性の名。オナンは膣外射精、つまり生殖を目的としない射精をしたという罪で命を絶たれた人だった。それが転じて、生殖を目的としない射精行為=「オナニー」という言葉が使われるようになったそう。
「この聖書の話がもととなって「オナニーは罪だ」という思想がキリスト教文化圏にできたようで、その思想が明治時代に西洋の文化と共に日本に入ってきたことにより、現在まで続くオナニー害悪論になっていると思われます」(TENGA広報)
性生活がオープンだった江戸時代
実は明治維新の前、江戸時代では日本人の価値観として”性”に対してはもっと寛容だったそう。
「女性の性欲に関する歴史を調べたことがありまして、その際に女性用バイブレーターの歴史を遡りました。すると意外なことに、日本も昔は性に対してとてもオープンだったんです。例えば江戸時代の春画では、張り型(男性器を模したもので、主に女性の自慰に使われていた道具)を選ぶ女性の様子が描かれていたり、自慰にふける女性を描いた作品も多く残っていたりするんです。奥女中の間でも、セルフプレジャーアイテムが流行していたという記録もあります」 (TENGA広報)
引用記事:ホントに経験ない? 日本女性が「セルフプレジャー」を隠す理由
海外女性は「ひとりH」が当たり前? こんなに違う日本女性との差
日本の女性と海外の女性では、セルフプレジャーの意識にどんな違いが?
「 欧米とアジアの比較になってしまいますが、例えばアメリカは、『Sex and the City』に代表されるような、女性が社会で活躍して、セックスについてもオープンに話す、という描写の作品も多いですよね。そういう影響なのか、欧米では男性よりむしろ女性の方が性に関して大らかというか、オープンに語るカルチャーがあり、女性用セルフプレジャーグッズも積極的に取り入れられている傾向が強いんです。逆に、男性にとっては、『ひとりHは、モテない男がするもの』『セックスをする相手がいない男がするもの』というイメージを持つ人も多いんです。欧米では、『男性がするのはダサい』、『女性はセルフプレジャーを楽しめるのはいいことでしょ』というような感じ」
一方、日本は、女性がセルフプレジャーをするのは「恥ずかしい」とか、そもそも「女性はセルフプレジャーをしない」という意識が根強く、男性は「自慰するのが普通」。男性のセルフプレジャーと女性のセルフプレジャーに対する意識は、欧米と日本では真逆なのだ。
引用記事:海外女性は「ひとりH」が当たり前? こんなに違う日本女性との差
セルフプレジャーのメリット
これらの取材は2020年初期に行われた。この年”フェムテック”というキーワードがトレンドとなり、多くのメディアが関連アイテムとしてセルフプレジャーグッズを取り上げるように。同時に、TENGAを始めとする多くの企業が”フェムテック”アイテムの店舗をローンチした。また、ファッションブランドの店頭でもフェムケアグッズを一部店頭に置いたり、期間限定のフェスなどが、原宿ラフォーレ、伊勢丹、六本木ヒルズなどで開催され、フェムテックは瞬く間にムーブメントになっていく。それでも、知ってはいるものの、まだ実際に手に触れたことのない女性が多いことも確か。そこで、セルフプレジャーは私たちにとってどんな効果をもたらしてくれるの? 具体的な効果を聞いてみた。
治療法として開発されたバイブレーター
そもそも、西洋で開発されたバイブレーターは、セルフプレジャーの道具としてではなく、ヒステリーの治療用として開発されたものだったそう。
「”ヒステリー”の語源は”子宮”なんです。ギリシャ語の”ヒューステラ”からきています。女性がよく訴える腹痛や頭痛、めまいといった症状の原因は、「子宮があるからだ」とされていた時代がありました。「女性器を刺激すれば治る」と考えられ、バイブレーターの開発に繋がっていたそうですよ」(TENGA広報)
ストレス軽減
「眠りの専門医のお話によると、セルフプレジャーでオルガズム(絶頂)を感じると、脳内には「オキシトシン」と「エンドルフィン」という2つのホルモンが出るそうです。オキシトシンは、ハグをすると出ることでも有名ですが、別名「幸せを呼ぶホルモン」と言われるだけあって、ストレスを軽減させてくれたり、緊張を和らげる作用があるそうです」(TENGA広報)
寝つきが良くなる
TENGAで行ったアンケート結果によると、「セルフプレジャーをすると寝つきが良くなる」と回答した女性が多かったそう。オキシトシンは「眠りのホルモン」と呼ばれるメラトニンのもとであるセロトニンの分泌を促す効果があり、結果的にメラトニンの分泌量も増えるため、睡眠を支えてくれる。
「エンドルフィン」には、強力な鎮痛、鎮静作用があり、その効果はモルヒネの数倍と言われるほど。この2つのホルモンの働きによって、「セルフプレジャーで寝つきが良くなる」と回答した女性が多かったのだと考えらえます」(TENGA広報)
