最近眠れてない? 眠れない夜がたまにあるくらい普通のことだけれど、それが毎日続くようなら、その寝不足が心身に悪影響を及ぼし始めるのは間違いない。

体温や照明、カフェインは、眠りを妨げる要因のごく一部。であれば、睡眠を改善するためには具体的になにをするといいの? 専門家によると、眠りを助けてくれるアイテムはいっぱいある。イギリス版ウィメンズヘルスからみていこう。

眠れないときの対処法

いつまで経っても寝付けず、何で寝れないの? と自問する夜は誰にでもある。ライフスタイルの改善に努めたことがある人ならお気づきの通り、健康を維持する秘訣は「習慣化」が肝になる。ランニングや筋トレ、1日5種類の野菜を食べる目標にせよ、成功するためには一貫した実践が不可欠! あまり知られてはいないけれど、睡眠もスケジュールを組むことで大きな恩恵を得られるようになるそう。

「睡眠に関しては、規則正しい生活習慣を徹底することがすべてと言えるでしょう」と話すのは、睡眠アプリ『Sleep School』の共同設立者で臨床責任者のガイ・メドウズ博士。「毎日同じ時間に寝て同じ時間に起きることは、体内時計を正確に保ち、夜と睡眠の関係を強めてくれます」

快眠の鍵は「一貫性」にアリ

瞑想や入浴など、毎晩決まったルーティンを続けることは、一種の条件反射を引き起こし、「特定の習慣」と「入眠」を結びつけるように脳に教え込むことができる。

規則正しい睡眠のスケジュールを維持することは、食事や運動、仕事など、日々の健康管理にも役に立つ。「これにより体内時計を正確に保てるようになり、よりよい睡眠に備えることができます」とメドウズ博士。「一定の睡眠パターンを保つことは、私たちが健康維持のために取り組める最も強力な習慣の一つです」

眠りを助ける13のアイデア

もちろん、すべてのステップに従う必要はない。質の高い睡眠を確保していくためには、自分のライフスタイルに合う夜のルーティンを作って、それを毎日継続して行うこと。「初めの数週間は、1、2個の習慣を取り入れてみて、そこからさらに新しい習慣を追加したり代替策を試していくといいですよ」と提案するのは、睡眠科学者のカット・レーダル博士。

「目指すべきは、強度よりも一貫性です」 とメドウ博士。「1つの新しい睡眠習慣を1年間毎日続けることのほうが、短期間で新しい習慣をいっぱい実践するよりはるかに効果的です」

理想的な夜のルーティンは、人それぞれが違って当たり前。いくつか試してみながら、自分に合った習慣を見つけていこう。

1.  光と共に起床する

あなたは夜型? それとも朝型? 研究によれば、朝に自然光を浴びると寝起きのリズムがリセットされて夜に眠りやすくなることから、早起きは夜の睡眠改善にも役立つそう。「光は、体内時計を24時間周期に同調させる役割があります。光によって体は1日の始まりを認識し、日中と夜間の機能を適切な順序で行えるようになります」

スヌーズボタンが好きな人も、まだ暗いうちに起床するという人も大丈夫。サンライズアラームは、夜明けを模倣した電球が付いていて、徐々に明るくなる光であなたを優しく目覚めさせてくれる便利なアイテム。通常の目覚まし時計と同様に、特定の時間にセットすることができ、最大の明るさに達するまでにどれくらいの時間をかけるかも自分で選択できるそう。就寝時にはリラックスできるように、日没のように徐々に照明を暗く落とせるアラームもあるみたい!

2.  運動は早めに済ませる

睡眠のスケジュールを組むにあたって大事な次のステップとしては、今のルーティンを見直すこと。もしかして、夜に運動している? 研究によると、夜に運動をして汗をかいていると、睡眠を著しく妨げてしまうとか。夜に運動する場合は、少なくとも就寝する2時間前までには済ませるようにしよう。体温が上昇すると、神経系が刺激されて睡眠が乱れる原因に。時間がないという人は、夜のワークアウトをヨガやピラティスなど、負荷の低いエクササイズに切り替えることを検討してみて。

3.  寝室を心地よい空間に整える

睡眠の質を高め、心身を眠りに備えるためには、寝室をリラックスできる空間に整えることも大切。まずは寝室にスマホを持ち込まないようにすること。照明を暗くし、質の高い寝具にも投資しよう。部屋を心地よい空間に整えることで、快適さが増すだけでなく、脳に就寝時間の合図を送ることもできるんだそう。

天然繊維は通気性が高いため、一晩中体温を一定に保つのに役立ち、疲れがとれる深い眠りを得られやすくなる。まずは枕やブランケットなど、すぐに購入しやすいアイテムで寝室をアップグレードさせ、一瞬で眠りに落ちてしまいそうなオアシス空間を作ってみては?

