少し前まで中高年男性が好む印象の強かったサウナが、今や若い世代でも大ブーム。

「サ活」や「ととのう」といったバズワードまで生まれるほど、女性でもサウナにハマる人が続出。

「サウナは日照時間が少なく、寒さの厳しい北欧の健康法として生まれたと言われています。そういった寒冷地域は体力や基礎体温の低下が目立つので、自律神経が整いにくいという傾向もあります。それらを解消し、体温を上げることで免疫力アップにも繋がるサウナは有効な健康法とされています」

しかし、日本はそういった地域とは気候が違うため、それを無視してサウナを利用するのはメリットを最大限に享受できない。さらには危険も伴うこともあるので注意が必要だとパーソナルトレーナーの林健太さん。

「体温が上がると血流がアップするなど、様々な健康効果が期待できます。メリットを最大限に生かすために配慮すべきポイントもあるので、入浴方法に注意してブームを健康の味方にしてほしいと思います」

今回は林さんにサウナのメリットや、入り方に関するポイント、サウナの時間を有効に使って簡単にできる不調改善ストレッチをピックアップしてもらった。

①サウナのメリット

「フィンランドで行われた2,000人以上を対象とした調査では、サウナの入浴頻度が高い人ほど心血管関連の原因で死亡する確率が低かったそうです。それ以外にも血圧低下や肺活量増加など様々な健康効果が報告されています」

入浴と同様に体温が上昇し、血管が拡張することで血流が改善されるが、サウナの大きなメリットの一つは水圧がかからない点だと林さん。

「外的要因を考えると、入浴よりも心臓には優しいと言えます。しかし、サウナは場所によって温度が異なりますので、最初は無理なく短時間で終わるほうが良いでしょう」

サウナの高温と外気の低温の温度変化を繰り返す交代浴はさらにメリットが大きく、自律神経の調整や疲労回復など、様々な健康効果が期待できる。

ただし、極度な冷水浴は、水圧による心臓への負担とより一層の血管収縮作用を引き起こすので注意が必要。

「特に高血圧や糖尿病の疑いのある人は、サウナ後、水風呂に全身飛び込むことは避けた方が賢明です。手足だけをシャワーや水で冷やす部分冷浴や、外気浴だけでも十分に効果は期待できます」

まずは、1回の入浴でサウナに長時間入ることを考えず、こまめな温冷交代浴を積極的に行ってみよう。

②サウナの注意点

mature woman in sauna, low section
Romilly Lockyer//Getty Images

日頃のデトックスだと、ここぞとばかりに汗を絞り出し長時間の熱気浴に耐えている人を良く見かける。

サウナダイエットや、入浴後に体重が減って喜んでいる人もいるが、これこそ整えるには最悪の方法だと林さん。

「入浴前後で体重が減る要因は100%水分です。せっかく自律神経を整え、血流を上げたにも関わらず肝心の血液やリンパがドロドロでは整うどころか健康被害を起こす可能性もあります。汗のデトックスと言ってもその影響は全体の2~3%程度。それよりも脱水による便秘症状を引き起こすことを避けるほうが賢明です」

特にこれからの季節、飲み過ぎた翌日のサウナがデトックスと勘違いして、いつもより頑張ってしまう人が増えてくることは非常に危険。

アルコールによる脱水症状とサウナの相性は最悪。必ず入浴前後には十分な水分補給を行い、長時間に及ぶ場合は必ず途中での水分補給も心がけてほしい。

「我慢することや水分を摂らない方が、サウナのメリットを享受できると勘違いしている人も多いですが、残念ながら全く逆効果です。潤った体に温度変化の刺激を加えることが、サウナのメリットを最大限に引き出すポイントです」

正しい入浴法を身につけてサウナのメリットを最大限に引き出そう。

③サウナで簡単不調改善

前述の通り、サウナでは血管が拡張され血流が上がるので、軽いストレッチは全身の血流を上げて不調を改善するためにも有効。呼吸を止めずに力まないことはもちろん、慣れない高温環境下なので無理は禁物。

「限られたスペースなので、できる動きは限られていますが、省スペースで行う動きのほうが色々な側面からも危険は少なくなります。デスクワークで凝り固まった肩や腰を緩めるには良い環境なので、水分をしっかり摂りながら行ってみてください」

1.タオルストレッチ

サウナで簡単ストレッチ


二の腕と肩前部のストレッチとトレーニングが交互にできる動きで、二の腕の弛みが気になる人はもちろん、エプロンや下着の着脱、髪を結う動作が難しくなってきた人には非常に効果的なストレッチ。

「どちらの筋肉も硬くなると肩を前に出して、姿勢不良に繋がる原因になります。四十肩や五十肩の予防にも繋がるので、日常生活でも十分に行っておくべき運動です」

上の手を引くときは、同じ方向に首を少し倒すことで僧帽筋も同時にストレッチができ、首コリや肩コリにさらにアプローチできる。


2.シーテッドフィギアフォーストレッチ

サウナでもっと整う、ストレッチ

デスクワークで凝り固まりやすいお尻の筋肉は、膝への影響も大きい。たくさん歩いていないのに膝痛を引き起こす原因にもなるので、とにかく普段から同じ姿勢で20分以上座り続けることは避けよう。

「無理に背中を丸めて倒すと、背骨に大きな負担がかかるので、倒れなくても胸を張って背筋を伸ばすことを優先してください。特に硬い人は組んだ脚の膝を押し下げるだけでも十分なストレッチ感覚が得られます」

座りながらできるストレッチはサウナだけでなく日常から応用可能。

3.トランクツイスト

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こちらもメジャーなストレッチで、先ほどと同様に背中を丸めずに骨盤を立てた状態で行うことがポイント。正しい姿勢を維持するのに必要な脊柱起立筋群はもちろん、お尻から背中にかけて広い範囲でストレッチができる。

「首を先に動かしてしまうと目線がゴールとなって体に制限がかかります。より深く動かすためにも、背筋を伸ばしながら目線で動きを後追いするように動かしていきましょう」

3.フィンガーストレッチ

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「指のストレッチは特別に行う必要はないと考える人もいるかもしれませんが、現代人はスマホやパソコンで指を酷使しています。それも毎日ほとんど同じ動きなので、指から肩こりに発展することも大いにあり得ます」

特にマウスやキーボードを叩く際に指を持ち上げる動作をする筋肉は、肩こり原因筋No.1である僧帽筋との繋がりも深い。

たかが指、されど指と考えて、普段やらない体力不要な安全なストレッチこそ、サウナ時間を有効活用して行ってみて。

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林健太
NESTA公認トレーナー SIXPADオフィシャルトレーナー

 幼少期よりプロレスラーに憧れ、中学生の頃からジムに通い始め、高校・大学はアマチュアレスリング部に所属。
 卒業後、一度は就職するもプロレスラーの夢を諦めきれず2011年プロレスリング・ノアに入門。練習中の怪我により
 選手としてデビューすることはできなかったが、トレーニングを続けることで心身のモチベーションを維持し続けたことがきっかけでトレーナーとしての活動を始める。
インスタグラム: www.instagram.com/kenta_0327_/