アンケートでは、マッサージをするとか、ヨガをするとか、いわゆる眠りを助けそうなもののなかで、「寝つきが良くなる行動」としてセルフプレジャーがなんと2位にランクイン。「セルフプレジャーをすると眠りを助けると思う」と回答した人が7割もいたそうだ。
「眠りを助けるという意味では、セルフプレジャーは効果的な部分はあるのかなと思いますね。女性はセルフプレジャーで快感を得ると、心身ともにリラックスした状態になります。リラックスすることで寝つきが良くなり、それによってホルモンバランスが整うことにつながるのではないかと思います」(TENGA広報)
セルフプレジャーのデメリット
刺激が強すぎ、セックスが楽しめなくなる
「やりすぎたり、間違ったやり方をしてしまうと、セックスの時に快感を得られにくくなってしまう場合があります」(TENGA広報)
激しすぎる刺激や、実際のセックスとは遠い刺激でやりすぎると、実際のセックスでいけなくなる可能性もある……ということ。
中毒性がある
セルフプレジャーに適正の頻度の正解はない。しかし、日常生活に支障が出るほど夢中になったり、自分で回数をコントロールできなくなったりしたときは、依存症の危険が。その場合は医療機関の受診をおすすめする。
引用記事:ひとりHは健康にいい? 「セルフプレジャー」のメリットとデメリット
セルフプレジャーを楽しむ11のコツ
ここからは実践編。米スタンフォード大学メディカルセンターの女性性医学部長で臨床准教授のリア・ミルヘイザー医師は、「マスタベーションをすると、ストレスと不安が発散されます」と話す。オーストラリア版ウィメンズヘルスの記事から、より楽しむためのコツを紐解いてみよう!
1.手鏡を用意する
マスタベーションを始める前に自分の体を詳しく知ろう。「女性は自分の体の構造に精通しておかなければなりません」と話すのは、臨床心理士で公認セックスセラピストのジャネット・ブリト博士。
まずは昔ながらの方法(手鏡)で自分の体をくまなく調査。外陰を観察し、クリトリスの位置を確認するには、それが一番。ほとんどの女性にとって一番気持ち良いのは、15,000本の神経終末を持つクリトリス。でも、これは、その位置を知っていればの話。
外から見えるのは、陰核包皮(性的な興奮によって引っ込む皮弁)と小さなボタンのような陰核亀頭。
でも、この2つはオーガズム氷山の一角に過ぎない。陰核包皮の下にあるのは、陰核亀頭、陰茎、陰核脚、前庭球。
これがクリトリスの“脚”の部分で、全長5.5~6.5cm。ペニスと同様、興奮すると勃起する。
手鏡による観察を終えたら「好奇心を持ってやさしく触り、一番敏感なパーツ、性的な興奮をもたらすパーツ、触るとくすぐったいパーツ、触っても気持ち良くないパーツを特定しましょう」とブリト博士。
全てのパーツをじっくり調べ、気持ち良いパーツと、そうでないパーツを見つけよう。
2.“その気”になる
相手がいるときは、キャンドルを灯して、セクシーなランジェリーを着け、セックス用のプレイリストをかけるでしょう? マスタベーションでも同じだけの努力をして。
「まずはプライバシーを確保して、誰にも邪魔されない空間を家の中に作りましょう。心からリラックスできる快適な空間です」とブリト博士。居住空間をキレイにすれば頭も自然とスッキリするので、気持ち良いことと悪いことの判別が付きやすくなり、オーガズムに達する確率が高くなるという。
3.目の前のタスクに集中する
マスタベーションは“自分”の時間。だから、外の世界は存在しないものとして、体の中で起きていることに注意を払おう。
「マインドフルネスを実践できる女性は、オーガズムに達するのが早いです。いつの間にか別のことを考えている自分に気付いたら、それを認識した上で、意識をそっとマスタベーションに戻しましょう」とミルヘイザー医師。
でも、臨床心理士で公認セックスセラピストのナン・ワイズ博士は「思考のスイッチを切らなくてもオーガズムは得られます」と指摘する。ワイズ博士は自身の論文『Brain Activity Unique to Orgasm in Women』の中で、オーガズムによって脳が刺激される仕組みを説明している。大事なのは「感覚に注意を払う」こと。瞑想で呼吸を意識するのと同じ。
快感に全神経を集中させれば、オーガズムが何倍も気持ち良くなる(そうじゃなきゃマスタベーションをする意味がない)。
4.想像力を使う
「想像の中身は人によって違います。あなたとパートナーのことである必要もありません」とミルヘイザー医師。
好きでもないのにムチや鎖を登場させる必要も、官能小説やAVで見聞きした内容を取り入れる必要もない。
「良し悪しの判断抜きで、あなたを“その気”にさせる物事を見つければいいのです」とブリト博士。創造力に歯止めをかけず、どうなるかを観察しよう。
