腸内細菌のバランスを整え、お通じを改善するなど、プロバイオティクスが腸の健康に有益であるという話は、ここ数年の間で何度も耳にしてきたはず。ところが、最新のエビデンスが示しているように、プロバイオティクスを摂り過ぎると、不快な副作用を経験することになるかもしれない。オーストラリア版ウィメンズヘルスから詳細を見ていこう。

消化器病学会誌『Clinical and Translational Gastroenterology』に掲載されたこの研究では、定期的にプロバイオティクスのサプリメントを服用していると、胃痛や腹部膨満感、おなかの張り、ブレインフォグを引き起こす可能性があることを明らかにした。その理由とは「細菌の異常増殖(善玉菌が過剰に増殖し、小腸や胃に定着してコロニーを形成すること)」にあるという。

この研究の筆頭著者であるサティシュ・ラオ医師が率いる研究チームは、プロバイオティクスを服用している30人の成人を分析した。被験者全員がおなかに溜まるガスや腹部膨満感に悩まされ、そのうちの22人は、錯乱や集中力の低下など、認知機能にも問題を抱えていたそう。中には、ブレインフォグの症状が深刻であるために(食後に何時間も症状が続くケースが多い)退職せざるを得なくなった人もいたという。

興味深いことに、研究者たちは、被験者全員の小腸に細菌の大群が存在しており、D-乳酸(一時的に脳細胞に害を及ぼすプロバイオティクス菌の副産物)のレベルが異常に高いことを立証した。

被験者たちは抗生物質が処方され、サプリメントの服用を中止するように指示を受けた。その後、ほとんどの被験者に症状の緩和がみられている。

「現時点で私たちが理解していることは、プロバイオティクス菌が糖を分解してD-乳酸を生成する独特な能力を有しているということです」 と、ラオ医師。「したがって、うっかり小腸にプロバイオティクス菌を定着させてしまうと、乳酸アシドーシスやブレインフォグを発生させる環境が整うことになるのです」

では、善玉菌を過剰に増殖させることなく、腸の健康を改善するにはどうするといいの? ラオ医師からのアドバイスによると、善玉菌が比較的少ないキムチやダークチョコレート、ヨーグルトを食べること。

また、「プロバイオティクスは栄養補助食品としてではなく、医薬品として扱うべきです」とラオ医師は補足している。

※この記事は、オーストラリア版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: WH STAFF Translation : Yukie Kawabata