私たちは、1日中パソコンやスマホにくぎ付け。仕事帰りに公園のベンチでひと息ついたり、朝から走ったりしていても、自然の力を忘れがち。科学情報誌『Scientific Reports』に掲載された2019年の論文は、自然の中に週120分身を置くだけで、健康状態とウェルビーイングが改善することを示している。また、自然の中で時間を過ごせば、ストレスが減り、“休息・消化モード”の副交感神経が活発になることも分かっている。オーストラリア版ウィメンズヘルスから詳しく見ていこう。

そればかりか自然には、うつ病や不安神経症の症状を緩和し、ドーパミン、エンドルフィン、オキシトシンの産生量を増やし、免疫系を強化して、血圧を下げる力もある。

「私たちは自然そのものです」と話すのは、エコ心理療法士のルース・アレン。「自然はいつ何時も、私たちの中、そして周囲にあり、腸のマイクロバイオーム(微生物叢)から宇宙の果てまで、あらゆるレベルに存在しています。自然は常に変化しますが、それで小さくなったり弱くなったりすることがありません。自然に興味があるかないかの前に、私たちはみな自然の一部です」。アレンは自著『Grounded: How Connection With Nature Can Improve Our Mental and Physical Well Being』の中で、自然、自分自身、他者と常に関わることで、落ち着き、バランス、人生の試練に打ち勝つ方法を説明している。今回は、その中から5つのスキルを紹介しよう。

1.5分間のグラウンディングをする

close up of female legs walking on green grass barefoot
Sasha_Litt//Getty Images


場所は、そのときの気分で選んで。芝生や砂の上でも、ぬかるみや浅瀬でもいい。

①裸足になって、足を腰幅に開く。
②目を閉じて、ゆっくり深く息をする。
③体の感覚に意識を向ける。
④足の指を広げて足の感覚を捉え、その感覚に息を吹き込む。
⑤息をしながらエネルギーを足に向かって送り込み、足から頭のてっぺんに吸い上げる。
⑥足にかかる体重と、地面とのつながりに意識を向ける。
⑦ゆっくりと息をしながら、この状態を好きなだけ楽しんで。


2.ハチの呼吸法にトライする

不安やストレスを感じていると、呼吸が浅くなり、胸が苦しくなってくる。でも、このエクササイズで息を伸ばせば、一瞬で体が楽になり、気持ちが落ち着く。

①背筋を伸ばして座り、顔をリラックスさせるか、やさしくほほ笑む。
②耳と頬の間の軟骨に人さし指を当てる。
③無理のない程度に深く息を吸い込み、息を吐きながらその軟骨を押し、ハチのように「んー」と言う。
④これを好きなだけ繰り返す。最後は静かに気分の変化を感じてみて。

3.心の天気のパターンを見つける

あなたの今日の天気図は? 自分の中に停滞している思考や感情を知れば、限りあるメンタルエネルギーの割り振り方が分かってくる。

1日数回、自分のムードを天気と同じように1週間記録して。“ハッピー”や“悲しい”といった抽象的な表現ではなく、自分の気分の微妙な変化を天気に例えて具体的に書き、短期的・中期的・長期的な気象予測ならぬ“感情予測”を立ててみる。何が通過して、何が停滞するだろう? 自分の天気のパターンを見つけ、何が消えやすく残りやすいかを認識すれば、セルフケアが楽になるし、サポートが必要なタイミングも見えてくる。

4.マインドフルに写真を撮る

これは、インスタ映えする写真を撮る練習ではなく、のんびりと自分が引き寄せられる対象物を見つけて、“いま”に集中する練習。このスローで意図的なアプローチをとれば、心配事やTo-Doリストを自分の意思でシャットアウトできるし、外で時間を過ごしながら周囲に目を向け、“いま”を感じることもできる。その瞬間の自分の思考や感情を表すような写真を撮って。そのうちに、いままで知らなかった自分に出会える。写真があれば言葉も要らない。

5.山のように立つ

smiling young woman meditating outside in the mountain pose
Goodboy Picture Company//Getty Images

山のポーズは一見シンプル。でも、山のように立っているとなぜか力が湧いてきて、自信と落ち着きを取り戻せる。

①両足をそろえ、左右の親指をくっつけて立つ。
②左右の足に体重を均等にかける。大腿四頭筋とハムストリングの力を均等に使い、立ったまま、ヒザを曲げずにヒザの裏を前に押す。
③両足の太ももをくっつけてから押し離し、太ももの内側と外側をアクティベート。
④首を体に沿って伸ばし、手のひらを前に向ける。
⑤深く息を吸い、肋骨(ろっこつ)を持ち上げて骨盤から離す。息を吐き、ウエストの両側にキュッと力を入れて、下半身を安定させる。

この姿勢を静かに数分間キープしてからリラックス。これを何度か繰り返そう。

※この記事は、オーストラリア版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Lucy E. Cousins Translation: Ai Igamoto