ランニングをもっと楽しみたいと思っているランナーに向けて、ボディメイクトレーナーとして人気の森拓郎さんがランニングの続け方、シューズの選び方、機能性をレクチャー。自身がサブ3(フルマラソンタイム3時間切り)ランナーである森さんの秀逸すぎるシューズ解説は必見! 普段履きとしても使えるカラーリングやデザインのものもラインナップにしているので是非マルチプレイに楽しめる1足をゲットしよう!

【目次】

ランニング

Q.ランニングシューズの値段の差は何?

A.「要は、技術量の問題ですね。最近では3万以上のランニングシューズも珍しくありませんが、従来のベーシックな機能があるものでよければ7~8000円の値段のものもありますよ。単純に機能性が高いほど、値段も同時に上がっていきます。それだけテクノロジーが研究され、技術が上がった証拠。僕はギアを掘るのが好きなので、なるべくレンジの高いものを購入しています(笑)」

Q.毎日違うシューズを履いたほうがいい理由

A.「僕は週5~6でランニングをしているのですが、基本的に毎日違うランニングシューズで走っていたり、普段も同じ靴を2日連続で履いたりしないようにしてます。理由は、以下の2つが挙げられます」
①自分の”足のため”

ソールが違えば微差だが接地感が変わる。それによって足にかかる負荷のポイントがずれて分散されるため、故障しにくくなる。

②シューズのソールのクッショニングを元に戻すため
クッションが回復するのに2日間くらいかかるので、なるべく間隔をあけて日々のシューズを選んでいる。

Q.ランニングシューズのトレンドは?

A.「一言で表すなら、”柔らかくて軽い”がトレンドですね。昔は、見た目が”ぼってり”しており、見た目通り重くて、その分サポート力が高いものが初心者向け、軽いけどサポート力が低いのは上級者向けと、ランナーのレベルに合わせたシューズ選びが決まっていて、選択肢が狭かったんです。しかし、最近は、接地感が非常に柔らかく、ソールが厚めなのに非常に軽くて走りやすいものが主流になっている。初心者でも上級者でも好みで選べるので、自分好みのデザインで選べるようになりました。ランナーによっては、長い目で見ると薄いソールのものを履くべきという人もいるけど、選択肢が広がったんだし、好みの物を履けばいいのでは、って思いますね(笑)」

Q.ランニングを継続するためのコツはありますか?

A.「初心者ならば、楽しく走れるを基準にしたほうがいいです。大事なポイントは、 あまりしんどくやりすぎないことですね。勉強と一緒で、”やらされる”と嫌いになる。シゴキに近いような走り方はお勧めしませんね。走行中、ゼーハーしないように気をつければ、ランニングは気持ちいいだけ! 途中で歩いてもいいし、ゆるくやっていけばいいと思いますよ。具体的にと言われたら、スマートウォッチをするとわかりやすいのですが、心拍数のゾーン2~3程度。最大心拍数の75%くらいが丁度いいと思います」

Q.こんなシューズは履いちゃダメだ!

A.「家にある適当なスニーカーだけは履いたらダメです。つまりランニング用に設計されていないバッシュやローテク系のシューズはNG。それから、靴は履いてなくても劣化するので、昔のランニングシューズを持ち出して走るのは避けてください。最近、90年代モデルのランニングシューズが復刻され、普段履きとして人気だと思うんですけど、走る上で使うのはやめたほうがいいです。ランニングはウォーキングに比べて関節や足に3倍の負荷をかけてしまうので、故障を起こさないためにも、足を守る大事なギアと思って、ちゃんと選んでください」

Q.ランナー失敗あるある

A.「始めるなら”毎日”と言って、根を詰めて走ってしまう人が初心者にありがちですが、疲労が抜けず、故障の原因にもなるので、続けるために週に1~2回程度に我慢するようにしてください。誰でも”走る”ってことができてしまうので、簡単に考えがちなのですが、普段から歩いてない人が、いきなり走ったら、当然、怪我や関節の故障に繋がるので、本当に走り始めの人は、まずは歩いて、地面に足を置く練習のつもりで始めてみましょう」


森拓郎が選ぶブランド別おすすめランニングシューズ

ナイキ:速く走ることへ設計されたデザインが特徴

ランニングシューズ

「トップランナーがこぞって選んでいるのが、『ナイキ エア ズーム アルファフライ ネクスト%』です。やはり、僕も速く走ることが目的ならこのシューズを選んで走ります。初心者のランナーには、クッショニング、サポート力、推進力などバランスが取れている『ナイキ エア ズーム ペガサス 38』がおすすめ。このシューズは他のシューズと比べて、楽しめる感が強いんです。一般的なランニングシューズは満遍なくクッションがソールに入っているのが普通なんですけど、ペガサスは前足部のミッドソールの中に実は薄いエアクッション(エアズームユニット)が内蔵されているので、明らかにつま先の反発が違う。ぐっと体重を乗せて蹴り上げると、大きな反発を感じます。他社には絶対にないデザインですね。また、初心者から中上級者のジョギングにおすすめなのは「ナイキ リアクト インフィニティ ラン フライニット 2」。ナイキが怪我ゼロを目指したシューズとしてクッション&安定を重視したモデルです」

