むくみを和らげる食べ物を管理栄養士が指南! 注目はアボカド、ニンジン、ブロッコリー
テレワークはむくみやすいので注意!
塩分の摂り過ぎやお酒の飲み過ぎ、それから長時間デスクに向かっているうちにむくんでしまった、という経験がある人も多いはず。今回、管理栄養士の櫻井麻衣子さんにむくみを和らげるのに効果的な食べ物をAsk! むくみの原因とメカニズムもあわせてお伝えするので、ぜひむくみ知らずのヘルシー美人を目指して。
Text:YOSHIE ODA
むくみの主な原因は塩分の過剰摂取
体内の水分には「血液」と「細胞間液」 「細胞内液」 があり、それぞれが必要に応じて行き来しながらも、一定の割合で保たれています。むくみとは、その一定に保たれているはずの水分のバランスが崩れ、血液中(毛細血管)から細胞間に必要以上に滲み出た状態をいいます。水分をただ多く摂取するだけでは通常は尿として排泄されるため、むくみにはなりません。
むくみの原因の中でもっとも身近なものが、塩分の過剰摂取です。体内の塩分濃度は、一定に保たれるため、塩分を多く摂取すると、濃度を調整するために水分も体に溜め込むことになってしまうのです。
むくみの3大原因とその対策~1. 塩分
塩分控えめの食事が予防になりますが、塩分が原因でむくんでしまった場合には、塩分(ナトリウム)を体外に排出する働きがある栄養素、カリウムの摂取が改善につながります。カリウムは野菜や果物、海藻類に豊富に含まれますが、水溶性で流れ出やすいため、切り口を水にさらしたり、茹でこぼしたりすると減少してしまいます。カリウムを積極的に摂りたい場合は、生で食べたり、スープなど栄養をまるごと摂取できる調理法がおすすめです。
むくみの3大原因とその対策~2. 運動不足
立ちっぱなし、座りっぱなしで足がむくむのは、ふくらはぎの筋肉を十分に動かしていないことも原因のひとつ。ふくらはぎの筋肉には血液を循環させるポンプのような働きがあるので、こまめに動かして血行を促して。
また、加齢や極端なダイエットにより、筋肉が落ちることも、むくみ体質につながります。ウォーキングやジョギングの習慣で改善を。その他、冷たい食べ物を控え、足元を冷やさない暖かい格好を心がけることも大切です。
むくみの3大原因とその対策~3. アルコール
飲酒の際はおつまみで塩分を過剰に摂取する傾向があるのに加え、アルコールが抹消の血管を拡張させるために、むくみやすくなります。おつまみはほとんど食べていないのにむくむ…という人はアルコールそのものが原因かもしれません。アルコールが代謝されれば元に戻るため改善は早い傾向にありますが、対策としてチェイサーなどで水分を多く摂り、アルコールの代謝を促すことが大切。
また、病気が原因でむくみが発生する場合も。むくみの度合いが重症で体の片側だけむくんでいたり、長引いたりするようであれば、医療機関を受診しましょう。
即効むくみケアには、入浴&マッサージ
入浴は体を温めて血流を良くするだけでなく、汗で塩分も排出できるため、むくみ改善につながります。むくむと水分を控えがちですが、入浴前後の水分補給をしっかりと行って脱水症状を予防して。
足のむくみには、マッサージなどの物理的なアプローチも有効。血流を促して足を温める効果があるため、即効性があります。その他、ヨガやストレッチも、体を伸ばすこととリラックス効果によって、血行促進が期待できます。
むくみ対策におすすめの食材7選~1. 出汁
しっかりと出汁を効かせれば、塩分控えめの薄味でも美味しくいただけます。市販の出汁パックを使う場合は、塩分が加えられているものもあるので確認を。汁物の場合、具だくさんにすれば旨みも増し、減塩とカリウムの摂取が同時に叶います。時間のない朝には、ゴボウやニンジンなどの根菜のたくさん入った栄養豊富な豚汁とご飯で十分な朝ごはんになります。
2. ショウガ
香りのよいショウガも、減塩調理ではひと役買ってくれます。ショウガは加熱することでジンゲロールという成分がショウガオールに変わり、体を温める効果がさらに上がります。味噌汁は味付けを薄めにして、すりおろしたショウガを加えるとよいでしょう。
3. ニンジン
ニンジンは、塩分を体から排出する働きがあるカリウムが豊富な野菜のひとつ。先述した通りカリウムは茹で汁に流れ出やすいので、スティック状に切って生のままサラダとして食べるのが手軽で効率的。
4. ブロッコリー
ブロッコリーもカリウムが豊富な野菜です。アクなどを含まないため、下茹でせずに炒めたり、スープにしたりするのがおすすめ。また、電子レンジや蒸し器を使えば、カリウムの流出を抑えられます。その他、野菜の中ではほうれん草やモロヘイヤ、小松菜などにもカリウムが多く含まれます。
5. アボカド
果物の中で、群を抜いてカリウムが豊富なのがアボカド。カリウムが豊富な果物として知られるバナナの倍以上のカリウムを含みます。味にクセがなく色々な料理との相性が良いので、こまめに取り入れてみて。定番のサラダの他、おひたしや和え物など、和の副菜に入れるとコクがプラスされます。
6. キムチ
味が濃く感じられるキムチですが、実は塩分はそこまで多くありません。適量であれば唐辛子の効果で、血流がよくなります。納豆や冷奴などは、タレや醤油の代わりにキムチを加えれば、減塩効果が期待できます。
7. 生ワカメ
カリウムを豊富に含む生ワカメですが、乾燥や塩蔵の加工によってカリウムが減ってしまいます。生ワカメの旬は2月から初夏の頃まで。カリウム以外のミネラルも豊富なため、むくみ対策だけでなく美容や健康のためにも積極的に取り入れたい食材です。アボカドと和え、ごま油の香りをきかせたナムル風にしてはいかがでしょうか。
まとめ
自宅時間が増えている昨今、デリバリーなど濃いめの味の塩分過剰な食事、自宅飲みでのアルコール摂取、運動不足……とむくむ要素が多くあります。むくみによって体のラインがくずれたとき、太ってしまったと思い焦って極端なカロリー制限をするとリバウンドの原因になりかねません。まずは、減塩とカリウムの摂取、適度な運動、体を温めるなどのむくみ対策を意識して、様子をみると良いでしょう。
お話を伺ったのは、管理栄養士の櫻井麻衣子さん
Profile●総合病院で調理献立に携わった後、痩身外来にて栄養指導に従事する。その後2017年よりフリーランスの管理栄養士として料理教室、食事カウンセリング、レシピ開発など幅広く活動中。「妊娠中のラクうまごはん」「がんばりすぎない離乳食」(マイナビ出版)にて料理を監修。