カーダシアン&ジェンナー家の一員で、2023年11月に夫のトラヴィス・バーカーとの間に4人目の子どもを出産したばかりのコートニー・カーダシアン。子どもたちとの日常生活をたびたび自身のSNSでシェアしているが、先日“あること”を投稿して物議を醸している。

その投稿とは、コートニーが笑顔で親指を立てている自撮り写真。画像には、くしゃみをしている顔の絵文字とともに「体調がよくないから、自分の母乳をコップ一杯飲んだ」と書かれていたのだ。彼女の投稿を目にした人のなかには、この内容に疑問を抱いた人も。

kourtney kardashian breastmilk immunity
Kourtney Kardashian / Instagram
コートニーのSNSの画像、2024年4月10日(現地時間)の投稿より



本来母乳は赤ちゃんにあげるもの

米国小児科学会(AAP)によれば、母乳は本来、赤ちゃんに栄養を与えるためのものだが、人生の発達段階において子どもの健康をサポートするのにも役立つそう。

ジョンズ・ホプキンス健康安全保障センターの上級研究員で医学博士のアメッシュ・アダルジャ氏は、「人間の母乳には、(新生児の)免疫系を刺激するさまざまな物質が含まれており、そのひとつが抗体です」と説明する。

AAPによると、母乳にはラクトフェリンやインターロイキン(IL)-6、-8、-10も含まれており、これらのタンパク質は、免疫系が細菌やウイルスなどの脅威と接触したときに起こる炎症反応を緩和するのに役立つとのこと。

抗体は感染症と闘うのに役立つため、疲れたときに母乳を飲むとパワーアップするというのは、“理論上は”理にかなっている。

young mother breastfeeds her baby, holding him in her arms and smiling from happiness
Tatyana Tomsickova Photography//Getty Images

母乳を飲むと免疫力が高まる?

自身の母乳を飲むことで感染症のリスクを下げ、軽い病気を防ぐことができるという研究結果はいくつかあるものの、これは研究の信頼性を高めるために用いられるゴールドスタンダード(最も標準的とされる手法)と言われる「プラセボ対照」や「二重盲検」などの手法を用いた「査読付き」の研究で示されたものではない。また、母乳を皮膚に擦り込むように塗布することで、湿疹や皮膚炎といった症状の緩和を手助けするという研究結果もあるが、コートニーはそのような使い方をしているわけではなさそう。

母乳は大部分が水分でできており、体調が悪いときにしっかりと水分補給をすることは大切だが、母乳が大人の病気を防ぐことを裏づけるデータはほとんどない。アダルジャ氏は「成熟した免疫系を持つ成人に、母乳に含まれる物質がどのような効果をもたらすかは不明です」と説明している。

ニューヨーク州立大学バッファロー校の教授で、感染症の専門家でもある医学博士のトーマス・ルッソ氏も、「授乳中の母親が自分の母乳を飲んだとしても、すでに抗体を持っているため、その効果は限定的もしくはごくわずかでしょう。そのため、母親にとって有益であるとは思えません」と語っている。

大人が母乳を飲んでも大丈夫?

大人が自分自身の母乳を飲むことは、この行為自体への賛否があったとしても、健康上のリスクはないようだ。しかし、母乳は体液なので、他の人のものは飲むべきではない。

その理由として、母乳には細菌が含まれている可能性があり、サイトメガロウイルスやHIV、B型肝炎やC型肝炎、梅毒などの感染症にかかる危険性もあるからだ。「他人の母乳を飲めば、多少の抗体は得られるかもしれませんが、感染症にかかるリスクもあります」とルッソ氏。

コートニーが母乳のおかげで回復に向かったのかは定かではないが、自分の母乳を飲むぶんには問題はないようだ。

※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

From Women's Health US

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Korin Miller
Korin Miller is a freelance writer specializing in general wellness, sexual health and relationships, and lifestyle trends, with work appearing in Men’s Health, Women’s Health, Self, Glamour, and more. She has a master’s degree from American University, lives by the beach, and hopes to own a teacup pig and taco truck one day.
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大学卒業後、広告代理店や出版社での勤務を経て渡英。現地のメディア関連会社で勤務した後、アフリカ6カ国を陸路で縦断。帰国後はデザイン/カルチャー雑誌『+81』の編集部に所属し、出産を機にフリーへ転身。一男一女を育てながら、ファッション、デザイン、アート、旅行などの分野で翻訳、執筆を行っている。愛知県東海市出身。