米人気テレビドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』のシャーロットは、自分の膣が“うつ”だと嘆いたことがある。でも、膣が落ち込むなんて本当? オーストラリア版ウィメンズヘルスより詳しく見ていこう。

どうやら、これは本当の話。あなたの膣にも、あなたと同じように気分のむらがあり、いつもハッピーかと思いきや、元気をなくして、すっかり落ち込むことがある。

シャーロットが嘆いていたのは、医学用語で言うところのヴルヴォディニア。ヴルヴォディニアは、米国だけでも毎年20万~600万人を苦しめる膣疾患で、痛みを伴う。産婦人科医のシェリー・ロス医学博士によると、罹患者数に幅があるのは、自分が罹患していることを知らない女性や、病院で適当にあしらわれる女性が多いから。

ヴルヴォディニアは、何の前触れもなく訪れる慢性疼痛症候群の一種で、長期にわたることもある。米プリンストン・ウィメンズ・ヘルスケアの医長で産婦人科医のマリア・ソフォクレス医学博士によると、この疾患は患者が「かなりつらい」と言うほどのヒリヒリ感、ズキズキする痛み、かゆみ、腫れなどをもたらす。

ヴルヴォディニアの明確な原因は分かっておらず、つい最近まで、これをリアルな疼痛症候群の一種として捉える医師も少なかった。「膣を調べても見た目は完全に正常であるケースが多く、診断が非常に難しい疾患です」とロス医師。「通常の検査では、膣のあちこちに綿棒で圧力をかけ、それぞれの箇所で感じる痛みの強さを患者に教えてもらいます」

ヴルヴォディニアの特効薬はないけれど、治療法は存在する。場合によっては、シャーロットと同様、低用量の抗うつ剤が処方されることもある。

「理由は分かっていませんが、抗うつ剤が効くケースもありますね」とロス医師。ヴルヴォディニアの治療に使われる抗うつ剤の用量は、実際の抑うつ障害に使われる用量よりもはるかに少ない。よって、ヴルヴォディニアの治療で抗うつ剤を使用する女性には、体重増加や性欲の減退といった副作用が見られない。ただし、指示の通りに服用を続けても、膣が元気を取り戻すまでに数カ月かかることもあるそう。

膣のうつの予防策として一番確実なのは、セックスをたくさんすること。「セックスをすれば、コラーゲンとエラスチンの細胞が元気になって、生殖器に送られる血流量も維持されます」とソフォクレス医師。

ここ最近ご無沙汰という人は、マスタベーションを試してみよう。「マスタベーションとセックストイは、膣の組織、特に加齢と共に狭く、短くなっていく膣口の組織を維持するのに役立ちます」

※この記事は当初、アメリカ版ウィメンズヘルスに掲載されました。

※この記事は、オーストラリア版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: WH Staff Translation: Ai Igamoto