プランの種類に関わらず、ダイエットには忘れちゃいけない鉄則が1つある。それは、消費カロリーを摂取カロリーより多くして、カロリー赤字(カロリー不足)の状態を作ること。それ抜きで体重が減る可能性は極めて低い。今回は、カロリー赤字についてやその計算方法と考慮すべき6つのポイントを 、アメリカ版ウィメンズヘルスからみていこう。

簡単に思えるかもしれないけれど、カロリーを赤字にするには、自分の体に必要なカロリー量を把握してから、ちょっとした計算をしなければならない。そして、その数字を普段の食事に置き替える、つまり実際になにをどれだけ食べるかも知っておく必要がある。

生まれつきカロリー赤字や具体的なアクションプランに詳しい人はいない。でも、アプローチの方法は1つじゃないので心配無用。必要な知識を身につけて、自分に合ったアプローチの方法を見つけよう。

そもそもカロリー赤字とは?

カロリーとはエネルギーを表す単位の1つ。食べものに含まれるカロリーは、体が生き延びるためのエネルギーになる。体内で分解された食べものは、そのときの体のニーズ次第で即エネルギーとして使われるか、あとで使われるエネルギーとして貯蓄される。

著書に『The Small Change Diet』を持つ公認管理栄養士のケリ・ガンズによると、一定の体重を維持するためには一定のカロリーが必要になる。「いまの体重を維持するために必要なカロリー量より摂取するカロリー量を少なくすれば、カロリーが赤字になります」。カロリーが不足すれば、体は内部に蓄積されたカロリーを燃やしてエネルギーを確保しなければならないため、結果的に体重が減る。

米国栄養士会のスポークスパーソンで公認管理栄養士のソニア・アンジェロンによると、体に必要なカロリー量/不足させるカロリー量は、運動量、遺伝、ホルモン、代謝率といった多数の要素次第で変わる。

体重を減らすためには、カロリーをどのくらい赤字にするべき?

正確な不足量の計算は少し複雑。でも、一般的に1日あたりのカロリー摂取量を500kcal減らせば、1週間で体重が0.5kg減るといわれている。

「これは、カロリー3,500kcal=脂肪0.5kg分という事実に基づいた予測です」とアンジェロン。「いまの体重を維持するのに必要なカロリーから500kcal引けば、1週間で体重が0.5kg減るはずです」。1週間で1kg減らしたいなら、1日のカロリー摂取量を1,000kcal減らす。これ以上のカロリーカットは一般的にすすめられない。「1週間でマイナス0.5~1kgが健全なダイエットです」とガンズ。

でも、摂取カロリーを1日500kcal減らさなければ、絶対に体重が減らないというわけじゃない。「程度はさておき、赤字であれば体重は必ず減ります」とアンジェロン。「赤字の程度次第で、体重が減るまでの時間が長くなったり短くなったりするだけです」

ただし、カロリー赤字の計算には、代謝率だけでなく摂取するカロリーの“種類”も関わってくる。アンジェロンいわく一部の栄養素(糖質など)は、食物繊維より早くエネルギーに変換される。また、一時的なカロリー摂取量の変化には体も難なく対応するため、食べる量が数日増えたり減ったりする程度なら、代謝率が自然と上下するだけで済んでしまう。

自分の体に必要なカロリー量/不足させるカロリー量を把握するには?

体に必要なカロリー量および不足させるカロリー量の算出方法には複数あって、正確性にも幅がある。でも、アンジェロンが日常的に使っているのは、ハリス=ベネディクト方式、ミフリン=セント・ジョール方式、キャッチ・マカードル方式。


医師か栄養士の助けを借りる場合

医師や栄養士のアプローチも人によって少しずつ違う。アンジェロンは、身体測定値(体重や身長)と運動量からクライアント固有の数字を算出するそう。一方のガンズは、計算式を使わない地道なアプローチを好む。「クライアントに小さな変化を起こさせて、自然と体重が減るように仕向けています」

より正確な数字を求めて、座っているときなどの安静時のカロリー消費量を測る検査を勧める医師や栄養士もいるのだとか。

計算式を使う場合

体が必要とするカロリー量の計算式は1つじゃない。でも、米栄養学会専門誌『The Journal of the Academy of Nutrition and Dietetics』掲載の論文によると、正確性が高いのはミフリン=セント・ジョール方式。この方式では、基礎代謝率(あなたの体が安静時に必要とする最低限のカロリー)が算出される。

女性の場合:基礎代謝率=(10x体重kg)+(6.25x身長cm)ー(5x年齢)ー161
よって、身長163cmで体重68kgの25歳の女性なら、基礎代謝率=(10x68)+(6.25x163)ー(5x25)ー161=1,413kcal
比較目的で頻繁に用いられるのがハリス=ベネディクト方式。基礎代謝率=655.1+(9.563x体重kg)+(1.850x身長cm)ー(4.676x年齢)
先ほどと同じ女性の場合、基礎代謝率=655.1+(9.563x68)+(1.850x163)ー(4.676x25)=1,490kcal

どちらの方式を使うかによって結果は若干違ってくる。そして、アンジェロンがいうように、ダイエットには多数の要素が影響を与えるので、これはあくまで推定値。

オンライン計算機を使う場合

計算が苦手な人は、オンラインの計算機を使ってみよう。アンジェロンいわく米国立衛生研究所の”ボディウエイトプランナー”は、現在の体重、フィットネスレベル、目標体重、理想の減量期間から、あなたのダイエットに必要なカロリー数を自動計算してくれるだけでなく、目標体重に到達してからリバウンドを防ぐためのカロリー数も教えてくれる。

普段の食事でカロリーを赤字にするには?

普段の食事でカロリー赤字を作りたいなら、以下5つのポイントを全て考慮に入れるのが理想的。

1.筋トレを増やす

アンジェロンによると、エクササイズのなかでも筋トレは多くのエネルギーを必要とするため、安静時のカロリー消費量が増す。筋肉には「カロリーまたはエネルギーが四六時中必要なので、筋量が多ければ、体重を維持するために必要なカロリー量も多くなります。よって、食べる量を極端に減らさなくてもカロリーが赤字になります」

2.炭水化物の摂取量を減らす

アンジェロンによると、ほとんどの炭水化物は体内で糖に変換される。しかも、そのカロリーは体内に吸収されて、のちのエネルギーとして貯蓄される。よって炭水化物の摂取量を減らせば、体内に蓄えられるエネルギーも減る。

3.タンパク質、食物繊維、良質な脂質をもっと摂る

「フルーツや野菜など食物繊維が豊富な食生活を送り、食べる量を減らしても、おなかが空かないようにしましょう」とガンズ。アンジェロンによると、食物繊維、タンパク質、良質な脂質の摂取量を増やせば、満腹感が長続きして食べる量が自然と減る。

4.夕食のあと、なにも食べない

アンジェロンいわくカロリー赤字を作るには、この方法が一番確実。「夕食が終わる頃には1日に必要なカロリー量が大抵満たせているはずです。夕食後や寝る前の間食は、余分なカロリーになりますよ」

5.食事日記をつける

何度も聞いたアドバイスかもしれないけれど、食事日記は本当に有効。食べたものを書きとめる習慣をつければ驚くような発見があるし、なにを減らすかも決めやすい。「まずは普段の摂食量を把握して、それを少しだけ減らしましょう」とアンジェロン。「そうすれば、あとでおなかが空きすぎて食べすぎることもありません」

※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Korin Miller Translation: Ai Igamoto