ケトジェニックダイエットを始めると、体内で起こる「6の変化」
トレンドではあるけれど、少なからず副作用もあるので気をつけて。
今となっては、「ケトジェニックダイエット」や、低糖質・高脂肪食を知らない人はいないだろう。この食事法はアスリートを始め、一般の人々の間で人気を集めている。ケトジェニックダイエットの仕組みを理解するためには、まず「ケトーシス」について知る必要がある。ケトーシスとは、体内で利用できるグルコースが枯渇し、体がエネルギー源として脂肪を欲するプロセスのこと。通常であれば、私たちは小麦粉や穀物、野菜、豆類、乳製品、果物に含まれる糖質、グルコースを摂取して体にエネルギー源を補給しているという。今回は、実際にケトジェニックダイエットを実践し始めると、体内で何が起こるかについて、アメリカ版ウィメンズヘルスからご紹介。
スポーツ栄養士であり管理栄養士のパメラ・ナイズヴィッチ・ベーダによると、毎回の食事や軽食からエネルギー源を絶え間なく体に取り入れると、即効性のエネルギー源として炭水化物を体が一番に吸収するという。
「体内で糖質が利用できるのは、脂質や蓄えられた体脂肪ではなく、糖質をエネルギー源として使ったときです。しかし、食事から糖質を抜くことで体は脂肪を分解し、ケトン体を燃料にしてエネルギーを作ろうとします。このケトン体はより効率的なのですが、普段は利用されないのです」とベーダ。
体重を減らすために、知っておくべき6のこと
ケトン体とは、体が脂肪を分解してエネルギーを作る際に、肝臓から作られ血中に放出される物質のこと。
体の細胞がケトン体を利用するのは、日々の活力を供給するため。血液中にケトン体が蓄積すると、体がケトジェニック状態へと切り替わり、体内では信じられない変化が起こり始めるそうだ。ここから6つの変化をチェックしよう。
1.インスリンの数値が低下する
食事からグルコースを摂取した後、インスリンの数値が上昇する。しかし体がケトーシス状態になると、インスリンの数値が減少すると説明するのは、スポーツ栄養製品メーカー「EAS Sports Nutrition」で最高科学責任者を務める管理栄養士のスティーヴン・ハーツラー博士。
「インスリンの数値が低いほど、体の脂肪組織から脂肪酸が放出されやすくなり、エネルギー源として利用されるようになります」とハーツラー博士。主要なエネルギー源として、炭水化物ではなく脂肪を利用するようになるため、より多くの脂肪が燃焼されるそうだ。つまりは、短期間で体重を落とすことが期待できる。
2.日中に空腹感を感じにくい
ケトジェニックダイエット中はタンパク質の摂取量が増えるので、日中はより満腹感を維持できるようになる。さらにこのダイエットにはハーツラー博士いわく、食欲抑制作用もあるという。
「ある一説によると、ケトジェニックダイエットがエネルギー源として脂肪を燃焼させ、ケトン体を血中に放出することから、体が絶食状態のときに起こる反応と似ていると言われています」とハーツラー博士。ケトン体の産生が増加すると、脳内の食欲中枢の働きを抑制すると考えられている。
3.体調が悪くなり始める
ベーダによると、ケトジェニックダイエットにはいくつかの副作用があるという。
それは“ケトインフルエンザ(Keto Flu)”と呼ばれ、「エネルギー源が、炭水化物から脂質に移行する間に現れる一連の症状」として知られているそう。
考えられる副作用は、頭痛、吐き気、霧、筋肉のけいれん、けんたい感などがあり、炭水化物の離脱症候群とも言われている。
4.口臭がきつくなる
「ケトジェニックダイエットによって口臭に変化が現れる人も一部いるのです。理由は、肝臓で作られるケトン体の1つであるアセトンが、臭いを有しているからです」とハーツラー博士。
しかしケトーシス状態にある多くの人が、著しい口臭の変化を経験してはいないため、確実に起こりえる副作用とは言えないよう。
5.便が出ずらい
もし、食物繊維やその他の栄養素を摂取していなければ、ケトジェニックダイエット中に消化障害を引き起こす可能性があるという。「ケトジェニックダイエットを実践している人の多くが、共通して便秘を経験しています。原因は、食物繊維の摂取不足にあります」とハーツラー博士。便秘の症状を和らげるには、低糖質の食物繊維サプリメントを取り入れるようハーツラー博士はおすすめしている。
6.体の動きが鈍くなる
ケトジェニック状態へ移行した初期の段階で、パフォーマンスが低下し、疲労感を感じる可能性があるという。
しかし体が新しい食習慣に慣れると、ハードなダイエットも問題なくこなせるようになるとベーダは話している。
実際のところ、体がケトーシス状態になるにつれて、パフォーマンスが向上する可能性もあるそうだ。「多くのアスリートは、激しいワークアウトと良好なケトーシス状態がイコールであることに気づいています。数週間の厳しいトレーニングの価値は、体組成が向上する点にあると考えています」とベーダ。
重要なのは、これらの症状が誰にでも現れるとは限らないということ。
ケトジェニックダイエットに興味があるのなら、実際に試して体験してみて。もしこのダイエットをやめる時がきたら、いきなり大盛りのパスタを食べることはしないように。
「通常の食事に戻るときは、炭水化物の量を徐々に増やしていきましょう。脂肪に慣れていた体に、いきなり多くの糖質を取り入れると、体重が増加したり具合が悪くなる恐れがあるからです」とベーダはいう。
※この記事は、アメリカ版『Prevention』から翻訳されました。
Text: Isadora Baum For Menshealth.Com Translation : Yukie Kawabata
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