流行りのネイルをするのが好きな人も、ナチュラルな自爪を好む人も、爪のお手入れはセルフケアに欠かせないこと。でも、爪が剥がれたときはどうしてる? 原因を心配したほうがいいの?

皮膚科クリニック「Modern Dermatology」の共同創設者であり院長のディーン・マーズ・ロビンソン医学博士いわく、「爪が剥がれる」とは、爪が脆く弱くなり、爪の先端が割れたり剥がれている状態のことを指すという。「通常は爪の先端から根本に向かって縦に割れたり、ケラチンで構成される爪の層が分かれたりします。これを一般的に、“爪が剥がれる”と呼んでいます」

遠隔医療プラットフォーム「PSOTelehealth」の創設者で乾癬を専門とする皮膚科専門医のファラナク・カマンガー医学博士が言うには、爪が剥がれると、爪甲(ネイルプレート)が分かれて爪の表面が凸凹になってしまうことも。「爪が脆くなると、爪の先端部分(または中心から離れた部分)が割れたり欠けたりすることがあります。加齢や手の洗い過ぎにより、爪甲縦裂症といって、爪に縦線が現れることもあるでしょう」

また、爪床に亀裂や白い線が入っていたり、爪の乾燥や薄さ、敏感さ、表面のざらつきに気付く場合もあると話すのは、美容皮膚科クリニック「Cheung Aesetics and Wellness」の創設者で皮膚科医のジェシー・チャン医学博士。

でも、どうしてこんなことが起きるのだろう? そこで今回は、爪が剥がれるもっとも一般的な9つの原因とその治療法、予防法について、医師たちが詳しく説明してくれた。アメリカ版ウィメンズへルスから詳しくみていこう。

爪が剥がれてしまう原因とは?

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1. 栄養不足

信じられないかもしれないが、ロビンソン医師いわく、爪は体内で起きている多くのことを教えてくれる。「爪が脆くなったり剥がれてしまう一般的な原因は、鉄欠乏性貧血です。疲労感など、その他の症状を伴う場合は、病院で血液検査を受けてください」。さらにカマンガー医学博士によれば、爪の成長にはさまざまなビタミンが必要で、ビオチン、亜鉛、ビタミンD、タンパク質が不足すると爪の剥離を引き起こすことがある。

2.  頻繁にマニキュアを塗っている

「マニキュアを塗り、繰り返し爪にダメージを与えていると、塗ったり除去したりする過程で爪が弱くなるため、悪循環につながる可能性があります」とチャン医学博士。具体的に言うと、爪を水や除光液などの化学物質にさらすことは、爪の油分や水分を奪うので爪の健康を損ない、爪が剥がれたり割れたりするとロビンソン医学博士は説明する。また、脆い爪を隠すためにさらにネイルポリッシュやジェルネイル、アクリルネイルに依存するかもしれないけれど、これでは爪の油分と水分がもっと奪われてしまい、爪が乾燥し、脆く割れたり剥がれやすくなってしまうそう。

3.  真菌感染症

「爪真菌症とは、爪が厚くなったり変色を起こす真菌感染症で、爪の先端から根本に向かって広がります」とロビンソン医学博士。真菌は爪の中のケラチンを栄養源とするため、爪が剥がれて分離することがある。早期発見できれば外用抗真菌薬や内服薬で治療が可能なので、爪が白色、黄色、茶色がかった色に変色していることに気づいたら、できるだけ早く医師の診察を受ける必要がある。

4.  年を重ねている

加齢は避けられないが、カマンガー医学博士いわく、加齢が原因で爪が剥がれることがあり、くすんだり脆くなりやすい。爪の成長は年齢を重ねるごとに遅くなり、爪を水や刺激の強い石鹸、化学物質にさらしていればさらに剥がれやすくなることが研究でわかっている。

5.  刺激が強い化学物質にさらされている

チャン医学博士いわく、爪の剥がれはアセトンや刺激の強い石鹸、消毒液、洗浄剤、洗濯洗剤など、刺激の強い化学物質を使用している人によく見られるという。なぜなら、これらの化学物質は爪を保護する天然の油分を奪ってしまうから。爪の潤いを保持して爪が剥がれないようにするには、洗浄する際に手袋を使用し、低刺激性の優しい石鹸を選ぶようにカマンガー医学博士は勧めている。

6.  薬を服用している

チャン医学博士によると、アキュテインや化学療法剤などの特定の薬は、爪を乾燥させ脆くする原因になる。「アキュテインは天然の油分を減らして皮膚や爪を乾燥させ、化学療法薬は急速に成長する細胞に直接毒性をもたらすので、抜け毛や爪の脆弱化につながることがあります」。薬を飲み続ける必要はあるかもしれないが、代替薬がある可能性もある。気になる症状があるときは医師に相談してみよう。

7.  皮膚疾患がある

爪が剥がれるのは、乾癬や扁平苔癬、湿疹、脱毛症などの皮膚疾患の兆候でもあるとか。発疹が出るなど、他に症状を伴う場合や、皮膚の異変に気づいた場合は、正確な診断を受けて適切な治療を進めるために医師の診察を受ける必要がある。

