歯が健康的であれば、それほど歯のことを意識することはない。食事をしても、特に歯の働きを考えてみたりすることなく、1日2回歯を磨く。(歯科医の言うことを聞いてフロスする人もいるだろう)ところが、ひとたび歯痛で悲鳴をあげることになると、その痛みをまひさせることが最優先になる。

歯痛は神経根が刺激されることで起こる。虫歯、歯の感染症、ケガ、歯周病(歯茎が後退して歯根が露出する)などが主な原因。

痛みのタイプによって原因を知ることができる場合もある。「冷たいものが一瞬染みたり、ときに断続的に痛みを感じるようであれば、歯が破折してしまってる可能性が高いです」と話すのは、米国総合歯科学会でスポークスパーソンを務めるジジ・マイネッケ歯科医師。「噛んだときしばらく痛みがある場合は、ヒビが入っているかもしれません」。あまり一般的ではないが、副鼻腔感染症で、歯根に圧がかかり痛みを感じることもあるそう。

でも、永遠に痛みと付き合う必要はなさそう。ここでは、歯痛を素早く緩和する方法と、再発を防ぐための予防策をご紹介。

最適な対処法は?

イブプロフェン、ナプロキセンナトリウムなど、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の市販薬は感染症やケガ、副鼻腔炎などによる痛みや炎症を軽減する。「2日以上経過しても改善しないようであれば、より深刻な問題があると言えるでしょう」と、イリノイ大学シカゴ校歯学部で歯内治療学の長を務めるブラッドフォード・ジョンソン歯科医師は話している。

また、ベンゾカインなどの市販されているしびれ薬(局所麻酔薬)を歯や歯茎に塗ることで、神経線維が鈍感になり痛みが和らぐ。2013年のある研究では、痛みがある歯とその周囲に20%のベンゾカインを塗布すると、87%の確率で痛みが軽減された。

歯科医を受診し、痛みの原因となる虫歯を早期に発見すれば、詰めもので修復することができる。歯髄まで達してしまい、進行した感染症の場合は根管治療が必要。歯科医は感染した歯髄を除去し、そのスペースを埋めて密閉する。ヒビがあったり、割れてしまっている場合は、通常クラウン治療(被せものをする)や根管治療、また必要であれば抜歯を行う。(米国歯内療法専門医教会によると、熱いものや冷たいものを食べた後、30秒以上痛みが残るようであれば、すぐに歯科医を受診する合図だそう)

歯痛の予防法は?

以下の4つを意識しよう 。

1.歯の衛生状態を保つ

歯垢(歯を侵す細菌が付着した柔らかいネバネバ)を取り除くために、1日2~3回歯を磨き、毎日フロスで歯と歯の間の歯垢を落とす。「フロスは歯にCの字を描くように巻きつけます」とマインネック歯科医師。

2.マウスガードを検討する

睡眠中に行われることの多い歯ぎしり(ブラキシズム)は、歯にヒビを入れたり、ダメージを与えたりする原因になることがある。マウスガードは上の歯と下の歯を分離し、力を均等に分散させることで、ダメージから保護する。

3.優しくブラッシングする

アグレッシブな歯磨きはエナメル質をすり減らしてしまうことが研究によってわかっている。このため、手動あるいや電動で、毛先が柔らかく、軽いタッチのブラシを使用するといい。ブラシは45度の角度で持ち、小さな円を描くように2分以上磨く。

4.検診を怠らない

定期的に歯科医院を訪れることで、問題が進行して痛みを伴う前に発見することができる。さらに、プロによるクリーニングでは、自宅での通常のブラッシングでは届かない場所もチェックしてもらえる。

※この記事は、『Prevention』から翻訳されました。

Text: Richard Laliberte Translation: Asami Akiyama