カイロプラクターで生化学者のデイヴィッド・ウィリアムズによると、私たちの身長は40歳前後から10年ごとに約1cm縮む。これは、重力と加齢によって脊椎の間にあるジェルのような椎間板が潰れていくから。骨と筋肉の減少、骨粗しょう症、土踏まずのフラット化も背を縮ませる。

そして、40歳がまだ先でも、頭が前に出て肩が丸まった状態で電子機器を使っている人は要注意。

米ハーバード大学の前理学療法学部長で理学療法クリニック『Back2Back Physical Therapy』CEOのメアリー・アン・ウィルマースによれば、背中を丸めてパソコンやスマホの画面を1日中覗いていると、その状態で筋肉と腱が少しずつ固まっていく。そして「ある日、自分が真っ直ぐ立てないことに気づきます」

ウィリアムズによると、高齢の場合はとくに背が縮むことでケガのリスクも高くなる。これには、目を閉じていても自分の体の位置や動きが分かる“固有受容覚”が関係している。

「身長のような身体的特徴が変わると、固有受容覚が低下します」。その結果、足を踏み外したり、つまづいたりすることが多くなるそう。

この問題を防ぎたいなら、この先を読んでみて。

1.脳トレをする

ウィリアムズいわく固有受容覚の問題は、脳と体の調和が乱れたときに生ずる。背が少し縮んだ人は、2つのバランスエクササイズで脳と体の調和を保とう。

キッチンカウンターかテーブルを支えにして片足で1分立ったら、今度は反対の足で1分。途中でバランスが崩れた人も、この練習を続ければ大丈夫。目標は支えなしで1分間、片足で立てるようになること。

アルコールチェッカーと同じ要領で、床にある直線(床板の合わせ目でもカーペットの模様でもいい)の上を歩く。かかとからついて、つま先で離れるイメージ。

2.動き続ける

ウィリアムズによれば、手と目を連動させる必要があるスポーツ(テニス、バスケットボール、ゴルフなど)をしていると脳と体の調和が崩れにくくなるので、固有受容覚の問題を防ぎやすい。

ヨガと太極拳も効果的。ヨガのメリットはすでに広く知られている。また、臨床・実験医学専門誌『International Journal of Clinical and Experimental Medicine』に掲載された中国の論文によると、太極拳はバランス感覚の改善、下半身の強化、骨ミネラル濃度の向上に役立つ。

ウィルマースによると、ダンス、ジョギング、レジスタンストレーニングも骨粗しょう症の予防にオススメ。

3.画面の高さを調節する

ウィルマースいわく「体はアゴに付いていく」ので、スマホ、パソコン、タブレットの画面を食い入るように見ていると、肩が前に出て頭が下がる。

ときどき見るくらいなら大丈夫。でも、ノートパソコンや変な位置で固定されたデスクトップパソコンを仕事で使う人にとっては、よい姿勢を保つのが驚くほど難しい。

キーボードはタイピングをするときにヒジが直角になる高さに置こう。そうすれば、手首やヒジ、手根管(手首の部分にある骨と手根靭帯に囲まれた空間の腱炎にもなりにくい。

ウィルマースによると、パソコンの画面は、真っ直ぐ前を向いたときに目がスクリーンの上部から3~5cmの位置に来る高さにあるといい。

そうすべき証拠が欲しいなら、ちょっと辺りを見回して。「最近は若い人ですら、頭を前に出して地面を見ながら歩いています」とウィルマース。「筋肉がその位置で慣れてしまったんですね」

4.ストレッチをする

画面の見すぎで姿勢が悪くなるのを防ぎたいなら、ウィルマースのアドバイスに従って簡単なストレッチを。

まずはシンプルな肩回しから。30秒から1分かけて、肩を上、後ろ、下、前にゆっくり回したら、肩を後ろに引いて左右の肩甲骨を寄せる。この状態を数秒キープしてリラックス。これを30秒繰り返そう。

そして最後にピラティス風のストレッチで背中を伸ばし、脊椎と椎間板に蓄積した圧力を和らげて。

※この記事は、アメリカ版『Prevention』から翻訳されました。

Text: Markham Heid Translation: Ai Igamoto