4.  ガイド付き睡眠瞑想を試してみる

瞑想がストレスやメンタルヘルスの管理に役立つことは有名だけれど、夜の瞑想は入眠を促してくれるって知ってた? 研究によると、瞑想は呼吸法を用いて今この瞬間に意識を集中させられることから、心拍数の低下や呼吸のコントロール、メラトニン濃度の上昇などの生理的反応を誘発し、そのすべてが睡眠の助けになることがわかっている。

瞑想とはいっても、なにから始めるといいの? 初めての人は、瞑想アプリ「Headspace」をダウンロードして、睡眠に特化したガイド付き瞑想を選んでみるといい。心身ともにリラックスでき、眠りに落ちやすくなるから。

5.  リラックスする

beautiful woman enjoys the sun
Maria Korneeva//Getty Images

全部試しても眠りにつけないなら? 体が睡眠モードに入りやすくなるように、毎晩寝る前にリラックスするための時間を設けてみよう。

「仕事から帰宅し、気持ちの切り替えに役立つことをするといいでしょう」とレダール博士。「本を読んだり、語学を学んだり、それが何であれ、自分の心を落ち着かせてください。私たちは機械ではなく人間です。ゆっくり過ごす時間が必要なのです」

6.  照明を暗くする

誰にでも概日リズムがあり、これはあなたの24時間の寝起きのサイクルを決める体内時計のようなもので、日の出や日没など、環境による影響を直に受けている。私たちの脳は薄暗さと睡眠を結び付けて、夜が深まるにつれてメラトニン(睡眠ホルモン)をより多く分泌させている。ある研究では、就寝時の明るい照明がメラトニンの分泌を抑制することが示唆されている。

健康な概日リズムを保ち、深い睡眠を得るためには、昼間は自然光の下で過ごし、夜は照明の明るさを落とすこと。スマホやパソコンが放つブルーライトですら、リラックスする体の能力を妨害してしまうため、就寝する2時間前にはスマホを触るのをやめて、すべての照明の光を落とすように心がけて。

7.  感謝リストを書く

最近の研究では、寝る前に日記を書くことで、気が散ったり考え過ぎたりすることが減り、眠りにつくのが早まることもわかっている。文章を書くのが苦手なら、感謝リストを書いてみるのがいいアイデア。始めるにあたって、以下のステップを踏んでみよう。

  • 感謝する:「1日の終わりにベッドの上で、あなたが今感謝している出来事や人、場所について思いを巡らす時間を数分ほどとりましょう」とメドウズ博士。
  • よく考える:「なにが思い浮かんだとしても、なぜそれに感謝しているのかを明確にすること。そして、その感謝の気持ちが実際にどんな感情なのかを味わう時間を設けてください」
  • ポジティブに考える:「科学的研究では、今の人生で感謝できることについて積極的に考えることで、ポジティブなマインドセットを身に付けるのに役立つことがわかっています。感謝の気持ちは、私たちを精神的、感情的にリラックスさせるため、睡眠にとてもいい影響をもたらしてくれるんです」

8.  お風呂に入る

young woman relaxing in bath tub
Anastasiia Krivenok//Getty Images

よく眠れるように、入浴を毎晩のルーティンに取り入れて。湯船に長く浸かることは、リラクゼーション以上の効果を発揮する。学術誌『Sleep Medicine Reviews』に掲載された研究によると、寝る前にお風呂に浸かることで、入眠するまでの時間を早めることができる。

熱いお湯は体の深部体温を下げるのに役立ち、これは脳に寝る時間だと伝えるシグナルでもあるとか。これによって体内時計の自然なプロセスをサポートできるため、素早く眠りに就けるだけでなく、より質の高い睡眠を得られる可能性が高くなるそう。

9.  セルフプレジャーを楽しむ

一人であれ、パートナーと一緒であれ、セルフプレジャーを楽しむことで眠りに就きやすくなるって知ってた?