ナイキ エア ズーム ペガサス 38
シリーズ38作目を迎えるナイキの名品。前シーズンより接地感や履き心地が大きく変わったと、ランナー界でも話題に。トレーニングにもレースにも汎用できるとあって、多くのランナーから愛されているモデルだ。
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ナイキ エア ズーム アルファフライ ネクスト%
自己ベストの更新をサポートしてくれる”速く走るため”の機能を追求したモデルはシリアスランナーを魅了する。上級者ランナーであれば一度は試してみたいと思わせる1足。
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ナイキ リアクト インフィニティ ラン フライニット 2
ランナーの故障予防のため徹底的にテストされて作られたこのモデル。前足部を幅広くし、安定性を確保して転倒を防止。厚みのある柔らかなフォームは反発性に優れ、快適な履き心地に。
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ニューバランス:足幅が選べるのは、このブランドならではの魅力

ニューバランスランニングシューズ

「『フレッシュフォーム1080』はジョギングの時に履いています。これが本当にどのブランドよりも最も接地感が柔らかいシューズ。着地したときの感じとしては、マシュマロクッションのキャッチフレーズで有名な『ホカ オネオネ』より好みです。特に、気に入っているのは、狭い足幅のラスト(足形)とソールのクッショニング。アッパーのフィット感もキュッとサポートされている。クッショニングで選ぶなら、フューエルセルシリーズの『プリズムv2』もおすすめです。柔らかさと安定感のバランスが良く、万能タイプで、誰にでも快適な接地感を味わえると思います」

フューエルセル プリズムv2
反発性が高く、弾むような履き心地はそのままに、着地時の内側への倒れ込みを抑えてくれる構造に。
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フレッシュフォーム1080
クッショニングを追求する「フレッシュフォーム」シリーズの長距離向けランニングシューズ。サポートとストレッチ性の高いアッパーの素材はフィット感が高く、クッショニングと安定性が魅力の1足。
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アシックス:クラシック好きにはたまらないジャパニーズスタイル

ランニングシューズ

「昔ながらのアシックスのデザインが好き、部活で使っていた人や元競技者にはハマるブランドです。初心者が選ぶなら『GT2000 9 』や『GEL-KAYANO 28』がオススメです。ただ、クラシックタイプなので、主流の厚底にしたいのであれば『NOVABLAST2』がベター。初心者が故障しやすい内側に倒れこむ”プロネーション”を予防したいなら、安定性のあるGTシリーズやカヤノシリーズがサポート性も兼ね備えているので是非試してみてください」

GT2000 9
アシックスが誇るスタビリティモデル。本格的なランニングから普段着まで使えるマルチシューズ。
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GEL-KAYANO 28
外付け型ヒールカウンターによってホールド感を高め、新たな形状のGELを搭載したことによって、着地時の衝撃緩衝性を向上。初心者に安心なサポート力のある構造に。
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NOVABLAST2
アシックス史上最も反発性を発揮する「FLYTEFOAM™ Blast」を全面に採用。トランポリンの上で弾むような感覚が得られるという。今年の夏に行われたスポーツの祭典を祝してデザインされたマーブルカラーがおすすめ。コーディネートの主役にもグッド。
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ホカ オネオネ:普段履きとジョグの相棒として、唯一無二の存在

ランニングシューズ

「ここ数年で、アメリカのシェアも含めランニングシューズカテゴリーを拡大しているのがホカ オネオネ。”マシュマロクッション”と謳うだけあって、その履き心地に魅了されるランナーが多いです。中でも元祖厚底である「BONDI 7」は人気ですね。分厚い見た目を裏切る軽い履き心地と、とテコの原理を生かしたゆりかごのようなソールのデザインによって転がるような推進力が特長です。ウォーキングなどにもベストマッチで、この2~3年でセレクトショップでも置かれるくらい汎用性のある名作です」

BONDI 7
シリーズの中でも最も高いクッショニング力をもつ「ボンダイ 7」は安定性もあり初心者のみならずウルトラ(50km以上の距離を指す)ランナーにも愛用される逸品。
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オン:他のブランドでは味わえない独特な履き心地

