肩こりに効く11のエクササイズ
簡単にマスターできるエクササイズで緊張を和らげよう。
肩は体の中で最も柔軟な関節。それなのに、米国成人の18~26%は肩こりに悩んでいる。その理由はさまざま。「肩こりには無数の要因があります」と話すのは、毎週50本以上のワークアウトをストリーム配信するオンデマンド・フィットネスミラー『MIRROR』の初代トレーナーのひとり、ゲレン・ライルズ。「ワークアウトで肩に大きな負担をかけたあとにリカバリーやモビリティエクササイズで怠ると、使いすぎで肩が摩耗してしまいます。肩こりは、何かを運んだりという日常的な作業からも生じます」
逆にデスクワークで1日中前かがみになっている人は、肩を動かす範囲が少なすぎて痛みを感じる。肩こりは姿勢の悪化、首の痛み、さらには呼吸困難の要因になることも。
全身を強化する一方で、筋肉をほぐし可動域を広くするストレッチを行えば、肩こりは緩和する。「大きな筋肉群の働きをサポートするのが肩の役割ですから、肩に負荷の大部分がかかるべきではありません」とライルズ。「胸、体幹、腕、背中が強ければ、それらが一体となって働くので、エクササイズが安全かつ効率的に行えるようになります」。正しいフォームを身に付けるのはマスト。「体幹を使わずにショルダープレスを行えば、肩だけでなく、腰や脊椎を痛めるリスクも出てきます」
肩を鍛えて痛みを緩和したいなら、ライルズ考案のワークアウトにトライして。その方法をアメリカ版『Prevention』からご紹介。「筋肥大を目指している人は6~12回、筋持久力をつけたい人は軽いウエイトか自重だけで回数を増やしましょう。ただし、ウエイトが重ければ重いほど、カロリーが効率的に燃えて代謝が良くなります」。なお、肩を痛めているときの運動は、医師のアドバイスを聞いてから始めよう。
所要時間:30~40分
回数:6~12回x3~5セット
必要な器具:中重量のダンベル1セット、ヨガマット
1.チャイルドポーズ
ヨガの定番、チャイルドポーズは一見シンプルに見えるけれど、実は最も効果的なショルダーオープナーのひとつ。背骨が伸びて、体幹を意識しやすくなる。
HOW-TO:ヨガマットの上で四つんばいになり、手を肩幅に開く。両足をくっつけて、ヒザを腰幅に開く。お尻をかかとに押し付けて腕を伸ばし、手のひらをマットの先端に置く。この状態で少なくとも3呼吸。手の下にヨガマットを置けば、ストレッチが深くなる。
2.スイマー
この自重エクササイズでは、肩だけでなく、背中、お尻、下腹部も鍛えられる。
HOW-TO:ヨガマットの上でうつ伏せになり、腕を前、脚を後ろに伸ばす。肩、背中、臀筋、体幹の力を使い、右腕と左脚を浮かせ、下ろしたら反対の腕と脚を浮かせる。これを交互に繰り返す。首と背中は伸ばしたまま。首に負担がかからないよう肩を下げるのも忘れずに。
3.肩甲骨プッシュアップ
上半身の機能に制限があると翼状肩甲骨になり、重い物を持ち上げたり、引っ張ったり、押したりといった動作に支障が出る。でも、肩甲骨プッシュアップを行えば背中と肩が強くなり、症状が改善する。
HOW-TO:ハイプランクのポジションをとり、手首を肩の真下に置く。肩甲骨の間にボールを挟むようなイメージで左右の肩甲骨を寄せ、ヒジが45度に曲がるまで体を下げる。
4.サイドプランク
このエクササイズでは、肩を開きながら腹斜筋(ラブハンドル)も鍛えられる。ポイントは、上体をひねるときも左右の股関節を平行に保つこと。
HOW-TO:体の右側を下にして横になる。右脚の上に左脚を重ね、右の前腕をマットに押し付けて体を浮かせる。左腕を天井に向かって伸ばす。左右の足を重ねたまま太ももの内側を締め、左腕を上体の下に通してから、もう一度天井に向かって伸ばす。これで1回。反対側でもリピート。
