数週間せき込んでいるけれど、「そのうち治るだろう」と放置していない? でも実はせきが続く一般的な期間は、3週間だとか。そこで意外と知らないせきの基本や、アレルギー性のせき、風邪から出るせきの症状の違いをアメリカ版ウィメンズヘルスがわかりやすく解説。
どうして人はせきをするの?
米マサチューセッツ耳鼻咽喉科クリニックの耳鼻咽喉科医、モニカ・リー医学博士によると、「せきが出るのは体を助けるため」。せきをすることで、危険とみなされるものを気道から吐き出すような仕組みになっている。
危険と見なされるものには、喉に引っかかった食べ物のかけらや花粉から、大気汚染物質、喉の腫れや過剰な粘液まで実にさまざまで、これらが脳や脊髄などの中枢神経に興奮を伝える気道の「知覚線維」を刺激すると、せきが出るそう。
せきをするたびに起きる体内の反応はかなりややこしいと、リー博士。それをわかりやすく説明すると、まず、声帯が一時的に閉じて肺に圧力を加える。圧力が十分に蓄積されると、声帯が再び開き、空気が一気に喉頭を駆け抜けるため、せきのような音が出るという。
アレルギーでせきが出ることもあるの?
端的に言えば、答えはYES。アレルギーでは、痰(たん)を絡まない乾いたせきが出るのが一般的。アレルギーをはじめとする体に合わない物質が気道を通過すると、このようにダイレクトに反応を起こすそう。この場合には、目のかゆみ、涙目、鼻水、喉のかゆみ、くしゃみなどせき以外の症状も一緒に出る可能性が高いとか。米国のアレルギー・ぜんそく・免疫学会によると、アレルギーは、頭痛や息切れを伴うことも多いそう。
タイミングも要素の一つ。例えば、花粉アレルギーや猫アレルギーの人は、アレルゲンに接触してすぐ、または1時間以内に症状を自覚することが一般的。この症状は、アレルゲンが体から遠ざかった後も数時間続くことがある。
アレルギーによるせきには基本的に何かしらのパターンがあるので、医師はそれをまず見いだす。例えば、決まって3月になるとせきが出るのは、アレルギーの可能性が高い。米クリーブランド・クリニックの耳鼻咽喉科医、ポール・ブライソン医学博士も、「症状の全体像を見る必要がある」と語る。
アレルギー性のせきを防ぐには、市販の抗ヒスタミン剤が一番。また、鼻腔(びくう)用ステロイドスプレーや、注射による免疫療法は症状を和らげるだけでなく、アレルゲンに対する反応を調節してくれるそう。
風邪を引いていることで出るせきの症状とは?
アレルギー性のせきには痰(たん)が絡まないのに対し、風邪、またはインフルエンザによるせきには痰(たん)が絡む。この"痰(たん)"こそが、体外へと追いやりたい粘液。
通常、風邪によるせきには鼻詰まりや鼻水が喉の奥へ流れ落ちてしまう「後鼻漏(こうびろう)」が伴い、喉の痛みや胸の不快感をもたらすこともある。微熱も、そのせきがアレルギーではなく風邪であることを示すサイン。ブライソン博士いわく、アレルギーとは異なり、風邪の症状は数日かけて出てくるそう。
鼻詰まりには、文字通り「鼻詰まり薬」が効果的。せき自体を和らげるには、デキストロメトルファンなどの成分が有効だそう。どの商品も使用方法に従って服用しよう。
でも、痰(たん)を絡むせきが必ずしも風邪とは限らないのと同じく、乾いたせきが必ずしもアレルギーとは限らないのが難しいところ。例えばアレルギーが鼻を襲い、痰(たん)を絡むせきを引き起こすこともあれば、軽い風邪では鼻詰まりも痰(たん)もないという可能性も、なきにしもあらず。心配なら、医師にかかるのが確実。
せきはどれくらい続いたら心配するべき?
その原因が何であれ、せきの症状があまりにも長引いたときは、注意を払おう。米国立医学図書館によると、風邪は通常2~3週間続くもの。まれに8週間続くこともあるけれど、およそ3週間以内でなくなるべきだと考えるのが賢明。アレルギー性のせきに関しては、治療の有無および治療方法によってせきが出続ける期間は異なるそう。
でも、アレルギー症状が最初に出てから2カ月たってもせきが治まらないようなら、医師に相談したほうがいい。ブライソン博士によれば、自分では気付いていないアレルギーがある可能性もあるとか。特に息切れを伴う場合は、ぜんそく、胃酸の逆流、肺炎、気管支炎などの問題を抱えていることも考えられるそう。
アレルギーや厄介な風邪のせいで生活に支障が出ている場合は、病院へ行くのを先延ばしにしないこと。医師に話せばホッとするのもそうだけれど、きっと回復も早まるはず。
※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。
Text: Cassie Shortsleeve Translation: Ai Igamoto Photo: Getty Images