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走っていると急に「横腹が痛い……」なんて経験ない? 痛い、苦しい、つらい、を解消すれば、ランニングはもっと楽しくなる! 今回は、ウィメンズヘルスでもおなじみ、ランニングコーチ・鈴木清和先生が教える、ランニング中に生じるおなかの痛みを和らげる方法をご紹介。

おなかの痛みの原因【オーバーペース】

意気込んで走り出したはいいけれど、はじめからハイペースになってない? 鈴木先生は「おなかの痛みを引き起こす原因は、オーバーペースで走っている可能性が高いです」という。

オーバーペースとはその響き通り、走行中に頑張りや力みが生じて、自身の走力より速く走ってしまうこと。この力み、実はランニングの大敵。有酸素運動であるべきランニングなのに、体が力み、ぜいぜいと息が上がると体内の酸素を上手に使えなくなり、無酸素運動に近い状態に。

また、“ブラッドシフト”という現象もランニング中のおなかの痛みと深い関係があるそう。通常、脳と内臓に多く循環している血液が、走るときには、酸素をより必要とする骨格筋に徐々に移動する。この血液の移動が“ブラッドシフト”。十分なウォーミングアップを行わず、はじめから速度を上げて走ることで、おなかの血液が急激に減少し痛みに繋がると考えられる。

改善策 ①鼻呼吸で“持ちスピード”を見つける

「オーバーペースは、鼻呼吸で防ぐことができます」と鈴木先生。
酸素を多く取り入れられる口呼吸は、走り出してすぐにスピードを上げてしまいがち。一方、鼻呼吸(=鼻から吸って、鼻から吐きだす)で走ると、体が苦しくないペースを自然に保とうとするので、安定したストライドとピッチで走行を続けられるというわけ。

「無理をしない自分に合ったペース、つまり“持ちスピード”を見つけられると、次第にフォームまで整ってきます。この把握と向上が自己記録を上げる秘訣ですよ」(鈴木先生)

改善策 ②ウォーミングアップで“3つのシフト”を促進

スピードに乗って走る前に、きちんと体を温めて動ける状態にしておくことが大切。鈴木先生いわく、ウォーミングアップには3つのシフトがあるそう。

  1. ブラッドシフト(血液の移動:脳・内臓⇒骨格筋)
  2. ナーバスシフト(副交感神経⇒交感神経)
  3. マッスルシフト(歩く筋肉⇒走る筋肉)

この3つのシフトが行なわれてから練習を始めることが理想的。けれど、ランニング前に時間をかけてストレッチやドリルを毎回行うのは大変。「はじめはゆったりとしたペースでジョギングをして、“一汗”かいたらこの3つのシフトが完了した合図です」(鈴木先生)。額や背中にじんわりと汗を感じたら、ペースを上げて走ってOK。ウォーミングアップで、体を運動モードに切り替えることを心がけて。

おなかの痛みの原因【冷え】改善には腰にタオルを

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運動中侮ってはいけないのが、「汗冷え」。ランニング後だけでなく、走っている最中も汗冷えが腹痛の原因になっている可能性が。おなかが痛くなりがちな人に特に気を付けてほしいのが、腰の冷え。背中にかいた汗は腰を伝い、そこでトップスやボトムスに吸収される。濡れたウエアを長時間着用し腰が冷えると、連鎖的におなかまでもが冷やされてしまうとか。

汗冷えを防ぐには、ボトムスの腰部分にタオルを挟んでおくのが効果的。タオルが背中でかいた汗をキャッチして、タンクの役割を果たしてくれるから試してみて。

おなかの痛みの原因【便意】にもウォーミングアップがマスト

便が溜まっていると、ランニング中腹部に痛みが生じることも。思い当たる人は、ウォーミングアップ+十分な水分補給で腸の働きを促進、排出してからランニングするのが◎「ランニングは本来、楽しくラクであるべきです。痛みや苦しさを感じるには必ず原因があり、同時に改善策もあります。苦手意識を取り除いて、ランニングをもっと日常に取り入れましょう」(鈴木先生)走るとおなかが痛くなる人は、ぜひ参考にしてみて。ラクに走れるメソッドについて詳しく学びたい方は、鈴木先生の著書も要チェック。



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Photo: Gettyimages

Headshot of 鈴木清和
鈴木清和
ランニングトレーナー

『骨格ランニング』や『解剖学でわかる ランニングシューズの選び方』など、海外でも翻訳され、親しまれている著書も多く、ランニングトレーナーとしても人気を集める鈴木清和先生。駒澤大学駅伝部時代、「細心の注意を払っているアスリートが、なぜケガをするのだろう」と、ケガで苦しんだ自身の経験から、研究をスタート。骨格や体型に合ったランニングフォームで走ることの重要性を提唱している。