「愛情ホルモンとしても知られるオキシトシンは、スキンシップやハグ、キス、セックスを通じて分泌され、ほっこり温かくなるような感覚を私たちに与えてくれます」と説明するのは、セックスと恋愛の専門家、ケイト・モイル。「オキシトシンは、ストレスや不安にも好影響をもたらし、結果としてよりよい睡眠につながることが研究で示されています」

一人で夜眠れない夜は、お気に入りのバイブレーターを使ってみて。「プロラクチンを含む他の神経化学物質と一緒にオキシトシンが分泌されると、私たちはリラックスして穏やかな気持ちになれます。そのため、多くの人はセックスやマスターベーションをした後やオーガズムを得た直後に簡単に眠りに就くことができるのです」とモイル。

10.  アロマテラピーを試す

エッセンシャルオイルは、何世紀にもわたってリラクゼーションを促すために使用されてきた。そしてそれには、ちゃんとした理由があるそう。記憶を呼び起こす香りに気づいたことはない? 私たちの嗅覚は、脳の記憶と感情の中枢である扁桃体に直接つながっている。ある種の香りが、夏休みや昔の恋人を思い出させるのと同様に、アロマテラピーで無意識の心に合図を送ることができるんだとか。

毎晩適切な時間に特定の香りを吸い込むようにすることで、次第に脳は寝る時間だと認識できるようになるみたい。

11.  温度を調整する

室温は睡眠において重要な役割を果たしており、睡眠の質に大きな影響を与えることがある。就寝時に深部体温がわずかに下がるのは正常なので、少し涼しい部屋で寝てみて、それで寝付きがよくなるかどうかを観察してみるといい。

睡眠財団によると、睡眠に最適な室温は華氏65度(摂氏18.3°度)なので、窓を開けたり、羽毛布団を軽量に変更したり、寝室に扇風機を用意したりして、理想の温度に調節してみて。

12.  ホワイトノイズを活用する

騒々しい隣人に悩まされたことがある人は、音(あるいは無音)が睡眠の質にどれほど影響するかを痛感しているはず。でも、穏やかなざわめきは眠りを助けてくれることもあるって知ってた? ホワイトノイズは他の音を効果的にかき消してくれるため、共同住宅や都心のアパートなど、騒音の多い環境に住んでいる人にとっては入眠に役立つ可能性がある。

13.  ルーティンを守る

概日リズムを健全に保つために、睡眠のための習慣を毎晩同じ時間に繰り返し実行すること。そして、毎日同じ時間に起床することも心がけよう。毎日のスケジュールに組み込むほど、体はそれらの習慣を就寝時間と結び付けるようになる。

ルーティンを最大限に活用するためには、とにかく一貫性が重要だという。「睡眠時間や就寝時間を常に変えていては、心身の健康問題のリスクを高めることになります」とレダール博士。

睡眠に役立つ習慣を見つけたら、少なくとも8週間はそれを続けてみること。2009年の研究によると、新しい習慣が無意識で自動的に行えるようになるまで2ヶ月以上はかかることが示されている。だからこそ、一貫性が重要なんだとか。それでは、いい夢を!
 
※この記事は、イギリス版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: RHALOU ALLERHAND Translation : Yukie Kawabata

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Rhalou Allerhand

Rhalou is a senior digital editor specialising in health and wellness with over fifteen years’ online and print publishing experience.   

Rhalou has worked for various health platforms including Women’s Health, Men’s Health, Runner’s World, Netdoctor, Women’s Running, Men’s Running, The Running Bug and Women’s Fitness.   

Covering everything from sexual health to fitness, parenting, marathon running and self-care, Rhalou loves creating fun and accessible lifestyle content and feels strongly about demystifying complex medical jargon and empowering people to better understand their health.   

Previously, Rhalou was a freelance social media specialist for several major sporting events and race listings including The London Marathon, Breca Swimrun, Findarace, The Westminster Mile and Prudential Ride 100. She has also been a reporter on a local newspaper in remote Scotland, penning breaking news stories about killer otters, cats stuck up trees and the Scottish hill racing scene.    

Over the years, Rhalou has been lucky enough to run 15 marathons and even a few ultra-marathons. She is still a passionate runner, but these days she can mostly be found at her local parkrun or chasing after her young son.  

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川畑 幸絵
翻訳者

短大卒業後バンクーバー、メルボルンで2年留学した後、外資系客室乗務員として勤務。2018年に退職後、翻訳者としてフリーランスに転身。アメリカで統合栄養学を学んだ経験もあり。