日々の食生活で不足してしまいがちな栄養を補ってくれるサプリメント。 楽で、手軽に摂れるものだけど、体に必要な栄養素はサプリメントで補いきれるものなの? その真相と、サプリメントとの正しい向き合い方について栄養士の松﨑祐子さんにお話を伺った。(以下「」内・松﨑祐子さん)

サプリメントを摂取するメリットは?

「サプリメントは手軽に栄養を摂取でき、また食事の準備時間を削れたり、賞味期限も長めだったりと、よいこと尽くめです。実際に病気などで食事が摂れない場合、点滴だけで日常生活を維持させている観点からみても、生きていく上で食事が不可欠とは考えにくいでしょう。しかしながらそこには大きな落とし穴があります」

サプリメントだけで生活した場合に起こること

・咀嚼力の低下
・免疫力の低下

①咀嚼力の低下

「サプリメントだけで生活した場合、咀嚼力の低下が懸念されます。咀嚼は、食べ物をかみ砕くだけでなく、唾液を分泌して口の中を洗浄し、消化液の分泌や、脳への刺激など、さまざまな役割をしています。サプリメントを飲むだけの生活を続けていると、将来、咀嚼力の低下に伴う弊害に結び付く可能性があります」

②免疫力の低下

「サプリだけの生活による偏った栄養素の過剰摂取や、腸を使わないことによる免疫力の低下も問題です。腸は人間の健康を左右する重要な臓器で、何兆個もの腸内細菌が活動しています。人の体によい影響を与える善玉菌もあれば、悪い影響を与える悪玉菌もあり、理想的な腸内環境を整えるには、それらのバランスが重要と言われています。腸内環境が乱れると、免疫力低下のほか、下痢や便秘など悪影響を及ぼす可能性があります」

サプリメントとの向き合い方

happy african american woman standing at the cuisine table in the home kitchen drinking dietary supplements, looking away and smiling friendly, healthy lifestyle concept
KucherAV//Getty Images

「上記の理由から、サプリメントだけでは人は生きていくことは難しいと言えます。食生活の基本は、毎日規則正しい時間に、バランスの取れた食事を摂ることです。入院中の点滴生活のように、理由があり限られた期間をサプリメントのみで過ごすことはやむをえませんが、長期間続けると体に悪影響があると言われています。食事の中心をサプリメントにおくのではなく、日々の食生活で不足している栄養素を効率的に補えるものという認識でいましょう

過剰摂取は体に悪影響も

「自分に不足している栄養素が分からず、無作為にサプリメントを摂取することはとても危険です。例えばビタミンAを過剰に摂取すれば、下痢や肝機能障害、倦怠感、皮膚障害などに結び付き、ビタミンDは肝機能障害や嘔吐、倦怠感、尿路結石や腎臓障害、高血圧などを引き起こす可能性が高まると言われています。ビタミンCやビタミンB群といった水溶性ビタミンも、尿と一緒に体外へ排出されるため、脂溶性ビタミンよりも体内の蓄積はしにくいですが、過剰摂取は活性酸素を自分の力で打ち消す能力が減少してしまうと言われています。サプリメントの使用に不安がある場合は、医師や薬剤師、栄養士に相談しましょう」

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松﨑祐子
栄養士

1993年生まれ、東京都出身。現役栄養士。大学時代は体育会女子ラクロス部に所属し、日本一を目指す。青山学院大学経営学部卒業後、服部栄養専門学校栄養士科へ進学。卒業後は保育園や料理イベント会社へ栄養士として従事し、2020年3月に独立。食品会社へのレシピ提供、パーソナル栄養指導の他、2020年6月 前身となるmy.brainfoodを設立。同年11月にbrain kitchenと改名し、ブレインフードの普及活動に携わる。

公式インスタグラム:@__matsuzakiyuko__

brain kitchen公式サイト:brainkitchen.jp/

brain kitchen公式インスタグラム:@brainkitchen__

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Aoi Nakashima
エディター

アシスタントエディターとして、主にSNS周りを担当。ウィメンズヘルスを一緒に作るコミュニティー、Fit Girlsのコミュニティリーダーも担う。セレブ・ファッション・フードなどのカテゴリーの中で、トレンドを日々リサーチし、投稿や記事へとつなげる。特技は20年続けた硬式テニス、最近はランニングとボクシングにも夢中。座右の銘は“一日一幸”♡