40代に入ると、食生活は何も変えていないのに、エネルギーが前ほど続かなくなったり、おなか周りに脂肪が付いてきたりする。

これは決して気のせいじゃない。40代に近づくと、女性の基礎代謝率は低下して、エストロゲンの量が減り、血管のハリがなくなる。著書に『The MIND Diet』を持つ栄養士のマギー・ムーンによると、それが理由で腹部に脂肪が付きやすくなり、心疾患、認知機能の低下、骨粗しょう症のリスクが上がる。「でも、毎日の食事には、その状況を大きく変える力があります」

40歳を過ぎたら、食生活にシンプルな10の変化を加えてほしい。それがフィットでヘルシーな生活の基盤になるから。早速見ていこう。

1.カルシウムの摂取量を増やす

    「エストロゲンの産生量が減ると、カルシウムが体に吸収されにくくなります」と話すのは、著書に『Body Kindness』を持つ栄養士のレベッカ・スクリッチフィールド。骨粗しょう症のリスクは加齢と共に高くなるので、カルシウムは絶対不可欠。「50歳以上の女性は1日約1,200mg、40代の女性は1日約1,000mgのカルシウムを摂取しましょう」。これは、カルシウムたっぷりの食品3~4食分に相当する量。ヨーグルト、チーズ、牛乳だけでなく、カルシウムが強化されたシリアルやプラントベースのミルク(アーモンドミルクや豆乳)、濃い緑色の葉物野菜(ケール、ホウレン草、コラードグリーンなど)もオススメ。

    2.タンパク質の摂取量を増やす

    これは食事にも間食にも言えること。お皿には、言い訳なしでタンパク源を。加齢と共に筋量が減る中で、筋肉の維持と強化を促進するタンパク質(とウエイトトレーニング)は絶対に欠かせない。栄養士のクリスティ・ブリセットによると、これまでの研究結果は、終日にわたりタンパク質が豊富な食品を摂取すれば、筋力トレーニング中もタンパク質が効率的に使えることを示している。食事のたびにタンパク質を30g摂取して、間食には必ずタンパク質が豊富な食材を使うこと。タンパク質30gは、鶏肉、魚、脂肪の少ない肉、プラントベースのタンパク源(レンズ豆や大豆)約120gと考えて。「間食では、約30gのナッツ、大さじ2杯のフムスまたはナッツバターかシードバターで体のタンパク質ニーズを満たしましょう」とブリセット。

    3.ナトリウム(塩分)の摂取量を減らす

    「閉経には膨満感が付きものです。ナトリウム(塩分)の多い食生活は膨満感の主要因となるばかりか、膨満感を悪化させることもあります。だから成分表示を読むことが大切なのです。食べたときに塩辛くなければ大丈夫というわけではありません」と話すのは、栄養士支援サイト『Dietitians For Professional Integrity』の戦略ディレクターで栄養士のアンディ・ベラッティ。「多くの人は、塩味のピーナッツ1食分に、パン1切れ、または牛乳1杯と同等の塩分が含まれていることを知りません」。意外にも、焼き菓子には大量の塩分が隠されている。甘いマフィンやクッキー、朝食のシリアルにも要注意。ベラッティいわく大半のカフェのマフィンには、ポテトチップス4食分の塩分が使われている。サラダドレッシング、調味料、瓶入りのソース、冷凍食品も塩分たっぷり。

    4.週2回、脂の乗った魚を食べる

    閉経に伴うホルモンの変動は、心疾患のリスクを高くする。逆にオメガ3脂肪酸たっぷりの食生活は、心血管系疾患のリスクを下げる。だから40代に入ったら、オメガ3が豊富な魚(サーモン、サバ、イワシ、マス、ニシンなど)を定期的に摂取して。「EPAとDHAは魚と魚油に含まれるオメガ3で、脳、心臓、眼の健康を支えます」とブリセット。1食分は手のひらサイズ、それを週2回摂取しよう。「年を取ると、日光に反応して皮膚が産生するビタミンDの量が減ります。脂の乗った魚はビタミンDの優秀な供給源でもあるので、40代の女性にはうれしいですね」

