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上司にイラッとして言い返したくなる私。対処法は? 【臨床心理士・南舞さんのあるある! 心の相談室】

自分の中に起きる「怒り」について、棚卸しをしてみよう。

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体と同じく、ココロも健やかな状態でいたいものだけど、メンタルケアは何かと根性論や「気の持ちよう」で語られがち。悩みは、実は心理学的なテクニックで対処できるものも多いという。そこで、臨床心理士の南 舞さんが、読者のお悩みに具体的な対処法をレクチャー。今回のお悩みは、『指摘されるとイラッとして言い返したくなってしまう』という30代女性からの相談です。

指摘されるとイライラする...

manager is insulting his colleague in an office
praetorianphoto

相談者Wさん:「イラッとして言い返したくなる......」


「上司にミスなどを指摘されるとイラッとしてしまいます。

もちろん上司の言っていることは正論だとは分かっていますが、『何で私ばっかり?』とか『自分だって完璧じゃないくせに』という思いが込み上げてしまうんです。

口には出さないものの、態度に出てしまって、後からひとりになった時に後悔するなんてことも。

こういう時ってどうしたら良いのでしょうか」

臨床心理士・南さん『怒りを感じる場面の"棚卸し"から』

Wさん、お悩みありがとうございます。一生懸命やっているのに、自分ばかりミスを指摘されていると思うとイライラしますよね。

ひとつ気になったのですが、ミスを指摘された時にイラッとするのは、この上司に対してだけなのでしょうか?

それとも上司以外の他の人、他の場面でもそうなのでしょうか?

また、ミスを指摘されてもイラッとしない場面はあったりするのでしょうか?

そうやって少し状況を整理してみると、ミスを指摘されたことにイラッとするのか、それとも上司の言い方にイラッとするのか、それとも他に要因がありそうか、Wさんが何に対してイラッとするのかが明らかになってくると思います。

まずはそうした怒りを感じるきっかけになっているものを理解しましょう。怒りの正体が分かるだけでも、イラッとした言動や行動、そして自責の気持ちを軽減することができるかもしれません。さて、イラッとする状況が見えてきた上で、怒りを感じる状況に対して具体的にできる行動をご紹介しますね」

怒りを感じた時にできる対処法とは?

a group of yellow smiley faces
Carol Yepes

【1】怒りに対してのイメージを変える

怒りの対処をする上で、『怒りはなくすものではなく、うまく付き合っていくもの』という前提を持ちましょう。

怒りと聞くと、『悪いもの』『感じるべきではない』というネガティブなイメージが浮かびがちではないでしょうか。

実は、怒りは大切な感情のひとつです。怒りの感情があるからこそ、自分にとって脅威になるものに対してセンサーが働き、自分を守る行動をとることができます。

怒りを排除するというのは現実的ではないので、『怒りは自分の一部である』『怒りとは共生していくもの』と考えていけると良いですね。

【2】怒りの裏にある、本当の気持ちを理解する

感情には、最初に感じる一次感情と呼ばれるものと、一次感情によって引き起こされる二次感情の2種類があります。怒りというのは二次感情に当てはまります。つまり、怒り以外の何かしらの感情が土台にあるはずなのです。怒りの引き金となっている一次感情の存在に気づき、「私の中にはこんな感情がある」と認められると、怒りの度合いが少し減るかも。

【3】呼吸法を日頃から心がける

怒りを感じた時にまず行いたいことは、ニュートラルな状態に戻すこと。怒りの感情が昂った状態で何かをしようと思っても、うまくいかなかったり、裏目に出てしまうことのほうが多いです。そんな時におすすめしたいのが【呼吸法】です。

呼吸を意識的に行い、ゆったりと呼吸することで、リラックスモードを促し、感情の昂りを鎮めてくれるのに役立ちます。

時には怒りを適切に伝えることも大切

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上司という立場だと、怒りの気持ちがあっても我慢しなければいけない場面の方が多いと思います。しかし、『上司にイライラしてはいけない』と怒りを抑えてばかりだとストレスが溜まってしまいますよね。時には、イライラをぶつけない形で自分の思っていることを相手に伝えることも大切なことだと思います。

例えば、『アドバイスありがとうございます。今回の場合だとこちらの方が〇〇な理由で良いと思っていますが、いかがでしょうか? 』など、まずは相手の意見を受け入れる、そしてその上で自分の意見も建設的に伝えるというコミュニケーションを心がけましょう。

上司にも誤解なく伝わりやすいですし、そして何より、Wさん自身もストレスを抱えずに済むかもしれません。怒りを闇雲に抑えるのではなく、棚卸しをして整理した上で、適切な対処をしていってくださいね。

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南 舞
ライター

臨床心理士。岩手県出身。多感な思春期時代に臨床心理学の存在を知り、カウンセラーになることを決意。大学と大学院にて臨床心理学を専攻し、卒業後「臨床心理士」を取得。学生時代に趣味で始めたヨガだったが、周りと比べず自分と向き合っていくヨガの姿勢に、カウンセリングと近いものを感じ、ヨガ講師になることを決意。現在は臨床心理士としてカウンセリングをする傍ら、ヨガ講師としても活動している。   公式HP: mai-minami.com Instagram: @maiminami831  

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