5.パイクプランクウォーク
このエクササイズも、体幹を上手く使えば上半身が鍛えやすくなることを示す良い例。腹筋、肩、脚を使わないと体が左右に倒れてしまう。
HOW-TO:プランクのポジションをとり、左の前腕の上に右の前腕を置く。腰を左右に揺らすことなく、右の前腕を左の前腕の下に持ってきて、左の前腕を右の前腕の下に持ってくる。これを繰り返し、お尻をできるだけ天井に近づける。今度は左右の前腕を交互に前に出しながらマットの先端に持ってきて、スタートポジションに戻る。
6.ローデッド・ビースト
これはヒザを浮かせたチャイルドポーズ。お尻をかかとにつける際、腰を安定させるために体幹が使われる。
HOW-TO:ヨガマットの上でハイプランクのポジションをとり、手首を肩の真下に置く。ヒザを床から10cmほど浮かせたまま、お尻をかかとに押し付ける。頭を手から遠く離すイメージでストレッチを深くしよう。ハイプランクのポジションに戻って1回。
7.ショルダーサークル
このエクササイズは肩の可動域を広くして、重たい買い物袋を持ったり、ドアを開けたりといった動作に必要な関節を強くする。ワークアウト前のダイナミックストレッチにもなるし、肩こりをほぐすのにも効果的。
HOW-TO:腕を天井に向かって伸ばし、肩幅に開く。腕を前に回したら、横から再び頭上に戻す。これで1回。
8.逆手のショルダー・リトラクション
ダンベルを逆手で持てば、二頭筋を始めとする腕の筋肉が鍛えられる。
HOW-TO:それぞれの手にダンベルを持ち、手のひらを上に向け、ヒジを90度に曲げる。肩甲骨を寄せ、ヒジの角度を90度にキープしたまま、腕を左右に開いて前腕を床と平行にする。腕をスタートポジションに戻して1回。
9.ハンドル
“ドライバー”としても知られるハンドルエクササイズは、肩の前面の筋肉を鍛えながら可動域を広くするので、こりがほぐれる。
HOW-TO:足を腰幅に開いて立ち、両手で1本のダンベルを持つ。左右の手のひらは向かい合わせて、腕を前に伸ばす。ハンドルを切るように、ダンベルを左右交互に6~12回傾ける。
10.フロント・トゥ・サイド・ショルダーレイズ
流れるような動きの中で、三角筋の前面と側面を鍛えるエクササイズ。腕は終始できるだけ伸ばしておこう。
HOW-TO:足を肩幅に開いて立つ。それぞれの手にダンベルを持ち、手のひらを下に向ける。胴体を固定してヒジを伸ばしたまま、ダンベルを体の前で胸の高さに持ち上げる。ダンベルを下ろしたら、今度は体の横で持ち上げ、腕を床と平行にする。ヒジは少し曲げておこう。ダンベルを下ろし、スタートポジションに戻って1回。
11.スタンディング・ウォールストレッチ
このストレッチは肩こりに最適。1日中パソコンの前で背中を丸めている人には特にオススメ。腕を高く上げすぎないようにして、肩のインピンジメント症候群のリスクを減らそう。
HOW-TO:壁から50cmほど離れて立ち、足を肩幅に開く。壁に手をつき、胸を床に近づけながら、上体を股関節から前に倒して、お尻を後ろに引く。この状態を最低でも3呼吸分キープして、しっかり肩を伸ばしてからスタートポジションに戻る。
この記事は、スポーツ医学スペシャリストで『Prevention』医療審査委員会メンバーのエリザべス・バルチ医学博士の審査を2019年6月17日に受けています。
※この記事は、アメリカ版『Prevention』から翻訳されました。
Text: Tiffany Ayuda Translation: Ai Igamoto