8つのワークアウト別! エネルギーを与える「プレワークアウト・ミール」とは?
HIIT、ランニング、ヨガなどの燃料を補給しよう。
フィットネス通の間では、ワークアウト前の食事(プレワークアウト・ミール)がパフォーマンスの向上やリカバリーに欠かせないと言われている。でも、理想的なワークアウト前の食事とは? あなたの好きなワークアウトがランニングやクロスフィットであれ、HIITやヨガであれ、日曜日の散歩であれ、事前に何を食べておけばいいのかが分からない人は多いはず。今回はイギリス版ウィメンズヘルスより、「プレワークアウト・ミール」についてご紹介。
イギリス版ウィメンズヘルスの編集部も、ランニングシューズを履きながら必死になってバナナを食べ燃料補給をしたはずが、15分後には脇腹が痛くなるスタッフの姿を何度も見てきたのだとか。
これはなぜ? 体がスナックを消化するには、少なくとも60分必要という。管理栄養士のジェンナ・ホープの話では、体を動かす1時間前に食事をすると、満腹の状態で運動することになり、しゃっくり、腹痛、吐き気、脇腹の痛みといった問題が生じてしまうという。
プレワークアウト・ミールに適したタイミング
イギリス国民医療サービス(NHS)によると、脇腹痛と吐き気のダブルパンチのリスクを下げて最大限の結果を出したいのなら、ワークアウト前の食事は約3時間前、スナックは少なくとも1時間前に済ませておくべき。
脂質が低く、タンパク質が適度に含まれ、糖質が高いスナックはパフォーマンスとリカバリーに効果的。例えばバナナ+ピーナッツバターや、ライスクラッカー+ジャムまたはナッツ。
プレワークアウト・ミールが大事な理由
必要な栄養が含まれた食事を適切な時間に摂取すれば、ベストパフォーマンスに必要な燃焼が補給できる。これでワークアウトの最中と後の身体的な感覚が大きく変わり、リカバリーも促進される。
人はみな違うので、自分にとってベストな食事や時間帯を特定するには試行錯誤を繰り返す必要があるけれど、ホープいわくワークアウトには十分なエネルギーを補給した上で挑むべき。
「ワークアウト前の食事では、ワークアウトをサポートするだけのグリコーゲンを確保することが大切です」
プレワークアウト・サプリメントとは?
ワークアウト用のサプリメントを事前に飲めばテンションは上がるけれど、これが向かない人もいるという。
「鍛えられたアスリートのパフォーマンスを向上させる上では役に立つかもしれませんが、ほとんどの人は、適切なタイミングでバランスの良い食事をすれば十分です。それに、バランスの悪い食生活をトレーニングやサプリメントで帳消しにすることはできません」と話すのは、公認管理栄養士のキャサリン・キンバー。
ワークアウト前の食事は胃が受け付けないので、サプリメントのドリンクを飲むという人もいる。サプリメントのドリンクは、移動中や時間がないときにも便利。
その一方で、プレワークアウト・サプリメントに含まれるカフェインがきつすぎると感じる人も。だから、いろいろ試して自分の体に合った方法を見つけるのが一番確実。
サプリメントを飲む前に、まずはプレワークアウト・ミールを試してみよう。
ロンドンのトップコーチかつ栄養士であるパーソナルトレーナーが、オススメのプレワークアウト・ミールを教えてくれた。
1.ランニングの前
ランニングコミュニティ『Purdue Performance』のランニングコーチ、アダム・クラークによると、万人に合うプレワークアウト・ミールは存在しないという。
「大事なのは、走る前に色んな物を食べてみて、自分に合ったオプションを見つけることです。レース本番で脇腹が痛くなったり、おなかの調子が悪くなったりするのは困りますが、軽いジョギング中なら、さほど大きな問題になりません」
クラークとコーチのシャーロットは、重たくはないけれど、糖質と糖類のバランスが良いスナックを運動前に食べているのだとか。例えば、ハチミツとバナナを乗せたライスクラッカー4枚や、イチゴジャムとバナナを乗せた精白パン2枚。長距離を走る前には、おかゆとバナナで燃料を補給するそう。
ただし、食物繊維が豊富な食べ物は避けよう。一生懸命走っていると、膨満感や腹痛を引き起こすことがある。
ランニングにピッタリのプレワークアウト・ミールを見つけてしまえば、練習やレースの前に頭を悩ませることもなくなる。
いまいちハッキリしないときは、クラークが言うように、食事内容だけでなく走る前と走っているときの気分も日記に書いて。そうすれば自分の体に合った燃料が見えてくる。
また、クラークによると、高負荷のランニング、テンポ、インターバルトレーニングをするときは、30~60分前にコーヒーを飲むといいそう。
2.HIITの前
「HIITの場合は、ワークアウトの3~4時間ほど前に、素早くエネルギーに変換される糖質とタンパク質が豊富な食事をしましょう。1時間ほど前に軽食をとるのもいいですよ」とホープ。HIITのようなワークアウトで体を限界まで追い込むときは、消化の時間を体に十分与えることが特に大切。
HIIT前のプレワークアウト・ミールの例は、スクランブルエッグを乗せたライ麦パン、トマトソースの全粒パスタ、ピーナッツバターかカッテージチーズを塗った全粒トースト。
スナックには、バナナ0.5~1本をスライスしてライスクラッカーに乗せたり、デーツにピーナッツバターを詰めたりしてみて。
3.ピラティス/ヨガ/バレエの前
ピラティスやバレエは、短距離のインターバルトレーニングよりも安定していて動きもスロー。だから、それほどたくさんの燃料は必要ないという。
ワークアウトの数時間前に軽食を済ませて、血糖値を安定させよう。でも、食べすぎには要注意。
