「自然の知恵であるアーユルヴェーダは健康法として少しずつその知恵が広まっていますが、アーユルヴェーダのドーシャ理論は、体質や健康でいるためのライフスタイルだけでなく、性格やマインド、他者との関わり方を理解することにもとても役立ちます！」と話す、NY在住のモデルで、アーユルヴェーダヘルスアドバイザーの金原杏奈さん。今回はパートナーシップの築き方について教えてもらった。
（「」内、金原杏奈さん）
「体質であるドーシャは、その人の長所や短所にも大きく影響していて、行動や考え方などのマインドにも表れます。特に恋愛関係に関しては、このドーシャを理解することがヘルシーな関係を持続させるための秘訣とも言えるかもしれません。幸せで、健康的で、お互いに満たされたパートナーシップを維持することは努力する価値がありますよ。パートナーの優勢なドーシャ（ヴァータ、ピッタ、カパ）を知ることは、相手の傾向や性格を理解することに役立ちます。もちろん自分自身の事も。人間関係の中でどのように振る舞うか、人間関係がうまくいくために何が必要か、パートナーにどのように愛情表現をするかなど、コミュニケーションの取り方に大きく影響します。洞察力や忍耐力は思いやりをもたらし、その『思いやり』は、人間関係の中で１番重要なポイントだと思うのです。体質を診断したことがない方はぜひ一度チェックしてみてくださいね！」
タイプ別、コミュニケーションの取り方
「多くの心理学者は、2人以上の人が話している状況を感じ取るには、感情的知性が必要だと言いますが、アーユルヴェーダではこの考え方を何千年も前から語り継がれて来ました。まず基本的なことですが、仕事の交渉や、カップルの争い、親子のコミュニケーションなど、日常で真剣に人と話さないといけない状況って多々あると思うのですが、人がうまくコミニュケーションを取れる時は、落ち着いた状況で、相手も冷静で気配りのできる状態であるときです。反対に、自分や相手が疲れていたり過度のストレスを感じているなど、機嫌がよくない時に、議論したり、交渉したり、対立したりすると言い合いになったり、場合によってはけんかが生じることもありますよね。バランスが乱れた状況では、ヴァータタイプは『不安』を感じます。ピッタタイプは『怒りと焦り』を、カパタイプは『頑固さと抵抗』を生み出します。 私たちはみんな、こうした反応や感情を自分でも感じたことがあると思うのですが、自分も相手も明らかにバランスのとれた状態でない場合は、無理に話を進めようとしない方が良いでしょう。大事な話や真剣な話は必ず、落ち着いてバランスの取れた状態で話しましょう。ここからは、ドーシャを意識したコミュニケーションの取り方の簡単なアドバイスをご紹介します！」
ヴァータタイプ：
「明るく想像力が豊かで、新しい経験が大好き！ それがないと息苦しさを感じます。 理解が早く、忘れるのも早い。順応性があり理解力もありますが、持続性や集中力に欠けるところがあります。バランスが乱れると、ストレスがたまり、神経質で心配性になる性質です。こんな勢い型のヴァータタイプの人には、まずそもそもの計画性がない事を理解してあげましょう（笑）。変化と動きを好む性質なので、ときに優柔不断になったり、朝と夜で言う事が違っていたり、デート中に行き先が急に変更されることもしばしば。あまりにもせわしなく、不安定で地に足が付いていない状況では、一度ゆっくりと落ち着かせてあげる必要があります。深呼吸させてみたり、落ち着きを与えるようにしましょう。けんかした時には、ただでさえマインドが忙しいヴァータですから１人の時間やスペースを与えるようにしてみましょう。言葉による表現はヴァータの心に最も響く方法です。相手がヴァータタイプなら、肯定の言葉、手紙、メールや手書きのメモなどでコミュニケーション取ってみると良いかもしれません」
ピッタタイプ：
