「良質タンパク質を選ぶには、アミノ酸バランスが良いものを選ぶこと、脂質の少ない部位や加工が少ないものを選ぶ必要があります」と、浅野さんは言う。
「タンパク質は20種類のアミノ酸で構成されています。このうち11種類は体内で合成できますが、9種類は体内で作れないため“必須アミノ酸”と呼ばれ、食事からの摂取が必要です。
アミノ酸は一番少ないアミノ酸に合わせて働く性質があるため、9種類のアミノ酸がバランスよく入っていることが大切です。これが、アミノ酸バランスと言われているものです」。しかし、アミノ酸バランスを考えながら食材を選ぶのはなかなか面倒にも感じる。
浅野さんはこうアドバイスする。「タンパク質はいろいろな食材に入っていますが、バランスが良いのは肉や魚、卵、大豆製品などです。さらに肉や魚、卵の“動物性タンパク質”、大豆などの“植物性タンパク質”など、タンパク質の種類を意識しましょう。
肉を積極的に食べることで『エネルギーの摂りすぎになるでのは?』と及び腰になるかもしれませんが、これはどの部位を選ぶかによってかなり差が出てきます。例えば、牛ヒレ肉を選ぶと100グラムあたりタンパク質は20.5グラムで脂質は4.8グラムですが、脂身の多いバラ肉はタンパク質14.4グラムで脂質32.9グラム。脂質は約7倍になります。この他に加工が加われば、タンパク質が減って脂質が増える傾向があります。タンパク質は、どんな食材で食べるかも重要なのです。
またタンパク質は、栄養素の中で“食事誘導性熱産生”が一番高いということもわかっています。これは、消化や吸収をする際に熱を生み出す体の仕組み。タンパク質を食べることで、効率的にエネルギーも使っているんです」
そして、三食とおやつにタンパク質の食材を分散するのは、それほど苦ではないと浅野さん。
「一日の必要量を一食で摂るのは大変です。ですが、例えば朝食にサケなどの焼き魚、昼に刺身定食、夜にステーキなどを選べば簡単に摂れます。卵もアミノ酸バランスがとても良いので、ゆで卵や卵サンドなどをチョイスするのも良いですね。また、一日のどこかでご飯に納豆、大豆の入ったサラダを選べば、植物性タンパク質もフォローできます」
つい甘いものを買ってしまうおやつや、残業のときのスイーツもタンパク質へのチェンジ時、と浅野さんはアドバイスする。
「納豆の入ったお菓子、ゆでたうずらの卵、ゆで卵(鶏卵)、いかの燻製、チーズにナッツやビーフジャーキー……選択肢はたくさんあります。コンビニのお酒のおつまみコーナーはタンパク質の宝庫で、侮れないんですよ(笑)」。毎日買っているコーヒーをカフェラテやソイラテにするなども、“タンパク質貯金”の小さな工夫だとか。
「ただし、食事のときは加工していない肉や魚を選ぶのがポイントです。例えばハンバーグは約半分が脂身なので、100グラムのハンバーグを選んで100グラムの肉を食べたつもりでも、実際に摂っている肉は半分以下で、気づかないうちに脂質を多く摂っていることになります。
調理でプラスされていく油も意識しておきたいですね。ハンバーグよりもステーキ、ナゲットよりも普通の唐揚げ、メンチカツよりもロースカツというイメージです」