ミルヘイザー医師いわく、女性の中には、他の女性の性行為を想像する人もいる。これは全然普通だし、正直言って驚くべきことでも何でもない。レズビアンのAVを好む女性は意外と多い。
レズビアンの女性が男性をネタにマスタベーションするのも普通。「想像の中身が何であれ、自分のセクシュアリティを疑問視する必要はありません」とミルヘイザー医師。
5.挿入してみる
「クリトリスをやさしく刺激するのが好きな女性もいれば、挿入や、挿入とクリトリスのコンビネーションが好きな女性もいます」とブリト博士。
せっかくセルフプレジャーの世界に足を踏み入れたなら、指やディルド、ペニス型のバイブレーターを挿入するマスタベーションも試してみて。好きじゃないなら、それでいい。それも自分が本当に好きなことを知るための足がかり。
6.潤滑ゼリーを使う
セックスで大活躍する潤滑ゼリーは、マスタベーションでも役に立つ。ミルヘイザー医師によると、避妊ピルを飲んでいて膣が乾きやすい人には特にオススメ。マスタベーションでは“濡れる”ことが非常に重要。
「そのほうが性器をスムーズに刺激できますからね」
米インディアナ大学の性の健康促進センターが行った調査では、参加者の50%が「潤滑ゼリーでオーガズムに達しやすくなった」と答えている。
7.体を徹底的に調べる
あなたの体、特に性器周辺はワンダーランド。でも、自分で調べてみないことには、その潜在的な能力を引き出せない。
「マスタベーションは指で始めるのが一番です。マスタベーションに関して未熟なうちは、『ここだ!』と思える部位を探すのが先決ですから」とミルヘイザー医師。
クリトリスをベッドにこすりつけるのが好きな人もいれば、あおむけになるのが好きな人もいる。
「理想的なポジションは人によって違います。いろいろ試して、自分に合ったポジションを見つけましょう」
ベテランさんは、マスタベーションのテクニックを変えてみて。いつもあおむけでしている人はうつぶせになってみて、いつも手を使っている人はシャワーヘッドを使ってみよう。ミルヘイザー医師いわくシャワーヘッドは女性に人気。
「シャワーヘッドは手軽なバイブレーターみたいなもので、人体の最も敏感な部位に脈動する刺激を洗えてくれます」(温かくて気持ち良いのもボーナス)
8.自分をじらす
毎回アクセルを全開にしなくても、マスタベーションでオーガズムは得られる。“寸止め”は、マスタベーションで性的に敏感な部位の緊張を高めていき、オーガズムに達する直前で手を止めるテクニック。
ワイズ博士いわく寸止めは、オーガズム前の快感を長引かせるにはピッタリの方法。マスタベーションが初めてじゃない人は、ぜひお試しを。
9.オモチャで遊ぶ
バイブレーターは最高の発明品。最近のバイブレーターは大半がクリトリスを刺激するように作られており、中にはオーラルセックス(舐められている感)を再現するトイまである。弾丸の見た目のコンパクトタイプから棒タイプまで、試せるオプションはいっぱい。
気弱な人はウーマナイザーという小さなデバイスを試してみて。「クライアントや友達には、いつもこれを勧めています。振動しながらクリトリスに圧をかける吸引型タイプです。自分で自分を抑えるのが大変ですよ。やさしく吸い上げて、オーガズムに導いてくれますからね」とミルヘイザー医師。
10.クリトリス以外のことも考える
「全体は、性的な各部位の和より大きい」とワイズ博士。つまり、性的に敏感な複数の部位(クリトリス、膣、子宮頸部、乳首、内もも、アナルなど)を同時に刺激すれば、大きな快感が得られるということ。
「横になり、手を思いのままに動かしましょう」とブリト博士。
必ずしもデリケートゾーンを触る必要はない。乳首とアナルに対する刺激でも、オーガズムには到達できる。だから、もっとクリエイティブになってみて。
11.楽しむ
ワイズ博士によると、マスタベーションで一番大事なのは「その感覚を味わうこと」であり、オーガズムに達しようという意思ではない。「その体験に浸ることが重要です」(集中に関するアドバイスを思い出して)
セックスや恋愛と同じで、マスタベーションは何の期待も抱かずに(オーガズムすら求めずに)始めるのが一番いい。ブリト博士が言うように、期待は不安な気持ちを生むから。
初めてのときは特に何も起こらないかもしれないけれど、それは全くもって普通だし、焦る必要は一切ない。あなたは実験をしているだけで、他人にスゴイと思ってもらう必要はない。
自分にとって一番気持ち良いことを見つける。あなたは終始、それだけを考えていればいい。時間をかけて、感じ尽くして。
オーストラリア版ウィメンズヘルスから引用:12 Best Tips For Touching Yourself And Loving Every Second Of It
今回紹介したセルフプレジャーグッズのいくつかをYouTubeでもレビューしているので気になる人はチェックしてみて!