8.  手を頻繁に濡らしている

カマンガー医学博士によると、繰り返し手を洗ったり、手を濡らしたり乾燥させたりしていると爪が剥がれることがある。ピンとこないかもしれないが、手を水に濡らすということは、皮膚や爪の水分と天然の油分が奪われるため、爪が乾燥し脆くなってしまうのです」とチャン医学博士。これは、皮膚や爪が乾燥しやすい冬の時期にとくに多いとロビンソン医学博士は補足している。

9.  甲状腺疾患がある

カマンガー医学博士いわく、甲状腺機能低下症(甲状腺ホルモンが十分に分泌されない状態)を含む甲状腺疾患は、爪が乾燥して剥がれやすくなるそう。それはどうして?  科学ジャーナル『Frontiers in Endocrinology』誌に掲載された最新の研究によると、甲状腺疾患は皮膚や爪のターンオーバーに影響を及ぼし、爪の成長を遅らせるため、古い爪が長く残って脆くなってしまうみたい。

剥がれた爪の家庭療法

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1. 爪の保湿を保つ

カマンガー医学博士いわく、保湿クリームやオイルを爪や甘皮に定期的に塗ることで、爪が乾燥したり脆くなるのを予防できる。カマンガー医学博士のお勧めは、オリーブオイル、ココナッツオイル、アクアフォー。さらに潤いを閉じ込めるには、手に綿の手袋や靴下をはめて寝るようにロビンソン医学博士は勧めている。

2.  刺激の強い化学物質を避ける

カマンガー医学博士によると、洗剤や洗浄剤など、刺激の強い化学物質は爪を弱くするため、使用を制限するべき。家事や仕事などで爪が水や化学物質に長時間晒らされる際は、手袋を着用することを勧めている。

3.  ネイルストレングスナー(爪の強化剤)を塗る

カマンガー医学博士いわく、爪が必要とするケラチン、カルシウム、ビタミンなどの成分を含むネイルストレングスナーやネイルハードナーを爪に塗るといいそう。

4.  バランスのとれた食事を心がける

ビタミンやミネラルが不足すると爪のトラブルにつながるため、適切なビタミンとミネラルを維持するにはバランスのとれた食事を摂ることが大事。カマンガー医学博士いわく、ビオチン、鉄、亜鉛、ビタミンEが豊富な食品は、爪の健康にとくに有益だという。卵やナッツ、野菜、サツマイモ、レンズ豆、豆腐、エンドウ豆などがオススメ。

5.  マニキュアをお休みする

お休みしたくないかもしれないが、チャン医学博士によるとマニキュアを塗らない期間を作ることで爪は強くなる。「剥がれている爪を隠すためにマニキュアを塗るという悪循環に陥っているなら、今すぐマニキュアをお休みすることです」。代わりに、家でネイルストレングスナーを爪に塗り、爪を無理に剥がすことだけはしないように。

爪が剥がれないようにするには?

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爪の剥がれは必ずしも避けられるものではないが、カマンガー医学博士が言うには、高タンパク質の食事とコラーゲンを摂ることが予防に役立つ。鶏肉、魚、七面鳥、豆腐、牛骨スープ、緑の葉物野菜、ナッツ、柑橘類で栄養を補給することもできるけれど、コラーゲンペプチドや、コラーゲングミリングなどのサプリを摂るのも効果的。

そして、手を洗うたびに保湿をするのがベスト。

最後に、マニキュアを落とすために長時間爪を液体に浸したり擦ったりしなければならないジェルネイルやパウダーネイルを避けることも予防の鍵になるとロビンソン医学博士は言う。マニキュアは、剥がれた爪を隠すのにいいと考えるかもしれないが、実際にはダメージを悪化させ、さらなる炎症を引き起こしてしまうそう。爪は短く保ち、家でネイルストレングスナーを塗ってみて。

爪が剥がれて病院に行く必要があるケースとは?

基本的に爪が剥がれても心配する必要はないけれど、ロビンソン医学博士いわく、髪や皮膚、爪の異変に気づいた場合はすぐに皮膚科医に相談すること。そこから原因を診断し、真菌感染症、鉄欠乏性貧血、甲状腺疾患などの基礎疾患と相関があるかどうかを特定できるから。

また、爪が黄色や緑色に変色したり、赤み、腫れ、痛みが現れたり、爪が厚くなるなどの変化に気づいた場合は、炎症や感染症の兆候である可能性があるため、できるだけ早く病院を受診するのがベスト。
 
※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: ANDI BREITOWICH Translation : Yukie Kawabata

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Andi Breitowich

Andi Breitowich is a Chicago-based writer and graduate student at Northwestern Medill. She’s a mass consumer of social media and cares about women’s rights, holistic wellness, and non-stigmatizing reproductive care. As a former collegiate pole vaulter, she has a love for all things fitness and is currently obsessed with Peloton Tread workouts and hot yoga.  

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川畑 幸絵
翻訳者

短大卒業後バンクーバー、メルボルンで2年留学した後、外資系客室乗務員として勤務。2018年に退職後、翻訳者としてフリーランスに転身。アメリカで統合栄養学を学んだ経験もあり。