(1) 不安の正体を知り、整理する
まずは、Dさんの中に起きている不安の正体に気づくことから始めてみませんか? そして、その不安を和らげるために、何ができるかを整理してみましょう。問題解決をするための方法として【SLOVE】というものがありますが、問題を解決するために下記の5つのステップを踏むと良いとされています。
1.問題をはっきりさせる
自分の生活で問題となる状況を特定してみましょう。
2.目標を決める
特定したら、今抱えている悩みがどんな風になると良いか、ゴールを決めましょう。
3.できそうな行動や考えを考えてみる
ゴールに近づくために、思いついたことをそのまま紙に書き出す、あるいはスマホなどにメモしてみましょう。
この時のポイントは、批判する、良し悪しをつけるなどのジャッジをせずに、思いつくことをそのまま書き出すことです。現在の自分にとっては現実的なことでなかったとしても、書き出してみることで選択肢のひとつになることもあるかもしれませんよね。
4.結果がどうなるかを考えてみる
3で洗い出した選択肢をもう少し掘り下げ、それらの方法によって得られる結果を想像して書いてみましょう。
5.結果を評価する
3の中から、実際に取り組めそうなことを選び、行動してみます。それによって得た結果を振り返ってみましょう。
うまくいかなかったとしても諦めずに、3・4・5のステップを繰り返してみましょう。
(2) 不安を増幅させる思考に気づく
不安が高まる背景には、偏った思考の存在が背後にあることが考えられます。
例えば、『出産しても周囲の人と同じように働かなければいけない』とか『仕事も家のことも完璧にしなければいけない』といったような考えや、『しっかり仕事をこなさないと職場の人に嫌われるに決まっている』とか『今の仕事ができなければこの職場にいる意味がない』といった考えはまさに、偏った思考と言えます。
そういった思考がDさんの行動を邪魔していないか振り返ってみてほしいです。
(3) 不安を受容できるようになる
不安な気持ちになった時に、不安を感じてはいけないと否定的になったり、不安になることを避けようとすることはありませんか?
否定したり、避けようとしたりすると、より不安が増すというループが起きがちです。不安を回避するのではなく、逆に受容することによって不安な気持ちを鎮めるのに役立ちます。
『職場に居場所がなくなるかもしれないと思って不安になっている自分がいる』ということを、Dさん自身が認めてあげて、不安の感情に居場所を作ってあげると、不安が侵略してくることなくちょうど良いバランスで共存できるのではないでしょうか。
(4) 呼吸法を行う
不安な気持ちに飲み込まれないために、不安を感じた時は深く呼吸をすることを意識してみてください。呼吸法を行うことによって、心拍や血圧が落ち着き、緊張した筋肉が緩む、脳が平穏なモードを取り戻すなど生理的な変化が起きると、不安の気持ちも少しずつ減っていくと思います。
不安な気持ちが落ち着くと、今のDさんに何が必要なのかを冷静に考えられたり、実際に行動に移すことがしやすくなると思います。
(5) 周囲の人に相談してみる
もし職場の方とお話しできるようであれば、Dさんが今感じているその気持ちを思い切ってお話しされてみてはどうでしょうか? 職場の方だけでなく、パートナーにも今Dさんが感じている不安を率直に話してみると良いと思います。話すまでは勇気がいると思いますが、話してみることで周囲の人はすんなり受け止めてくれるかもしれないし、何ができるかを一緒に考えてくれるかもしれませんよね。
特に、出産や育児を経験している方が周りにいるようであれば、どうやって乗り切ってきたかなど経験談を聞くことで、Dさんの中で今後に見通しを持つことができるかもしれないですし、パートナーの方に話をすることで、復帰後の家事・育児のバランスなどについて考えてくれるきっかけになり、それで解決できることも出てくるかもしれません。