運動は色々なものを回してくれて、自分が変わっていく。それが楽しい

3歳の頃から水泳を習い、高校、大学時代にはチアリーディング部に所属していたという中村アンさんの人生には、いつもスポーツがあった。大学時代にはジェシカ・アルバのような小麦肌のヘルシーな美しさに憧れたものの、当時、日本のモデルの世界でその価値観は理解されなかったという。

「オーディションで、どんな人になりたいかと聞かれて、『ヘルシーな人になりたい』と答えたら、ヘルシーな人ってなに?と、説明を求められるくらい、健康的な美しさは支持されず、モデルは背が高くて細いことが求められていました。私は身長もあまり高くないし、食事を我慢して痩せている自分の体がそんなに好きじゃなかった。人と並んだ時に胸を張れませんでした」

大学を卒業してチアから離れ、自己流でジムに通ったり走ったりしていたアンさんが、クロスフィットに出合ったのが27歳の時。

「このフィットネスで、自分は変われるかもしれない、と感じました。40分間すごく集中するので、終わった後は頭もスッキリして、メンタル的にもいいことばかり。フィットネスは痩せるだけじゃなくていろんないいことがあるんだよ! ということをみんなに知ってほしくて、SNSでトレーニングのことを発信し始めました」

今では当たり前になったブラトップとレギンスのスタイルも、当時日本ではまだ珍しかった。アンさんも、最初は抵抗があったという。

「ショートパンツとレギンスの重ね着スタイルが嫌だったけれど、レギンスとブラトップだけのスタイルは、体が整っていないとかっこよく着こなせないと気づきました。それで、負けず嫌いなので(笑)外国人の女性たちが着こなせているのに、なんで自分はできないんだろう、とスイッチが入って、トレーニングにのめり込んでいきました」

そんなアンさんの持論は「仕事でもトレーニングでも、きついことは必ず力になって、変われる」というもの。

「よくストイックだね、って言われますが、好きだからトレーニングしているだけなんです。自分が変わっていくから、変化が楽しい。今は、いつでもどんな仕事が来ても対応できるように、というモチベーションで緩やかにトレーニングをしています。自分の頑張りは裏切らないから、スポーツやトレーニングは好きです。誰かにお任せするエステのようなものもいいけれど、自分で苦労していないと得るものが少ない気がします」

中村アン
Akira Yamada


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代になり、目指したいのは姿勢が美しく、しなやかで女性らしい体

ここ数年は、つきすぎている筋肉をほぐして、しなやかにするようにピラティスなどを取り入れているというアンさん。

「チアリーディングで私は人を持ち上げて支える側だったので、太ももにかなり筋肉がついていたんです。それを削ぎ落とすようなメニューを作ってもらっています。以前はパーンと健康的なイメージがいいと思っていましたが、今は女性らしくしなやかな体に憧れます。そのためにも、大切だと思うのが姿勢。いつでも美しい姿勢でいられるように、バレエも習ってみたいです」

最近ではドラマ出演が続いており、ジムに通う時間を捻出するのも一苦労。そんな時、アンさんが心がけているのが、歩くこと。

「食事の後は歩いて帰ったり、休みの日もとにかく歩いています。走ることも好きなので、景色を見たり考え事をしたりしながら走っています。海外に行った時にはホテルのジムでタバタ式トレーニングをすることもあります。ブラトップとレギンスも、着ると体形がわかるので、確認のために着るようにしています」

アンさんが憧れる女性像は、ナチュラルで佇まいが美しい人、そういう女性たちは概して、とても行動的で運動にも取り組んでいるという。アンさん自身も、この先もフィットネスを続け、その素晴らしさを自ら体現し、発信していきたいと語る。

努力は裏切らない。運動をすれば、自分をもっと好きになれるし、変われる。そんなアンさんのメッセージがより多くの女性たちに届くことで、ポジティブに人生を変えていく人が増えていくはずだ。