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「自分を思いやる」のは、2018年を象徴するようなトレンド。その背景にあるのがたいていの人に存在する「思考グセ」。人は、気がつかないうちにオートマティックに自己批判的な思考に陥り、自分をいたわることに罪悪感を感じがちだと心理学者は語る。けれど希望はある。心の動きや脳の働きから見えてきたのが、前向きな独り言や思考はトレーニング次第で身に着くという事実。UK版ウィメンズヘルスがポジティブメンタルヘルスアプリの開発者にして心理学者に聞いたのは、今一番知りたい「前向きな思考法」について。さあ、心のトレーニングに出かけよう!

「ネガティブな独り言」を延々と繰り返していると、気分が落ち込むだけではなく、自分に対する自信を培う能力も発揮できない。

自分には飛び越えられないようなハードルが目の前にあった時のことを思い出してみよう。上司に任された重要なプロジェクトでも、初めて出場したハーフマラソンでもいい。怖くても、絶対逃げるわけにはいかなかった彼氏との厄介な話し合いでもいい。

そのハードルを乗り越えるのを助けてくれたのは誰だった? 「やりなさい」 とあなたに怒鳴った人ではないだろう。「絶対無理だから、頑張っても意味ないよ」 ということも、誰も言わなかったのでは。

「思いやりをもって励ましてくれる人がいると、私たちはゴールに向かってもっと頑張れる」 と語るのは、ポジティブメンタルヘルスアプリ「Noodle」の開発者で、心理学者のジェサミー・ハイバード。

「思いやりは強さと優しさの表れなのに、生ぬるいと言われがち。自分を思いやるとは、“自分を支えるために何ができるかを理解する”こと」

この考え方には大賛成ではないだろうか。今までの独り言をやりなおしたい? だとしたら、ハイバードが説明する7つのコツをマスターしよう。

1.まずは現状把握から。「自分の独り言に耳を傾ける」

ハイバードによると、「人は自己批判的なことを言っている自分に、気が付かないケースが多い。自分で自分に言うことの多くは、かなり自動的に出てくるものだから」。よって、ネガティブな独り言を脱してレベルを上げる前に、現在の独り言の内容を把握する必要があるのだそう。

心の中でいまいましい独り言を言っていると気付いたら、一度立ち止まり、それに間違いがないか自分自身に聞いてみよう。

2.思考が負のスパイラルに陥りそうになったら。「証拠」を使ってストップ!

自己嫌悪を抑える上で重要なのが、“証拠”をもって思考の悪循環を断ち切ること。

ハイバードは“証拠”とそれを使った思考法について、こう説明する。
「何かが出来ないと感じたら、かなり自信がなかったけど実際には何とかなった時のこと=“証拠 ”を思い出して」。その時、何が一番心配だった? どんな行動が予想外の成功をもたらしたと思う?

うまくいったエッセンスをリスト化して、今度またマイナス思考に飲み込まれそうになった時に読み返し、自分が悪循環に陥るのを阻止しよう。

3.新たな声で自分に話しかける。イメージするのは「前向きキャラなあの人」!

今までにない言葉で自分に語りかけるのは大変だし、やたらとぎこちなく感じるのは当たり前。そんな時は、あなたに思いやりを示し、何かを成し遂げる原動力になってくれた人のことを思い出して。

ハイバードいわく、「自分の祖父母でも、人を元気づけるのが得意な職場の女性でもいい。その人たちなら今の自分に何と言うか想像してみる」 のがいいそう。

4.誰かから褒められるのを待ち続けるのは、もうやめる! 「自分の実績をきちんと評価」

「自分で自分を上出来だと認めなければ、そう言ってくれる人を常に探すハメになる」 とハイバードは忠告する。

謙遜的な日本人としては。自分を褒めるのがどうしてもイヤだと思うかもしれない。そんな時は「どんな自分になりたいか」を考えてみよう。健全な独り言で自分に自信をつける人か、取るに足らないエゴで人に認められるのを待つ人か。さあ、どっちがいい?

5.称賛された経験はすぐに忘却のかなたに。だから、「褒められたことを書き留める」

自己評価が大切だと言ったばかりではあるけど、時には人から褒められるに越したことはない。それをノートに書き留めておかなければ、脳内でガラクタとして処理されてしまう可能性が高い。

「人間の脳は、ポジティブな思考よりもネガティブな思考を先に検知するよう進化してきたので、私たちはネガティブなことばかり考えてしまう」 と、ハイバード。

6.自己批判は己を律する武器にはならない? 「自分の気持ち」に素直になろう

「自己批判的な独り言は、ゴールに向かって自分を鼓舞するのに役立つと思われている。まるで自分をいたわり始めた瞬間、自動的にだらけてしまうのを禁じる手段のようにね」 とハイバードは語る。

でも、実際にはそんなことはない。「自分にやさしくしたところで、非常にモチベーションが高い人のやる気は下がらない。自分を休ませたからといって、突然すべてを失ってゴールへの道から滑り落ちることもない」。これは仕事にもジムにも当てはまることだそう。

7.「前向きになる練習」は、脳の働きから考えても有効!?

2キログラムダンベルを使ったバイセップカールしかしたことのない人に、75キログラムのバーベルでクリーン&プレスが出来るとは思わないだろう。それと同じで、自分を心から愛するためにはある程度の努力が必要。

嬉しいことにハイバードによると、自分のポジティブな面に着目しはじめると、脳も自然とポジティブな思考に的を絞りはじめるのだとか。

「車やハンドバッグを買うことにして、色んなお店を見て回るようなもの。市場に出回る商品数が突然増えたわけではないけれど、買うことに決めているので、いつも目に付くようになる」

あなたは弱いわけでも、自分に甘いわけでもない。これからは自分の良いところに注目していこう!

※この記事は、UK版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Roisin Dervish-O'KaneTranslation: Ai Igamoto Photo: Getty Images

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Nana Fukasawa
ウィメンズヘルス・エディター

2018年に「ウィメンズへルス」編集部にジョイン。アシスタントを経て、エディターとして美容、フード、ダイエットなどの記事を担当。流行りそうなヘルシーキーワードをいち早くキャッチすることを心がけている。CBDや筋膜リリース、アーユルヴェーダ、植物療法を学ぶ、自他共に認める“セルフケア マニア”。2023年初めてのハーフマラソンに挑戦。