ランニングシューズ

「クッショニング重視の厚底タイプと対比するソールを持ったランニングシューズ。接地時に地面を捉える感触が味わえます。安定して跳ね返してくれる反発感はあり、それでも衝撃が強くないのが特徴。すごく特殊な接地感を持ったラングングシューズです。まだまだメガブランドに比べたら履いている人が少ないので、新しいモノ好きな人にはいいと思います。また、ガチで走る、普段に履けるという境界線がないのもこのブランドならでは。ウォータープルーフのロードランニング用シューズもあって、雨天時のランニングやレース前のウォーミングアップに、靴下が濡れないので冷え防止になるとは思います」

Cloud
どの走力のランナーにもマッチするバランスのとれたシューズ。
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Cloud Terry
サイド部分とパンチング加工したヒール周りに2タイプのヴィ―ガンレザーを使用。パイル素材のシュータンもデザインポイント。
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Cloud Waterproof
アッパーは100%防風&防水加工により通気性と防水性に優れ、雨の中でも足をドライにキープ。
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アディダス:女性に向けたシューズに注力!

アシックスランニングシューズ

「もともと、中級者向けに作れられていたソールが薄めの”ボストン”シリーズが走りやすくお気に入りでした。今シーズンからは厚底に変更され、初心者が使っても良さそうなデザインになったので、ファーストシューズにもぴったりになったんじゃないでしょうか。このモデルは、軽くて硬いカーボンではなく、グラスファイバーのプレートを使っているので屈曲性もあり、スピードに乗れない人でも推進力がついてくると思います」

アディゼロ ボストン 10
軽量かつ高反発のクッション性を持つLightstrikeを搭載。レースはもちろん、ジョギングにも使える。
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ウルトラブースト 22
120万人にも及ぶ女性ランナーのデータを踏襲した女性のためのランニングシューズ。
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サッカニー:カーボンプレート内蔵で驚きのコスパ!

サッカニー ランニングシューズ

「僕の一押しブランドと言っても過言ではありません(笑)。日本での認知度は低いですが、シリアスランナー界隈で流行り始めているのがこのブランド。4年前のナイキのカーボンプレート革命によって、各社こぞってプレートを内蔵したシューズを出し始めている時に、いち早く追随してきたのがこの「エンドルフィンプロ」でした。他のカーボンプレートとの履き心地とはまったく違う反発性なので、カーボンマニアには是非試して欲しいですね。強いて言うなら、アシックスの「メタスピードスカイ」に近い感じなんですが、カーボンシューズなのに、すごく柔らかくて、跳ねる感じが楽しめます。しかも、他社では考えられない2万円を切るコスパの良さも魅力ですね。フォアフット限定のようなランニングフォームをしなくても推進力を味わえるモデルなので、一度は試して欲しいです!」

エンドルフィン スピード2
半硬式ナイロンのプレートを内蔵。カーボンより柔らかめな素材なので、初心者にもグッド。
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エンドルフィン プロ
軽量かつ耐久性に優れるS字カーボンプレートを搭載。サブ4(マラソンゴールタイム4時間切り)以上を狙うようなシリアスランナーにオススメ。
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ブルックス:いい意味で癖のない走りやすさ。フィット感が抜群

ランニングシューズ

「ブルックスはアメリカシェアナンバーワンのブランド。全体的にソールは硬いモデルが多いんですが、とにかく、アッパーのフィット感がピカイチですね。中でも使いやすさで言ったら「ハイペリオンテンポ」が間違いない。ソールの素材を例えるなら、ビート板みたいな感じ。柔らかすぎず、とにかく軽いところがいいです」

ハイペリオンテンポ
ミッドソールの素材「DNA FLASH」を搭載。軽く、弾力性もあり、反発力も丁度よいバランスのとれた1足。
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「ランニングは楽しむことが重要。これだけ一人の世界で高揚感が味わえるスポーツはなかなかありません! タイムなどの結果にこだわって嫌になってしまうことも多いと思うんで、達成感や高揚感を味わうつもりでランニングを楽しんでみましょう!」

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森 拓郎
パーソナルトレーニングスタジオrinato 代表取締役

 トレーニング至上主義であるフィットネス業界に疑問を感じ、運動の枠だけにとらわれない独自の角度からのアプローチにこだわりを持つ。ファッションモデルや女優などの著名人の支持を集め、『運動指導者が断言!ダイエットは運動1割、食事9割』(インプレス)、『オトナ女子のための食べ方図鑑(ワニブックス)』、『30日でスキニーデニムの似合う私になる(ワニブックス)』など、著書も多数。 

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Chie Arakawa
ウィメンズヘルス・シニアエディター

タレント・アスリートインタビュー・スポーツファッション・ウェルネス記事などを担当。女性誌FRaUでファッション・スポーツ・ダイエットなどの編集キャリアを積み、その後スポーツライフスタイルマガジンonyourmarkのプロデューサーとして在籍後、2022年までウィメンズヘルス編集部に在籍。