タンパク質を食べると体重増加?! 気をつけるべき4つのこと
高タンパクの食事が裏目に出たらどうすればいい?
多くの女性は短期間で体重を落とすには高タンパクの食事が有効だと思っている。それはたしかにそうだ。タンパク質は炭水化物に比べてゆっくりと分解するため、満腹感が持続する。十分なタンパク質を食べることは、体重を減らそうとする時に筋肉を落とさず、代謝も維持できる。さらに、タンパク質にフォーカスすることは、無意識に食べすぎてしまいがちな炭水化物を、赤身の肉や乳製品、ナッツや種子、豆類などの選択肢と交換してくれる。
とはいえ、タンパク質の摂りすぎには注意が必要だという。2015年に『The journal Clinical Nutrition』に掲載された大規模な研究によると、タンパク質が食事の20%以上(特に動物性タンパク質)を占める人たちは、タンパク質は食事の15%以下の人たちに比べて、体重が10%多いことが判明している。他の多くの研究が体重を増やすのではなく、減らすためにタンパク質を多く摂ることを推奨している中で、この研究結果に困惑する人が多かったそう。
「みなさんタンパク質にもカロリーがあることをきちんと理解できていないと思います」と話すのは、『Read It Before You Eat It』の著者であり、BetterThanDieting.comの創設者である、ボニー・タウブ・ディックス管理栄養士。また、エミリー・カイル管理栄養士いわく、どんなにたくさんタンパク質を摂取しても、その日の摂取カロリーが、消費カロリーを上回れば体重は増えるという。
カロリーを抑えて減量するにはどうしたらいい? 高タンパクの食事が減量を阻む4つの理由をアメリカ版ウィメンズヘルスから見ていこう。
1.どうしてタンパクの摂りすぎが太る原因になるの?
①肉の食べすぎ
霜降りのリブアイはたしかに満腹になる一方で、思っているよりずっとカロリーが高いそう。約280gのステーキで1,000カロリーはある。「過剰なカロリーは上腕二頭筋にはなってくれず、脂肪に変わります」とタウブ・ディックス氏。
②どか食い
炭水化物をカットしすぎることは気分を落胆させ、体が糖やデンプンを欲し、結果どか食いにつながるという。「脳が欲しがる燃料はブドウ糖と炭水化物です」とカイル氏。結局また炭水化物を食べた時に食べすぎてしまい、これまでの取り組みが元に戻ってしまうという。「タンパク質の食生活に厳しく取り組んでいる時は、大抵トーストのカケラですらおいしく見えます」とタウブ・ディックス氏。
③モチベーションの喪失
「炭水化物はどんなアクティビティにとってもベストな燃料源です」とタウブ・ディックス氏は話す。完全に炭水化物を排除すると、疲労感を感じるようになり、あまりトレーニングできずに1日が終わってしまい、それではどんなダイエットプランにも逆効果だそう。「それは悪循環です。だるさを感じるのでトレーニングしない、トレーニングしないのでよりだるさを感じます」とカイル氏。
④食物繊維の不足
食物繊維は水分を吸収するので満腹感を感じたり、ヘルシーな腸細菌を食べて、消化管の調子を保つという。また、多くの研究が食物繊維と減量を関連付けているそう。でも、もしタンパク質にフォーカスしすぎた場合、フルーツや野菜、全粒穀物などの食物繊維を十分に食べていないのかもしれない。「もしタンパク質を食べすぎている場合、腸内の良い細菌に栄養を与えられていないでしょう」とタウブ・ディックス氏。
2.タンパク質を食べ過ぎると他にどんな健康上の問題が起こる?