「情熱的で目標志向の人であり、タスクをクリアすることに大きな喜びを感じます。バランスがとれていれば、チャレンジ精神旺盛で、創造性や楽しさでは他の追随を許しません。ただしバランスを崩すと、闘争的、支配的、競争的になり、怒りっぽくなります。こんな情熱的な炎タイプのピッタの人は、熱くなりやすいと言うことをお忘れなく。歯向かっていくとうっかりやけどしてしまいますよ（笑）。相手が刃物のようにシャープになる姿に気づいたら、相手のテンションに引きずられることなく、冷静さを保って、思いやりを示すことが高まったピッタの火を和らげるのに大切です。活動を通して表現することは、ピッタの心に最も響く方法。一緒に何かを学んだり、アクティブなデートに出かけたり、新しいことに挑戦したりすることがピッタタイプの人には好印象に映ります。また贈り物をするのも受け取るのも好きなタイプなので、ちょっとした実用的な物や新しい体験ができるものをプレゼントすると喜んでもらえて、良い信頼関係につながるかもしれません」
カパタイプ：
「柔らかく、優しく、安定したタイプで、生活に一貫性を持つことで安心感を感じます。あまり怒ることもなく、のんびりとした態度は周囲の人を安心させ、心地よくさせます。バランスが乱れると、無気力、無関心など変化を嫌う傾向があります。こんなどっしりゆったりしたカパタイプの人には、周りがイライラしてしまう事もあるかもしれませんが、とにかく動きがゆっくりで自分のペースで物事を進めるのが好きな性質だということを受け入れましょう！ 変化が苦手なのでしばし頑固になることもあるかもしれませんが、そんな時は自分が盛り上げ役に徹して一緒に行動することでモチベーションを高めてあげる。それからカパタイプは、優しく、心地よく、愛情深い方法で愛されることを望んでいます。肉体的な愛情を分かち合うだけでなく、与えたりサポートを通じて関係を育むことができる関係に憧れます。全てのドーシャタイプの中で1番スキンシップが好きなタイプ。ハグすること、寄り添うこと、優しさ、親密さはカパタイプへの１番の愛情表現になります」
お互いの性質を知り、尊重する
「コミュニケーションがうまくいかない時って、だいたい相手に不満や文句を感じているときですよね。相手の行動が遅すぎたり、強引だったり、心配性だったり、頑固だったり、私たちはすぐにそれを相手のせいにするところがあります。しかし怒りをぶつけてもそこには、さらなる怒りや悲しみしか生まない。相手のことを固定概念や色眼鏡で見るのではなく、しっかりその人の性格や性質、生まれ持った個性として受け入れることができれば、自分と違う人間を批判する事をやめるようになります。
相手への決めつけは、自分が否定されているように感じるし、そう感じてしまったら耳を傾けることも、同意することも、協力することも嫌になり、何より仲良くしたくないと感じて、ポジティブな関係を台無しにしてしまいます。
いつも理想的な関係である事やコミュニケーションを取ることは簡単ではありませんが、相手の性質を理解して受け入れようとする姿勢は少しでも関係をよくする助けになります。相手の性質に合わせて少し言い方や対応を変えるだけで、スッと言いたい事が伝わったりグンと関係が和らぐので不思議です。冒頭でも言いましたが、良いパートナーシップを築くにはお互いの努力が大切ですからね♡」
東京都出身、NY在住。14歳でモデルデビューし、2011年よりニューヨークに拠点を移しワールドワイドに活動。アーユルヴェディックドクターであるNaina Marbaliに師事し、アーユルヴェーダ認定コースを修学。アーユルヴェーダをベースに、心と体の健康をつくる過ごし方を発信するデジタルプラットフォーム、Kitchen Pharmacy主宰。
Instagram：@kitchenpharmacy
2018年に「ウィメンズへルス」編集部にジョイン。アシスタントを経て、エディターとして美容、フード、ダイエットなどの記事を担当。流行りそうなヘルシーキーワードをいち早くキャッチすることを心がけている。CBDや筋膜リリース、アーユルヴェーダ、植物療法を学ぶ、自他共に認める“セルフケア マニア”。2023年初めてのハーフマラソンに挑戦。
