モデルとして活躍の幅を広げる一方、在学中の大学では持続可能な未来を実現させるリーダーを育てることを目的に設立された学科に所属。さらにSNSを使って環境課題に関する自身の考えや、ヴィーガンの食情報を発信する静華ジャズミンさん。2歳から16歳まで続けた水泳は、選手として国際大会に出場する実力を持ち、オリンピックを目指していたこともあるという。現在は仕事と勉学の隙間時間を見つけては、ヨガやランニングなどの運動と瞑想をしているという彼女の習慣について聞いた。
心と体、ケアのバランスも大事
水泳選手時代は、毎日休みなくハードな練習をこなしていたジャズミンさん。「吐いたらプールから上がっていい」という指導を受けながら、いわゆる“スポ根”生活を送っていた。
「練習した分、結果がついてくる水泳は辛くても好きでした。毎日クタクタでしたが、唯一リラックスできる時間だったのがヨガ。体の柔軟性を上げたり、マインドをクリアにして目標を定めたりするために、毎週木曜の朝に行うヨガが水泳の練習に組み込まれていたんです。呼吸に集中して、今この空間にいる体を感じると、厳しい練習で蓄積された疲労や悩みもスッと消えていく感覚がありましたね」
水泳選手としての実力がありながら、モデルに方向転換したのは高校生の時。現在所属するモデル事務所にスカウトされたことがきっかけに。
「はじめはモデルをすることに良いイメージを持っていませんでした。それまで鍛錬と努力の積み重ねで結果が得られる水泳を続けてきたので、見た目を磨く華やかなモデルは自分には合わないと思って。でも友人に勧められるうちに、少しずつ興味が出てきて、母に相談したら『やりたければやってみたら?』と。自分が決めつけていたイメージが本当か確かめる意味でもモデルになろう、と気持ちが固まりました」
仕事を続けていく中で、モデル業に抱いていた印象も徐々に変わっていき、「変わりやすい体型を維持するのに伴う苦労は、水泳の練習と似ている」と感じたジャズミンさん。好きな運動を継続することで、モデル業にも良い影響が生まれるかもしれないと、ランニングやHIITを日々行なっている。
彼女が運動するのは、体型維持のためだけではない。生理痛の時は念入りにヨガをしたり、気持ちがモヤモヤするときは走ったり、運動を通して心をケアすることも心がけている。近頃は「ヘッドスペース」というアプリを使った瞑想も習慣になったとか。
「瞑想で心を整えておくとランニングやヨガのパフォーマンスも上がります。体と心が繋がっていることを実感しましたね。相乗効果を得られるスポーツと瞑想、どちらもバランスよく続けたいです」
(ブラトップ ¥6,050 レギンス ¥6,490/ともにエミヨガ ほか本人私物)
行動を起こすコミュニティ
ジャズミンさんは、東京都内の大学に在籍しながら、家族とともに長野県に拠点を置きオンラインで授業を受けている。専攻しているSDGsについて学習し、それらをどう人に伝えられるかを日々考えているそう。
「SDGsに興味を持ったのは、長野での暮らしが大きく影響していると思います。以前は環境問題に対する危機感はあったものの、どこか自分ごとにできなくて。でも自然に囲まれた長野では、急な寒暖差でやまねが大量に死んでしまったり、昨年は全然降雪しなかったり、そうした変化が日々目の前で起きています。今すぐやらないと取り返しがつかないことになる、と実感したことで、まずは“知る”というアクションに繋がっていきました」
今回の海辺での撮影時、「ゴミを拾いませんか?」とその場にいた全員に声をかけたジャズミンさん。
「父がランニング中にゴミを拾う姿を幼い頃から見ていたので、私の中ではそれが習慣になっています。自分がいいと思っている習慣は人に伝えたくなるし、一緒にやりたくなります。長野県富士見町にある『森のオフィス』というコワーキングスペースによく行くんですが、そこに集まる人たちは自然が好きで、自分たちのエコな取り組みを話すのが日常。そうした会話の中で、アイデアを交換し、お互いにやっていることを認め合うと、自分の行動にも自信が持てますね」
服選びでもワンアクション
ホワイトのブラトップにオーバーオールを爽やかに着こなしたジャズミンさんのコーディネート。カジュアルなアイテムを多く用いながらも、頭に巻いたスカーフがアクセントになり大人っぽさを演出している。
水質汚染やCO2排出など、環境に大きなインパクトを与えるファッション。ジャズミンさんが衣類を買う際は、長く使えるデザインと仕立ての良さを備えているか、そのブランドがSDGsにどう取り組んでいるかを徹底的にリサーチするそう。
「サステナビリティがこれだけ注目を集めたことで、あたかも環境に配慮しているかのように見せかけたグリーンウォッシングをしている会社も多く見られるようになりました。若い世代には本気で地球環境を守ろうとアクションを起こしている人が多く、建前だけのブランドは支持されない。私たちの消費行動はゼロにはできないからこそ、透明性を持った企業やブランドが長く続いていってほしいし、そうなるように選択していきたいです」
(ブラトップ ¥6,930/ Linda Works ほか本人私物)
バッグの中から“脱プラ”
ジャズミンさんのバッグの中身は、水筒やシリコンバッグなど繰り返し使えるものばかり。自身の生活から“脱プラスチック”を実践しているそう。
「2016年に日本で消費されたペットボトルが230億本という数字を見て驚きました。コンビニや自動販売機もそこら中にあって気軽にペットボトル飲料を変えるのは便利だけど、その分ゴミの量も増える。2000年に制定された循環型社会形成推進基本法では、3R(リデュース、リユース、リサイクル)の優先順位が明文化されいて、一番大事なのはまずゴミの発生量を減らしていくことだそう。それを知ってからは、水筒を持ち歩いたり、個包装されたおやつは買わないようにしたり、できるところから変えていきました」
ナッツ類のおやつを入れているのは、「スタッシャー」のシリコンバッグ(写真右)。「色やサイズ展開が豊富、簡単に洗えるので、食材を入れたりメイクポーチにしたりさまざまなシーンで重宝する」とジャズミンさんのお気に入り。ボディはステンレス、蓋は竹素材のウォーターボトル(写真中央)はドイツのサステナブルブランド「GOTBAG.」のもの。バックパックをメインに展開するブランドで、海洋廃棄プラスチックをリサイクルしたポリエステル生地で商品を作り、ゴミの再利用・削減に取り組んでいる。コーヒーショップに行くときは、「ストージョ」のシリコン製タンブラー(写真左)を持ち歩くそう。軽量で折り畳めるので、バッグの中でかさばらない。エコな商品は今やたくさん手に入るけれど、自分のライフスタイルに合った機能やデザインを吟味して選ぶことが長く使う秘訣のようだ。
(すべて本人私物)
Photo: E-WAX Text: Sawako Motegi
タレント・アスリートインタビュー・スポーツファッション・ウェルネス記事などを担当。女性誌FRaUでファッション・スポーツ・ダイエットなどの編集キャリアを積み、その後スポーツライフスタイルマガジンonyourmarkのプロデューサーとして在籍後、2022年までウィメンズヘルス編集部に在籍。