    5.満を持してキヌアにトライ

    キヌアの流行に乗り遅れたという人は、いまがチャンス。「40歳を過ぎてからは、これまで以上に全粒穀物が重要になりますよ」と話すのは、著書に『The Nutrition Twins' Veggie Cure』を持つ栄養士のタミー・ラカトス=シェームズとリジー・ラカトス。「精製された穀物はエネルギークラッシュ(エネルギーが急激に失われること)を招きます。その結果、甘いものが恋しくなったり、全体的に食べすぎたりして、体重が増えてしまいます」。臨床栄養学専門誌『The American Journal of Clinical Nutrition』掲載の研究結果からも、ダイエット中に全粒穀物を食べた人は、精製穀物を食べた人より腹部脂肪を多く減らしたことが分かる。キヌアには、エネルギーを安定させて、クラッシュを防ぐために協力して働くタンパク質と食物繊維も含まれている。

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    6.緑の葉物野菜をもっと食べる

    野菜を食べるべきなのは周知の事実。でも、中年の食生活には、とりわけ緑の葉物野菜を取り入れることが大切。「複数の研究によって、野菜の多い食生活は認知機能の低下を防ぐことが分かっています。中でも特に優秀なのは緑の葉物野菜です」とムーン。「私はラシネートケールが好きですね。千切りにして、高品質のオリーブオイルを少なくとも5分もみ込んでから、ダイスカットのプラムとアーモンドのファッロ(スペルト小麦)サラダに入れてみましょう」。緑の野菜は、朝食のスムージーやスクランブルエッグ、オムレツとも相性がよい。

    7.大豆の摂取量を増やす

    根拠のない噂を信じて、枝豆、豆腐、豆乳、テンペといった栄養たっぷりの食品を避けないで。「大豆を食べすぎて乳がんのリスクが上がることを懸念する女性は多いですが、それが真実であることを裏付けるエビデンスはないに等しい状況です」とスクリッチフィールド。「大豆製品には、ホットフラッシュを抑える植物性エストロゲンが豊富です」。大豆は、心疾患と骨粗しょう症のリスクを下げることも分かっている。「重度に加工されたソイプロテインバーや大豆ホットドッグではなく、枝豆やテンペ(大豆と善玉菌から作られる)など、加工が最小限に抑えられた大豆製品を選びましょう」とブリセット。

    8.食事と間食は早めに済ませる

    夜型の人はよく聞いて! 米ペンシルバニア大学が発表した2017年の論文によると、カロリーの摂取量が同じでも、それを遅め(正午から夜11時)に摂取する人は、早めに摂取する人よりも体重が増えやすく、コルチゾール値とインスリン値が高くなりがち。その結果、糖尿病や心疾患といった慢性疾患のリスクが上がることもある。食事を早めに済ませたほうがエネルギーも安定しやすい。

    9.バルサミコ酢を頻繁に使う

    バルサミコ酢は健康の強い味方。「バルサミコ酢には、高血圧と心疾患のリスク上昇を防ぐアントシアニンという強力なフラボノイド(ブルーベリーに含まれているのと同じタイプ)が含まれています」とベラッティ。「アントシアニンは、フリーラジカルのダメージから動脈を守ります」。グリーンサラダだけでなく、全粒穀物のサイドディッシュやロースト野菜、フルーツサラダにも振りかけて。

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    10.脂質を摂って脂肪を減らす

    ぜい肉が付くのを防ぎたいなら、もっと脂質を摂るといい。でも、ムーンによると、それは“正しい種類”の脂質じゃなきゃダメ。「40歳以上の女性約9千名を対象とした研究では、ヘルシーな脂質たっぷりで心臓によいとされる地中海式の食生活をうまく続けた女性ほど、ぜい肉が少ないという結果が出ました」。地中海式ダイエットでは、オメガ3が豊富な魚、オリーブオイル、ナッツ、フルーツ、野菜を中心に摂取する。

    ※この記事は、アメリカ版『Prevention』から翻訳されました。

    Text: Perri Ormont Blumberg Translation: Ai Igamoto