ロサンゼルスで生まれ育ったジャパニーズ・アメリカンのレミ・イシヅカをご存知だろうか? アジア系で成功するのが難しいと言われるアメリカのフィットネス業界で、インフルエンサーとして成功を収めている彼女のストーリーを、Women’s Health Academyのメンバーでヨガ講師のケリー・リカさんがインタビューしてリポートしてくれた。

あなたは @RRAYYME というインスタグラムアカウントをご存知だろうか?

彼女は、ここアメリカを中心に、大人気のヘルスウェルネスブロガー、レミ・イシヅカ。彼女は日本人の母と台湾人の父を持ち、ロサンゼルスに生まれ育ったジャパニーズ・アメリカン。彼女が発信する投稿は常にステキで、等身大。世界中の多くの女性が彼女に共感し、インスパイアされている。

remi ishizuka

これまでもフィットネス系インフルエンサーとして活躍してきた彼女だが、コロナ禍にあった2020年、新しいフィットネスプログラム「HōmeBodies」をリリースし、それが早速アメリカ版ウィメンズヘルスの2021年版「FIT TECH best for new daily workouts部門賞」を受賞した。

どんな状況にあっても、流行の先端で勝ち続ける彼女。

彼女にとってインフルエンサーとは? ソーシャルメディア界で成功するには? そしてフィットネスとは? 様々な角度からインタビューしてみた。


“インフルエンサーの旅は、自分自身と向き合うための旅”

インスタグラムで28万人のフォロワーを抱え、ファッション、ライフスタイル、恋愛と多くの女性のお手本になっているレミ。彼女の投稿は、フィットネス、食事、愛犬、新しいプロジェクトなど、いつも話題が尽きない。常に勝ち続けてきている印象のレミだが、インスタグラムを始めたばかりの頃は「人生のどん底にいた」という。

remi ishizuka
RRAYYME


この写真は2009年のレミ。

「この8年に及ぶインフルエンサーの旅の始まりは、自分探しと健康的な生活を得るための挑戦だった」とレミは語る。

8年前の彼女は、自分の人生を模索していた。自己啓発の本は好きで読んでいたし、ストレス解消になればと運動も始めた。けれど、何かいつも満たされていなかった。仕事のストレスで円形脱毛症になったり、当時の恋愛も大苦戦。大好きだったはずのクリエイティブなことにもやる気が起きない日々。

ただ人生が苦しかった。

そんな時に見つけたのが、当時はまだまだはやり始めたばかりのインスタグラム。たまたま見つけた誰かの投稿が、彼女の創造力を触発。自らの朝食の写真をインスタグラムに投稿し始めることになる。

小さなアパートにある小さなキッチンで作った料理を一つのボウルに盛り付け、“この場所で写真を撮ったら素敵!”と目をつけた、玄関先にある小さな1枚のタイルまでわざわざ行き来する日々。写真映えさせるためには、まったく苦ではなかった。時には周りからなぜそんなことをしているの? と聞かれても、彼女は気にならなかった。

remi ishizuka food
RRAYYME

「毎日試す新しいメニューと、それをきれいに盛り付けて写真に撮ることが楽しかった」

とレミは振り返る。料理の写真を投稿し始めて丸2年。休むことなく継続し、気が付けばフォロワーは当初の数百倍、気がついたら自他ともに認めるインフルエンサーになっていた。

彼女はこの経験についてこう語る。

「この経験がまさに今の私の原点。私は楽しむことを追求したし、やめることなく挑戦し続けた。それがきっと私の成功の秘訣」

Curiosity, Consistency and discipline

これは何をするにも大事になってきそう。

フィットネスとの新しい出会い
remi ishizuka
RRAYYME


8年前までのレミには、フィットネスは“やらなければいけないもの”だった。トレッドミルで1時間走るなんて、到底楽しいと思えるものではなかった。気が進まなくても運動すれば後から気分がよくなるから、無理やりやる。そんなことの繰り返し。

けれど、8年前にヘルシー志向になってからというもの、フィットネスとの向き合い方も大きく変化した。今となっては、フィットネスは“今の自分を支える基盤、生活の一部”になっている。運動をすることで一日を有効に過ごせる上、気持ちもいつも前向きでいられる。仕事の生産性も上がって、一番コンディションがいいという。いまや、フィットネスは彼女にとって切っても切り離せない生活の一部になった。


コロナをきっかけに訪れた転機

元々、インスタグラムだけに頼りたくないと思っていたレミは、新しいアプローチで世の中にいい影響を与えたいと考えていたという。パートナーであるネイトも同じ考えで、二人で何かをできないか、新しい道を模索していた。

