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「動物性タンパク質に戻るのは難しい決断だったけど、私の健康は改善された」

ある一人の女性が、8年間のベジタリアン生活を止めたきっかけと体の変化を赤裸々に告白。その内容をアメリカ版ウィメンズヘルスからご紹介

“動物が大好きだった” 私は、15歳でベジタリアンになった。ろくに調べもせずに、反抗的な親友と一緒にただそう決めた。

“動物殺戮反対” というステッカーを “ナゲットは食べない” というピンで留めて、ベッドルームをパンクな感じに造り変えた。目新しさが消えても、菜食主義は私の一部として残った。本当に動物が好きだったから。それは今でも変わらない。動物の肉を消費しないことで、工場式農場経営との戦いに微力ながら貢献しているように感じていた。

振り返ってみると、ライフスタイルをこのように変えるにあたって見逃した点がいくつかある。まず一つに、私は勉強不足だった。豆を中心に食べていればタンパク質は充分に補える、そして炭水化物はどれも同じだと思っていた。動物生産の裏事情も、動物の肉や魚を倫理的に消費する方法があることも学ばなかった。これは基本的に、調べたら出てくるであろう内容が怖かったから。さらに私は、栄養不足が体と肌に及ぼす影響についても無知だったのだ。

体が鳴らした警笛

20代の私は、突然発症した気を狂わす大人ニキビを何とかしようと、あらゆる治療法を試していた。血圧用の薬から避妊薬、ニキビ薬、数え切れないほどの高価なクリームまですべて試したのに効果は得られず、顔は赤い斑点に覆われていた。ある日、はじめて訪れた総合皮膚科医の前に座り、食習慣とライフスタイルを説明したところ、私の食事内容がニキビの根本的な原因ではという指摘を受けた。

医師は私に聞いた。「菜食主義にはどの程度愛着があるの?」

無数の病院を訪れ、クリームによる肌の乾燥や炎症を経験し、自信を失って小さくなった私には、もはやどう答えればいいか分からなかった。生活の質が向上するというのなら肉を食べますと答えるのは、偽善的なことだろうか?

診察の直後、母が放し飼いで育ったオーガニックのチキンを一枚、小さなお皿に乗せてキッチンカウンターに置いた。フォークとナイフが添えられていた。キッチンで一人うろうろする私の足の間を行ったり来たりする愛猫に愛していると告げ、チキンを食べた。一枚丸ごと、残さずに。美味しかった。

肉を食べたらニキビ問題が改善した

勉強不足で始めたベジタリアンの暮らしの中で、健康に不可欠な成分であるアミノ酸が足りていなかったことは間違いない。体が自ら生成できず、食事から補わなければならない必須アミノ酸には9種類ある。開業医でスポーツ栄養士のブランドン・メントル医師によると、動物性タンパク質はこの9種類をカバーするけれど、植物や野菜といったよりシンプルな有機体は、必ずしも全種類カバーできるとは限らない。

フルーツと果物中心だった私の食生活に、より包括的で複雑な栄養素を加えることで、溝を埋めてくれる、自分の体に合った食べ物が分かるようになってきた。菜食主義の暮らしを送るなら、充分なアミノ酸を確実に摂取するために知っておくべきことがある。

除外食を行いながら、ある程度の動物性タンパク質を摂ってみるのも効果的な方法だ。私の医師が勧める除外食とは、様々な食材を一度除外してから徐々に再導入するというもので、体が過敏に反応する食べ物を特定し、免疫システムの炎症を減らのに役立つ。どちらもニキビの一因になると言われている。

「栄養素の供給源をローテーションするのは、健康状態を改善するために最初に行うべきことの一つ」 だとメントル医師は語る。体がどの食材に反応しているかを食べながら判断するのは難しい。そこで除外食では、乳製品、卵、小麦といった一般的な過敏源を取り除き、症状を見極めながら時間をかけて再導入していく。

ヴィーガンシェフおよびヘルスコーチとして30年の経験を持つグレッチェン・ハンソンは、健康に問題を抱えているヴィーガンまたはベジタリアンの顧客には、動物性タンパク質を再び摂りはじめるよう勧めている。「鶏肉のような白肉に含まれるタンパク質はアレルギー反応を引き起こすことが少ないので、除外食でも一般的に使われている」 という。

今までは平気だった食材が、どうして健康問題の原因になり得るのか? 栄養士の中には、同じ栄養源を食べ続けると、免疫反応と炎症反応が上昇し、食物不耐性、ニキビ、そして最終的には自己免疫疾患といった健康上の問題に繋がると主張する人がいる。例えば、長期間にわたって毎日卵を食べていると、必ずとは言い切れないけれど、卵に対して敏感になる可能性があるという。いずれにせよ、食事の内容に幅を持たせるのは良いこと。エリザベス・トラットナー医師によれば、異なる動物性タンパク質 (魚、豚肉、鶏肉、卵など) を摂取することは健康的な体を作る方法の一つなんだそう。

体に合った食生活を見つける

2年半後、顔からニキビがキレイに消えた私は、自然と放し飼いで育ったオーガニックの肉を食べることを意識していた。除外食を通して、私は乳製品と酵母に対して敏感であることが分かったので、ピザを食べるのはやめ、他にも食事内容にいくつかの変更を加えた。砂糖を食べるのをやめたら変わったこともあった。

ベジタリアンに関わらず、どんな食生活に対しても反応は人それぞれ。遺伝や家系だけでなく、地理的な環境も大きく影響する。メントル医師いわく 「遺伝と家系の観点から言えば、赤道付近の紫外線の強い地域の出身者や居住者はベジタリアン食との相性がいい」

強い紫外線は、食べ物からの栄養素を補うエネルギーを供給する。「これがハズダやマサイといった赤道付近の部族が、健康問題を抱えずに野菜と炭水化物で生活できる理由」 だとメントル医師は説明する。「イヌイットやエスキモーといった紫外線の弱い環境に住み、高脂質・高タンパク質のケトン食を基盤とする部族とは正反対」

つまり、ベジタリアンならうまく食料源を多様化し、必須アミノ酸と必要な栄養素を確実に摂れるようにすること。6ヵ月から1年間にわたって菜食主義を貫いたら、髪、肌、爪の健康状態をチェックしよう。これらの組織がもろくなったり、乾燥したり、薄くなったり、欠けたり、痒かったり、赤く腫れたりしている場合、または乾癬などの肌疾患が現れている場合には、おそらく食事内容が不十分だというのがメントル医師の見解。活力レベルや消化の状態を考慮するのもいい。疲労、筋組織の喪失、消化不良を抱えているなら、栄養の摂取状況をより詳しく見てみよう。

もちろん、大局的な見方をすれば、雑食になったことだけで私の肌は改善した。確かに正しい選択だったけれど、体の変化に合わせていつか変わるかもしれない。ただ今は、健康をサポートする出来るだけ倫理的な食べ方を学べたことに感謝している。

※この記事の原文『I Started Eating Meat After 8 Years As a Vegetarian - Here’s Why』は当初『Rodale’s Organic Life』に掲載されました。

※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Larell Scardelli Translation: Ai Igamoto Photo:Getty Images