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世界のランクルーのいま。「仲間と走れる日まで、出来ることは全部やる」

COVID-19の影響で、変わりつつあるランニングシーン。世界をリードするランクルーはいま何を考え、どう行動してる?

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Steven Carvente

月に数度集まっては、ともに走り、汗を流し、笑いあっていたほんの数か月前。ランニングコミュニティーに集まる人の目的は各々ちがう。でも、誰かにとって必要な場所だったに違いない。COVID-19の感染拡大により外出規制が布かれ、レースは当面中止、仲間と隣で走るなんてもってのほか。この混沌とした状況下、世界のランクルーは今なにを思う? ロサンジェルス、ニューヨーク、ロンドン、メキシコ、インドネシア、ソウル、東京で活動する7つのランクル―に話を聞いた。

Koreatown Run Club(ロサンジェルス):リーダーのDuy「コミュニティーは家族だから、サポートし合うことが当然なんだ」

 
Steven Carvente

クリエイティブ業界で働く仲間数人と一緒に走っていたことが、コミュニティーの始まりだという「Koreatown Run Club」。彼らが発信するSNSやイベント、プロダクト、どれをとってもハイセンスで国内外にファンが多い。集まるメンバーは外見、出身、走るレベルもすべてバラバラ。「世の中で一番多様性に富んだコミュニティーじゃないかな」と話すDuy。彼らを結び付けているのは、“家族”という意識とインクルーシブな社会を目指す志だ

いまはどんな活動をしてる?

 
Steven Carvente

「ラン“クラブ”なのに会って一緒に走らないこの状況は、違和感だね。ロスはまだ外での運動が禁止されてないけど、メンバーにはソロで走るよう注意を促してる。週に一度ビデオ会議をしたり、インスタライブではメンタルヘルスからイラストレーションのセッション、ライブペインティングまで運動以外のコンテンツもアップしてるよ。

 
Duy Nguyen

最近、支援グループを立ち上げたんだ。この状況下で(家賃や光熱費などの)支払いができない、食糧が手に入らないという人は多いからね。SNSで互いの状況を確認しつつ、何か困ったことがあればソーシャルディスタンスを保ちながら助け合う。困難なときだけど、こうしてサポートし合うことはとても特別だと思うよ」

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自由に外出できるようになったら何する?

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Jason Suarez

「出場するはずだったレースのほとんどが中止や延期。ランニングカルチャーは世界中の人たちを繋ぐから、またみんなで一緒に且つ安全に走れる日がくるのが楽しみなんだ」

Track East(ロンドン):キャプテンのBen「クルーと走れる日が待ち遠しい」

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Simon Roberts

Track East」はイーストロンドンを拠点に活動するランクルーで、「Run Dem Crew」(ランニングカルチャーを広める先駆けともなったコミュニティーの一つ)の派生グループでもある。いつもは毎週木曜に集まり、ランナーのスピードに関わらず誰もがトラックにアクセスできるよう練習会を行う。メンバーは地元のレースに照準を合わせてトレーニングを重ね、練習後はみんなでパブへ向かいお酒を飲むのが恒例だという。

いまはどんな活動をしてる?

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Simon Roberts

「ロックダウンされてからは、バーチャルレッスンをメンバーに提供してるよ。1日1回は外に出て運動することが許されているから、メンバーが一人でもトレーニングを続けられるように毎回ちがった内容の動画をSNSにもアップしてるんだ。インスタグラムには毎日できるドリルの方法も動画で載せてるよ。ドリルを欠かさずやることを忘れてほしくないからね」

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自由に外出できるようになったら何する?

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Simon Roberts

「今シーズン僕らが目標にしていたのが、5月17日に行われる予定だったHackneyハーフマラソン。COVID-19の影響で延期になったけれど、開催時期が発表されたらそれに向けて練習プランを組んで、トレーニングしていくつもりだよ。クルーのみんなとまた一緒に走るのが待ちきれないよ」

NCA TOKYO(東京):メンバーのAoi「デジタル上でも体を動かす楽しさを絶えず伝えていきたい」

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NCA TOKYO

都内の大学生が集まり“スポーツを身近に”というコンセプトのもと、ランニングをはじめとするさまざまなスポーツイベントを定期開催している「NCA TOKYO」。学生ならだれもが参加できる開かれたコミュニティーで、昨年は「NCA FULL MARATHON CHALLENGE」と称し、約30名の学生がフルマラソンに挑戦、全員がゴールを果たした。普段一人ではアクセスが難しいスポーツの場を提供し、体を動かす楽しさを同世代に伝えている。

いまはどんな活動をしてる?

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NCA TOKYO

「フィジカルで会うことができなくても、メンバーとはオンラインで活動を続けています。例えば『#ncasportschallenge』というキャンペーンを開始、“みんなで集まれなくてもハッシュタグで繋がれる”をテーマに、学生たちが運動の記録をインスタグラムに投稿。仲間の姿にインスパイアされワークアウトの波は広がり、これまでに120件以上もの投稿が集まりました。毎週金曜日にはファッション・フード・トレーニングを軸に、学生が知りたいコンテンツを発信。デジタル上でもさまざまな角度から運動の魅力を伝えています

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自由に外出できるようになったら何する?