ご存じの通り、体の他部位に影響を与えたり、状況を悪化させない限り、体重増加は本来健康の問題ではない。とはいえ、タンパク質を食べすぎることによって起こりうる数々の問題があるという。大量の肉を食べている人はこんな症状がないか、下記をチェックしてみよう。
①異常に喉が渇く
もし口がとても乾いているなら、その理由にはタンパク質が関係しているかも。腎臓は過剰なタンパク質を尿を介して押し流すために2倍の仕事をしないといけないという。そしてそれが喉の渇きの原因だと話すのは、80 Twenty Nutritionの社長兼創設者である、クリスティ・ブリゼット栄養士。多くのナトリウム、カリウム、マグネシウムは尿として排出されるため、「高タンパク-低炭水化物の食事をしている人は、よりこれらの電解物が必要になる傾向があります」
②便秘または下痢
「もし、すべての全粒穀物やナッツ、種子、野菜や果物を排除した場合、それらは食物繊維が含まれているため、便秘などの消化に関連した問題に繋がる可能性があります」とブリゼット氏。また、高タンパク質の食事は有益な腸内細菌を除去するという。「もし腸内フローラが正常に働かない場合、下痢または便秘と下痢が交互に起こるなどの腸の異常につながり、膨張感やけいれんを引き起こすかもしれません」
③不機嫌になる
タンパク質が多く含まれる食物のみを食べていると、イライラしてくるという。「もし腸の細菌バランスを正さなければ、調査では腸のマイクロバイオームがメンタルヘルスやうつ、不安につながるとされています」とブリゼット氏。また、「炭水化物を多く含む食物は、脳内にある幸せの神経伝達物質のセロトニンの量を増やします」と説明している。「十分に炭水化物を摂取しないことで、自分の気分や外見の変化に気づく人もいるでしょう」
④口臭
極端に低炭水化物の食生活をしていると、口臭が生じ、それはケトーシスの一般的なサインだという。これは体が蓄積されている炭水化物の代わりにエネルギー源として脂肪を燃焼させるプロセスだと、ヴァンダーナ・シェス管理栄養士は説明する。けれども、ケトーシス状態になることは、もし他の健康上での問題を抱えている場合は特に危険だということを、心に留めておいてほしい。ケトジェニックダイエットを実行する前は医師と相談しよう。
⑤生理周期が変化
長期間炭水化物をカットすることは、多くの蓄積脂肪を燃やすため、生理を止めてしまうことにもなるという。ホルモンの量や妊娠に影響し、代謝が変化してしまう可能性も。「あなたの体は守りのモードに入っていきます。それは体がストレスにさらされている状態で、食物が不足しているため、赤ちゃんを世に送りだすには良いタイミングとはいえません」とブリジッテ氏。基本的に、女性の正常なホルモンレベルおよび、妊娠や健康のためには一定量の脂肪が必要だという。だから、もしタンパク質の摂取が生理に影響を及ぼしていることに気づいたら、病院を受診しに行こう。
3.ダイエット目的には毎日どれくらいのタンパク質を摂ればいい?
忘れないでほしいのは、人はみんな異なるので、健康的なタンパク質の量といっても、万人にあてはまる処方箋はない。「タンパク質の摂取は本当にその人の大きさやアクティビティレベルによりますが、目安にできる数字はあります」とニューヨークにあるMPM Nutritionを経営するマリッサ・メシュラウム管理栄養士。
「タンパク質の栄養所要量は、体重1㎏あたり0.8gです。ただ、これは最低基準なので必ずしも最適とは限りません」とメシュラウム氏。正直なところ、一番いいのはカロリー全体でおよそ30%をタンパク質から摂取することだそう。
4.度を超えずにヘルシーな量のタンパク質を摂取するには?
これまでタンパク質の食べすぎに関連する症状やリスクについて話してきた。では今度は、どのようにしてタンパク質を食べすぎずに、適正な量を食生活に取り入れていくか見ていこう。ここでは、栄養士による健康的なタンパク質の食べ方をご紹介。
①高タンパク、低カロリー、植物由来の食物
できる限り高タンパクで低カロリーの、野菜や乳製品を食べるようにしよう。例えばギリシャヨーグルトまたは豆類1カップは、200カロリー以下で計15gのタンパク質が含まれる。肉を食べる場合は、赤身の物を選び、量を調整しよう。1回の量はトランプカード位の大きさだと、タウブ・ディックス氏は話す。また、おいしい野菜とタンパク質のコンボを試してみよう。例えばステーキとアップルクレソンのサラダなど。
②炭水化物も食べよう
バランスを保つために、1日のカロリーの約50-55%はヘルシーな炭水化物から摂取することをタウブ・ディックス氏は推奨している。「炭水化物は敬遠されがちですが、実際には炭水化物を食べながら減量することは可能です」と彼女は話す。体重に効果的な食物は、全粒穀物やフルーツ、野菜などで、それらは、皮つきベイクドポテトのレシピにも入っている。
③食物繊維は仲間だと覚えておいて
1日に推奨される食物繊維の摂取量約25-30gを摂るようにしよう。フルーツや野菜、全粒穀物に豊富に含まれている。「ヘルシーな量を食べていると確認する方法はプレート法を使うことです」と話すのは『The Small Change Diet』の著者であるケリ・ガンズ管理栄養士。「お皿の1/4はタンパク質、1/4は炭水化物、そして1/2は野菜です」
※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。
Text: Colleen De Bellefonds and Madeline Howard Translation: Asami Akiyama
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