PCやスマートフォンで酷使した目をしっかりケアできている? テレワークが続き、目の疲れを感じている人も多いはず。今回は、「気づいて!涙液トラブル啓発委員会」メンバーであり、ケイシン五反田アイクリニック院長の内野美樹先生に、目の疲れの原因と、目を休めるために日常生活にできることについてお話を伺った。
(「」内、内野 美樹先生・以下同)
目次
目の疲れの原因は?
1.ドライアイ
「目の疲れの原因の7割は、ドライアイという論文が日本より発信されています。ドライアイとは、涙の分泌量の減少や、涙の量は十分にあっても涙の質が低下することによって、目の表面を潤す力が低下した状態。ドライアイを含めた目の不快症状は涙液トラブルとも呼ばれ、現代病の1つとされています。最近では、2000万人も罹患(りかん)しているという報告もあります」
2.筋肉の疲労
「目のピント調節をするための、筋肉の疲労により、目が疲れていることもあります。スマートフォンやPCなど、一点を近くで見る作業が多いと知らず知らずのうちに筋肉が疲労しています。私たちは、『もの』を見るときに、明るさや距離により水晶体を前後させてピントを合わせているのです。このピントを合わせる能力を調節といい、目の中の筋肉によって調整が行われます。目の中の筋肉を動かしたことで起きる眼精疲労は、筋肉痛と同様な状態。スマートフォンの普及により現在急激に増加していて、しっかりケアしてあげる必要があります」
目を休めるためには? 日常生活でできるセルフケア
PCやスマートフォンを見る時間を減らすのはなかなか難しい。日常生活でケアできることはある?
- 休憩と食事をしっかりとる
- パソコン作業の際は、1時間おきに10分くらい目を休める
- パソコンのモニターの明るさを調整する(500ルクス以下)
- 疲れがたまったら、目に蒸しタオルを当てて温めるか、目薬を使う
- メガネやコンタクトレンズを使っている場合は、度が合っているかチェックする
「疲れの原因がドライアイであれば、市販の人工涙液を使用し、ご自身にあった点眼を処方してもらい使用してください。セルフケアとしては、目を温めることもおすすめ。温める方法は、市販のアイマスクでも良いですし、電子レンジで温めたタオルで目を1日1回休めることもいいでしょう」
ツボやマッサージ、ストレッチなどの対策方法は?
「ツボやマッサージなど継続的に目を押すことは、眼球の内側にある網膜という膜が剥がれて、視力が低下する病気『網膜剝離』になったりすることがあるので、実はあまりおすすめできません。しかし遠くを見るような目のストレッチや、目をしっかりつぶり、目の表面を涙でしっかり覆うような運動は、涙で角膜を潤すので良いですね」
ここからは、「ストレス解消&集中力UPに効果? 今すぐできる“目のヨガ”」の記事から目のストレッチをご紹介。
視線を上に向ける(アイローリング)
- 背筋を伸ばして座り、頭を動かさずに眼球を水平に左側へ動かし、そこにある何かしらの物体に焦点を合わせる。
- ゆっくりと3回、時計回りに円を描くように視線を動かす。
- 同じ動作を反時計回りに繰り返し、目を閉じてからしばらくリラックスする。
焦点を合わせる
- 片方の腕を、親指を上に立ててまっすぐ前に伸ばし、その親指に焦点を合わせ、焦点が合わなくなるまでゆっくりと鼻の方へ動かす。
- 腕を元の位置に戻し、同じ運動を10回繰り返す。
近くと遠くに焦点を合わせる
- 右目は遠く、左目は近くに焦点を合わせる場所を決める。
- 遠くのものに焦点を合わせて何度か深い呼吸を繰り返し、その後、近くのものに焦点を移す。
- 近くのものに焦点を合わせてから、できるだけ大きく息を吸い込み、完全に吐いてから、焦点を遠くのものに移す。このエクササイズを左右5回ずつ、もしくはできるだけ何度も繰り返す)。
手のひらで目を覆う
- 目を閉じ、優しく手のひらで覆い、暗闇に集中する。
- 目を閉じて光が消え始めたら、ゆっくりと手のひらを離し、徐々に目を開く。少し刺激を感じるかもしれないので、すぐに明るいものを見たりせず、ゆっくり慣らして。
鼻先を見つめる
- 背中をまっすぐにしてソファに座り、肩の力を抜いて。両手を膝の上に置くと、背筋が伸びて集中力も高まる。
- ゆっくりと目線を鼻の先に向け、違和感を抱いたら目線を離す。
- 目がリラックスしていると感じられれば、5回以上繰り返す。
まとめ
パソコンやスマートフォンなどの普及に伴い、かなり多くの人が、目の疲れを感じているはず。自身の目の疲れの原因を知り、日々の生活の中でできる「アイケア」に力を入れていこう! 症状がひどい人は、早めに眼科を受診し、医師に相談して。
■お話を伺ったのは……
「気づいて!涙液トラブル啓発委員会」supported by参天製薬株式会社
目を酷使することの多い現代社会や、さらにコロナ禍で増加傾向にあるアイケア意識の薄れ・目のトラブルに対し警鐘を鳴らすため発足された、東邦大学医療センター大森病院眼科 堀裕一先生、順天堂大学医学部附属順天堂医院眼科 猪俣武範先生、 ケイシン五反田アイクリニック院長 内野美樹先生、東京歯科大学 市川総合病院眼科 山口剛史先生による委員会。
2018年に「ウィメンズへルス」編集部にジョイン。アシスタントを経て、エディターとして美容、フード、ダイエットなどの記事を担当。流行りそうなヘルシーキーワードをいち早くキャッチすることを心がけている。CBDや筋膜リリース、アーユルヴェーダ、植物療法を学ぶ、自他共に認める“セルフケア マニア”。2023年初めてのハーフマラソンに挑戦。