減量は、あくまでも個人的なもの。自分に合うダイエット方法を探している人は、スパイスやハーブを取り入れることについて目にしたことがあるかもしれない。

大前提として、特定の食材を口にするだけで魔法のように体重が落ちることはない。「香辛料は脂肪燃焼効果を高めるかもしれませんが、これだけで減量はできません」と話すのは、マサチューセッツ総合病院の肥満専門医で臨床研究者であるファティマ・コーディ・スタンフォード医師

「いくつかのスパイスは代謝をよくしたり、脂肪を減らしたり、食欲を抑えたりすることで知られていますが、目に見える効果を得るには、他のライフスタイルの調整――適切な食事と運動を組み合わせることが必要です」と彼女は説明する。つまり、お気に入りの料理に減量効果があるとされるカイエンペッパーをたくさん振りかけても、それだけでは違いを生み出すことは難しいということ。

preparing pizza in the kitchen for dinner
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とはいえ、ニューヨーク市を拠点に活動する登録栄養士で『The Small Change Diet』(原題)の著者であるケリー・ガンズさん曰く、スパイスはヘルシーな食品の味付けに使うことで、間接的にダイエットを助けてくれるかもしれないという。「スパイスは余分なカロリーを使わずに風味を加えることができ、あっさりした食事を楽しいものにしてくれます」

ハーブと減量を結び付ける研究はいくつかあるが、確かなものにはいたっていない。それでも、ダイエット中に料理をもっと風味豊かにしたいと思えば、何を使えばいいのか気になるところ。

ここでは、減量につながるとされるスパイスやハーブについて、現在明らかになっている研究結果とともにお伝えする。

1. カイエンペッパー

spanish paprika and pepper powder
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トウガラシに含まれる有効成分カプサイシンは、体内の脂肪の分解を助け、消化管のホルモンを調整することで空腹感を軽減させる可能性があることが、予備調査で示唆された。しかしこれらの効果の確証を得るためには、より長期的な研究と臨床試験が必要。

また、ハーブやスパイスの減量に関する多くの研究と同様に、この効果に関して行われた研究は小規模なもの。2009年に30人を対象に行われた研究では、食事にカプサイシンを取り入れた人は、食欲を増進させるホルモン「グレリン」のレベルが低いことがわかったが、研究対象人数を増やしても同じ結果が得られるかは定かではない。ただし、カプサイシン入りの食品を食べた人は、対照グループと比較して食後の満足感が高かったということは、注目すべきポイントと言えるかもしれない。

2. ブラックペッパー

black pepper on wooden spoon
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ブラックペッパーの減量効果は、活性成分「ピペリン」によるものだが、留意すべきは、この効果は動物実験や細胞実験でのみ確認されているということ。

『Indian Journal of Pharmacology』に掲載されたある研究では、ピぺリンを与えられたラットは、そうでないラットと比較して高脂肪食を食べても体重が減少したことがわかった。さらに古い研究でも、ピぺリンと脂肪細胞形成の抑制との関連が指摘されている。

3. ターメリック

glass bowl of curcuma powder and fresh organic curcuma on slate
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鮮やかな色が印象的なターメリックだが、脂肪燃焼の促進や代謝の改善にも関係している、とスタンフォード医師は言う。これはターメリックに含まれる「クルクミン」という成分によるもので、広範囲で研究が行われているが、いずれも小規模にとどまっている。

医学誌『European Review for Medical and Pharmacological Sciences』の2015年の研究では、過体重の44人にクルクミンを1日に2回、1カ月摂取してもらったところ、体脂肪は5%近く減少し、ウエストは約4%、ヒップは2.5%サイズダウンしたという。

また、同様の結果が古い動物実験でも観察されており、クルクミンのサプリメントを3カ月間摂取したマウスは、体重と脂肪が減少していたとのこと。

4. ショウガ

ginger and ginger powder, ginger tea
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ショウガの減量効果について、裏付ける小さな研究はあるものの、結果を確実にする大きな研究はいまのところない。2019年に行われた、過体重や肥満の人を対象とした14の研究(対象者は合計で473人)のメタ分析によると、ショウガを摂取した人は体重と脂肪が減少したことがわかったという。さらに、ショウガが空腹時の血糖値とインスリン抵抗性(インスリンは十分に分泌されているが効果を発揮できていない状態で、結果として余分な糖を脂肪として体に蓄積させ、減量を難しくしてしまう)を低下させる可能性があることも示された。

また、ヒトと動物についての27の研究の分析では、こうしたメリットは、熱を発生させて体脂肪を燃やし、脂肪の分解を促進し、食欲をコントロールするショウガの能力に由来すると仮定されている。

5. シナモン

stick cinnamon and cinnamon powder on rustic wooden table with copy space
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シナモンの減量効果にはいくつかの理由が考えられるが、その多くは血糖値への影響に起因する。

シナモンに含まれる「ヒドロキシカルコン」と呼ばれる成分が、インスリンに似た働きをし、糖を細胞に運び、燃料として利用する可能性があることが『The Journal of the American College of Nutrition』の古い研究で明らかになっている。

また、2009年に行われた8つの研究の分析によると、シナモンは血糖値を安定させ、食欲を減退させる可能性があるという。しかし研究者たちは、これらの効能を確認するためにはさらなる研究が必要であると結論付けている。

6. オレガノ

dried oregano
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オレガノには「カルバクロール」という活性化成分が含まれており、これが体重を減らすことにつながるとみられている。

2012年のある研究によると、カルバクロールは脂肪細胞の発達や体内への蓄積を妨げる可能性があるという。実際に、別の実験で、高脂肪食を食べたマウスにカルバクロールを与えたところ、対照のグループに比べて体重や脂肪の増加が抑えられたとのこと。ただし、研究はあくまでマウスで行われたため、人間にも同じことが言えるとは限らない。