「ピラティスの前は、エネルギーにゆっくりと変換される糖質とタンパク質を選んでください。ベリーを乗せてシナモンをかけたギリシャヨーグルト、ピーナッツバターを塗ったリンゴ、ニンジンとフムス、オートミールケーキとゆで卵などがオススメです」とホープ。
4.スピンクラス/サイクリングの前
スピンバイクのホコリを払って、夏に向けて鍛えようと思っているなら、よく聞いて。ほとんどのスピンクラスでは45分で400~600kcalのカロリーが消費される。抵抗を強くしてトレーニングをハードにすればするほど、カロリーの消費量は増加する。よって、エネルギーをためておかないと自分の体を追い込めない。
ボクササイズジム『Sweat by BXR』のジェイムズ・ピサノの一押しは、ベイクドサツマイモ。トマト、ホウレン草、松の実(パインナッツ)、オリーブオイルのアボカドサラダと、フルーツスムージーまたはコールドプレスジュースを添えて。その日のうちに摂取する他の食事や間食も考慮に入れれば、ワークアウトに必要な燃料と糖質が十分補給できるはず。
「プレワークアウト・ミールに関しては、食べるタイミングも重要です。遅くともワークアウトの1時間前に食べてください」
5.ウエイトリフティングの前
パーソナルトレーナーのローラ・ホギンスを始め、ほとんどのエキスパートは、プレワークアウト・ミールの量が人によって異なることを知っている。そして「食べるタイミングも人それぞれです」
ホギンスは、消化されやすい食品から適度なタンパク質と糖質を補給して、繊維質の野菜やフルーツの摂取を控えるのだとか。
なぜ? 「タンパク質は満腹感をくれるので、ワークアウト中も空腹になりません。筋肉の成長と修復も促してくれます。単純糖質を摂取しておけば、ワークアウト中もエネルギーが持続します。繊維質の野菜とフルーツを摂取しないのは、とても消化されやすく、ワークアウト前に食べると動きが鈍くなるからです」
ホギンスいわく早朝にトレーニングをするときは、前日の夕食を多めにするとエネルギーが続きやすいのだとか。
6.ウエイト/有酸素サーキットの前
HIITほど汗をかくことはないけれど、あの小さな筋肉たちのことを思えば、自重であろうとなかろうと、レジスタンストレーニングに燃料が必要なのは間違いない。
“レジスタンスバンドの王”として名高いフィットネスジム『Workshop Gymnasium』創設者のリー・マリンズは、レジスタンスバンドを使い、1時間近く一定の負荷をかけ続けるトレーニングに必要なプレワークアウト・ミールを知っている。マリンズが好きなのは、ひとつかみのミックスナッツ、オーガニックダークチョコレートを数ブロック、または少量の鶏肉とグアカモーレ。
なぜ?
「主に良質な脂質とタンパク質で構成されたワークアウト前のスナックは、集中力を高めるアセチルコリンとドーパミンという神経伝達物質の分泌量を増やします」
スナックのタイミングは、やはり遅くてもワークアウトの60分前。人によっては、もう少し早く(約90分前に)食べる必要があるかもしれない。
マリンズによると、プレワークアウト・ミールの適切なタイミングは数々の要素(食べる量、液体か固形か、消化器系の状態)によって決まるという。
「体のニーズを知るためには、残念ながら試行錯誤するしかありません」
7.クロスフィットの前
マウンテンクライマーやバーピーが盛り込まれた45分間のEMOM(1分ごとに新しいエクササイズを始めるワークアウト)やAMRAP(所定の時間内にできるだけ多く回数を重ねるワークアウト)のクロスフィットで、大量の汗を流したいなら?
『Clean & Lean』シリーズの著者ジェイムズ・デュイガンが言うように、ワークアウトの約1時間前に高タンパクの間食を。
「サーモンとアボカドのコンビネーションでタンパク質を摂りましょう。夕食前の仕事帰りにワークアウトをする人は、ゆで卵かひとつかみのアーモンドで済ませてもいいですよ。タンパク質とヘルシーな脂質が豊富なスナックはインスリンの量を増やさないので、筋タンパクがエネルギーとして使われてしまうことがありません」
デュイガンの話では、他のワークアウト同様クロスフィットでも、糖質、タンパク質、脂質のバランスが取れた食事をワークアウトの2~3時間前に済ませ、必要に応じてワークアウトの直前にちょっとつまむのが理想的という。
8.水泳の前
冷たい水に飛び込むにせよ、温水プールで泳ぐにせよ、栄養士のグレイス・キングスウェルいわく水泳前の燃料補給も人それぞれ。
「私はファステッド・エクササイズ(何も食べていない状態で行う運動)の大ファンです。インスリン感受性を高めてくれますからね。とはいえ、冷たい水で泳ぐのが好きなので、飛び込む前にちょっと食べておきたいと思うこともあります。血糖値が少し上がるだけでも、飛び込む勇気が湧いてきますから!」
タンパク質が豊富な朝食(卵、アボカド、緑の葉物野菜など)後、2~3時間待ってから泳ぐのが理想的。でも、慌ただしい早朝に水泳をねじ込みたいなら、消化とエネルギー変換の早い糖質と脂質を組み合わせて。おすすめは、アボカドを乗せた全粒オートミールケーキや、すりおろしたニンジン、つぶしたバナナ、刻んだナッツで作った朝食バー。
キングスウェルいわくプレワークアウト・ミールはトレーニングの1時間前に食べたいところ。時間がないときは、分解・消化されやすいスナック(バナナ+小さじ1杯のアーモンドバターなど)を。
※この記事は、イギリス版ウィメンズヘルスから翻訳されました。
Text: Alice Head Translation: Ai Igamoto
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