そんな時に起こった新型コロナウイルスによるロックダウン。レミとネイトに“チャンス”が訪れる。

ジムも閉まって運動をする環境が整っていない日々。多くの人がストレスと不安の中にいたとき、彼らには自らが持っている才能をシェアするチャンスが来た。

「カメラがあろうとなかろうと、僕らが毎日やっているワークアウト。いっそのことフォロワーにワークアウトをライブでシェアしない?」と提案したのはネイト。この提案の次の日から、二人はライブをスタートした。初めは一週間先のプログラムの内容なんてできていない、その場その場を乗り切る毎日。けれど彼らはその一日一日にフォーカスしていた。

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RRAYYME

その結果。

多くの利用者に支持され、アメリカ版ウィメンズヘルスが選んだ2021年版「FIT TECH best for new daily workouts部門賞」を受賞するまでになった。

フィットネスに消極的な女性の代表としてのレミと、ストイックなトレーナーと化するネイトとのコンビで作り上げられる絶妙なバランス。自宅のリビングルームから行われる毎日のライブ配信に親近感を覚えた視聴者も多かったのだろう。

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RRAYYME

こんなに短時間で成功を収めた率直な感想を聞いてみると、

「私も本当にびっくりしたのよ!」

と、あふれんばかりの笑顔で答えてくれた。


アジア人が不利といわれるフィットネス業界

一般的に、アメリカのフィットネス業界はアジア人にとって不利な業界というのは、言わずとも知られた事実。その点についても質問もしてみた。

「最初はもちろん不安もあったわ。でも、私は誰でも努力すれば一番になれるって信じているの。だからそれを信じて突き進んだわ。私もアメリカで育ったアジア人だから学生時代には納豆でからかわれたりもしたし、皆と違うことで悩んでいたりもした。でもだんだんそれもひっくるめて受け入れたの。人にないものがあるっていうことが、どれだけすごいことかわかるようになったの。そうしたらそういう枠も気にならなくなった」

マイノリティでありながら、競争の多いソーシャルメディア界で存在感を見せつけられる秘訣は、正にここにある。


多大な影響を与えた人は両親

彼女が尊敬してやまない人、それは彼女の両親。日本生まれの母と台湾生まれの父は、単身でアメリカに渡り、人生を切り開いてきた。成功と失敗を繰り返しながらも、常に前を向いて努力する二人。そんな両親の姿を見て育ったレミは、彼らから人生への向き合い方をしっかりと学んだのだ。

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「私の母はいつも“やる気があったら何でもできる“と言って私を応援してくれたわ。母のおかげで、誰でも努力すれば夢はかなうっていう意識が身についたの。父はいつも私を優しくサポートし、自分の背中で世の中を見せてきてくれた。私の”頑張ればだれでも1位になれる“っていうマインドは確実に二人の影響ね」

自ら努力することを見せ続ける両親、そしてそれを学ぼうとする娘。家族の結束と尊敬が伺い知れる。


これからのビジョンは?

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常に努力家で先見の明を持つレミ、今後について聞いてみるとこんなことを教えてくれた。

「人生のパートナーと身を固めたい。HōmeBodiesをもっと広めたい。そしていつでも自然体で今より1%でも成長できる自分でいたい」

これは目の前にあることに集中するレミらしい回答。きっと持ち合わせた感覚と探求心で未知なる世界を切り開き、これからも私たちを驚かしてくれるのだろう。

最後に日本にいるフィットネスを始めたい人、そしてフィットネス業界で活躍していきたい人へ向けてのメッセージをもらった。

preview for Message from REMI

「フィットネスを始めたいけどまだ始められない人は、運動は嫌なものっていうマインドセットを解放することが大事よ。健康で体が動かせるっていうことが当たり前と思ってはいけない。動かせるということが恵まれているんだから、そこに喜びを見つけていって欲しい。無理のない本当に小さいことでいいの、健康的な習慣をまずひとつでも始めてみて」

そしてフィットネス業界で仕事をしていきたい人にはこんなメッセージ。

「あなたのスキルで人々がどんな価値を得られるかがとっても大事。はじめはあなたのことを皆知らないもの。ソーシャルメディアを活用して、惜しみなく皆にあなたのスキルをシェアしてあげて。そうすることで多くの人があなたの才能を見出してくれるわ」

自らが持ち合わせた才能、それに加えて挑戦を恐れず続けていく大和なでしこアメリカン、レミ。彼女は今後も、日本の文化も大事にしながらSNSの世界にとどまらず、大きく羽ばたいていくだろう。彼女の今後からも目が離せない。


Special thanks to Laura @laura.gimbert

Headshot of RIKA Kelly
RIKA Kelly

ビバリーヒルズを中心にプライベートヨガを主として幅広くヨガを教えているRika Kelly。クライアントの身体の機能性と心のwell-being を一番にセッションを行うのが彼女のスタイル。ヨガの知識を使って顧客のニーズに対応し、クライアントの幅はハリウッドセレブからプロダンサー、妊婦からお年寄りまで多岐に渡る。RYT500, Y12SR, RESTORATIVE, PELVIC FLOOR, Prenatal yoga 指導。