7. クミン

directly above shot of cumin seeds in plate over white background
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クミンについては、脂肪燃焼効果を促すことを示す小規模の研究がある。肥満の女性88人を対象にした2014年の研究では、毎日3グラムのクミン入りヨーグルトを食べた人は、プレーンヨーグルトを食べた人よりも体重が減り、コレステロール値も低かったことが明らかになっている。

また、過体重の成人を対象にした別の研究では、クミンのサプリメントを1日3回摂取した人は、8週間後にはプラセボを摂取した人よりも体重が2.2ポンド(約1キロ)減少していたという。

8. カルダモン

close up of cardamom in container on table
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カルダモンにも体重を減らす可能性があるが、現段階で結果が出ているのは人間以外の動物だという。

ラットで行われたある研究では、高脂肪食とカルダモンを与えたところ、16週間後にお腹の脂肪が減少したことが確認された。また別の研究では、高脂肪・高炭水化物食と一緒にカルダモンパウダーを摂った28匹のラットは、カルダモンを摂らなかったラットよりもお腹の脂肪が減ったことが判明している。

9. フェヌグリーク

close up of fenugreek seeds in bowl on table
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フェヌグリークはマメ科の植物で、授乳中の母親の母乳分泌を促進するための製品などによく使われている。食欲を抑える効果もあり、減量に役立つ可能性があることを示すエビデンスもある。

2009年に19人を対象に行われた研究では、1日8グラムのフェヌグリークを摂取した人々は、プラセボ(偽薬)を摂取したグループよりも満腹感を感じ、食事量も少なかったという。また、別の研究では、フェヌグリークの種子エキスを高用量摂取した場合、被験者の脂肪摂取量が全体で17%減少したが、体重やその他の体内値などに有意な変化は見られなかったそう。

10. 朝鮮人参

group of ginseng root
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朝鮮人参は東洋医学でよく使われるもので、小規模な研究では減量との関連が示されている。肥満の女性10人を対象にした研究では、朝鮮人参のエキスを1日2回、8週間摂取させたところ、体重の減少が確認されたという。その理由は定かではないが、研究者はこの効果が腸内細菌叢の変化に関連していると考えた。

また、肥満体形のマウスを用いた別の動物実験では、朝鮮人参のエキスが脂肪の形成を防ぎ、腸における脂肪の吸収を遅らせるのに役立つことがわかった。だが、繰り返しになるが、これが人間に適用できるかどうかを実証するためには、人間を対象にした研究が必要。

11. グリーンコーヒー豆エキス

raw coffee beans
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最近サプリメントでも注目されているグリーンコーヒー豆(焙煎する前のコーヒー豆)については、その効果を支持する科学的根拠がある。

健康な20人を対象にした研究では、グリーンコーヒー豆エキスを摂取した人は、他の食生活を変えずとも、2週間にわたってBMIが下がり、お腹の脂肪が減少したという。また、2011年のレビューでも、このエキスを摂取することで体重を5.5ポンド(約2.5キロ)落とせる可能性があることが明らかになったが、研究者はこのデータの質がベストではなかったと指摘している。

12. カラルマ・フィンブリアータ

caralluma fimbriata family asclepiadaceae a small leafless succulent herb which grows on dry rocky hills its stem is edible
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あまり馴染みがないかもしれないが、カラルマ・フィンブリアータはアジア原産の食用サボテン。これには食欲を減退させ、減量を促す効果があるとされている。

過体重と肥満の33人を対象にした12週間の研究では、カラルマ・フィンブリアータを摂取した人は、プラセボを与えられた人よりもお腹の脂肪と体重が減少したという。

また、成人の男女50人を対象にした研究では、1日1グラムのカラルマ・フィンブリアータを2カ月間摂取した人は、プラセボを摂取した人よりも体重が減り、空腹感をあまり感じなかったと報告された。

13. ギムネマシルベスタ

gymnema sylvestre medicinal plant leaves gurmar organic plant
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ギムネマシルベスタ(ホウライアオカズラ)には「ギムネマ酸」と呼ばれる成分が含まれており、これは甘いものを食べたいという欲求を抑えることに関係しているのだとか。

1983年の研究によると、ギムネマシルベスタを摂取した人は、プラセボを摂取した人と比較して空腹感を感じにくく、食べる量も少なかったことが明らかになったという。また、高脂肪食を食べたラットもこのハーブで体重が減少したとのこと。


結局のところ、ハーブやスパイスで体重を落とすことができるという主張については、それを裏付ける科学的根拠が少々弱い。そのため、ダイエット時の料理を楽しむためにハーブやスパイスを活用する、ということがやはりベスト。

スタンフォード医師も、「食材をおいしく風味豊かにするために、スパイスやハーブを試してみることをおすすめします」「野菜の摂取量を増やし、全体的な健康を改善するための良い方法になります」と述べている。

※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

From Women's Health US

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Korin Miller
Korin Miller is a freelance writer specializing in general wellness, sexual health and relationships, and lifestyle trends, with work appearing in Men’s Health, Women’s Health, Self, Glamour, and more. She has a master’s degree from American University, lives by the beach, and hopes to own a teacup pig and taco truck one day.
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 高校生時代にアメリカンカルチャーの影響を受け、大学在学時にアメリカ・シアトルにてホームステイを経験。海外ドラマに関するWEBメディアでライターを務める。海外エンタメ・セレブ、ロイヤルファミリー、ヘルス・ウェルネス記事をメインに、翻訳を担当。手話技能検定3級、世界遺産検定2級、アロマテラピー検定1級を持つ。