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NCA TOKYO

「イベントを開催します。キャンペーンをきっかけに外出自粛中に増えた仲間もいるし、スポーツの大切さを痛感したメンバーもいます。次のイベントはさらにパワーアップすると思います」

Run 4 All Women(ニューヨーク):リーダーのAlison「COVID-19の影響は想像以上に大きい。収束した後に私たちが社会に与えられることをとことんやるわ」

 
Run 4 All Women

ウィメンズヘルスでも以前取材をした「Run 4 All Women」。フィットネスを通じて、女性が本来持つべき権利や強さを与えることを使命とするランニングコミュニティーだ。日本では当然のように授受ができる避妊ピルも、国をまたげばそうとは限らない。そういった女性の権利を政府に奪われないよう開催したランニングイベントでは、クラウドファンディングを利用しておよそ1000万円の寄付金が集められた。行動を起こすことでメッセージを伝え、社会を変えていくことを目指す彼女らの活動は、今後も続く。

「Run 4 All Women」を詳しく知る

いまはどんな活動をしてる?

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「ソーシャルディスタンスの義務化を受けて、チームとしてやるべきことは明確だった。毎週アプリでバーチャルランイベントを作成して、オンライン上で皆が集まれるようにしたの。600以上のコミュニティーが結集して、遠くにいるランナーとも励ましあってる。コミュニティーの新たな価値を生み出したと思うわ。これから数週間、数か月、この状況が続く限り私たちの力で毎日をポジティブにしていきたいの」

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自由に外出できるようになったら何する?

 
Run 4 All Women

「このコミュニティーを運動するためだけに集まるんじゃなくて、メンタルヘルスを必要としている人たちにリソースを提供するグループに成長させたい。COVID-19はみんなの体、心、精神に大きな打撃を与えてる。快復するには時間をかけてでも、私たちが行動するべきだわ」(Alison, R4AW founder and co-leader)

 
Run 4 All Women

「医療従事者としてCOVID-19を乗り切るまで頑張るつもりでいる。けれど、控えめに言ってもストレスフルな状況であることに違いはないわ。いまは人が少ない夜間に走るようにしてる。ランニングは1日のストレスを振り払って、感情の整理や自分のコントロールを取り戻すのに必要不可欠。この困難を乗り越えたら、仲間と“トラックナイト(夜間のトラック練習)”をしたいな。同じ医療の現場で働く人たちに、ランニングが心の健康に役立つことを広めたい」( Jessie, R4AW Ambassador in Alabama)

 
Run 4 All Women

地元の公園や植物園と提携して、“フィットネス”と“健康”どちらにもアプローチするコミュニティーを構築するわ。私が住むボルチモアでは、食糧不足が深刻化しているの。主に有色人種で形成される低所得者の格差が、COVID-19の影響でもっと浮き彫りになると思う。この提携でコミュニティーメンバーは農作物を育て、安全な食糧を安く手に入れられるようになる。フィットネスにもアクセスしやすくして、地域一帯に健康をもたらすの」(Arnelle, R4AW Ambassador in Maryland)

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Dromo Run Crew(メキシコ):「走れることは当たり前じゃない。体を動かせることに感謝すべき」

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Dromo Run Crew

さまざまなバックグラウンドを持つメンバーが集まった「Dromo Run Crew」は今年で3年目。「走ることへの愛と情熱がメンバーを結び付けています」と教えてくれた。リレー形式のレースに出たり、共通の目標を持ってトレーニングを積んだり、全く交流することがなかったメンバー同士もランニングを通して共通点を見出し、コミュニティーをより強固にしているとか。「District Vision」というアイウエア・アパレルブランドとパートナ―シップを結んでおり、メンバーのスタイルもクールなので見どころ。

いまはどんな活動をしてる?

「グループランやトレーニング、すべてのイベントをストップさせてからもう1カ月が経ちます。みんなが集まることはないけれど、電話やSNSで状況を確認し合う日々。自宅の庭、トレッドミルで走るメンバーもいれば、マスクや人との距離に配慮しながら外をランするメンバーもいます。一人で走っていても、心は繋がっていると信じて、いまは辛抱のときです

自由に外出できるようになったら何する?

「もちろんメンバーと走ります。今回の外出規制で『外を走れることは当たり前じゃない』と感じました。これまでランニングばかりだったメンバーも、ヨガや筋トレ、サイクリングなど幅広いスポーツをやるように。アスリートとして体を自由に動かせることへの感謝を忘れてはいけないと、全員で再認識しています」

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LibuRUN(インドネシア):キャプテンのAmi「COVID-19の恐れに立ち向かう=家にいること。みんなが強くいられるように出来ることは全てやりたい」

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LibuRUN

LibuRUN」は、2014年からインドネシアのプカンバルで活動をしている。「LibuRUNと書くものの、発音は『バハサ』。休日という意味なの」と話すキャプテンのAmi。ファウンダー6人が休日になるといつもランニングシューズを持ち寄り、一緒に走っていたことに由来する。プカンバルに健康的なライフスタイルをもたらすという使命のもと始まったコミュニティーは、今ではメンバー250人に。週3回集まり、ランニングやトレーニング、レース前の準備方法など充実したイベントを開催している。

いまはどんな活動をしてる?

「練習会をすべて中止してる。外に出られなくてもメンバーには健康的に過ごしてほしいから、SNSで『#workoutfromhome』のタグをつけてトレーニングしている様子を投稿して、と呼び掛けてるの。女子メンバーには『恐れに立ち向かう=家にいること』を伝えたくて、運動時⇔おしゃれする時の動画をセルフで撮影してもらったわ。ストレスを抱えてる女性すべてに強く、モチベーション高くいてほしい、という願いを込めてね

Headshot of Sawako Motegi
Sawako Motegi
コントリビューティング・エディター

スポーツファッション・サステナブルの記事を担当。山梨県の富士河口湖町へ移住し、オンラインを駆使して取材活動を行う。フェミニズムや環境問題などの時事ネタやニュース、人を掘るのが得意。  2020年までウィメンズヘルス編集部に在籍。  

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