世界保健機関(WHO)の専門家は、外出自粛のストレスを解消するためのアルコールは「役立たない対処方法」と警告した。むしろお酒に頼ることはストレスをさらに増幅させる可能性も。この内容をイギリス版ウィメンズヘルスからご紹介。

世界保健機関の欧州メンタルヘルス・薬物乱用部門の技術責任者であるアーイシャ・マリク博士は、不安を落ち着かせるためにアルコールを飲むことは、状況をさらに悪化すると警鐘を鳴らしている。

しかし、赤ワインを1杯飲むことが最善の策となる場合もある。赤ワインは、心臓の健康に好影響をもたらすことで知られているが、最新の研究では、赤ワインの摂取と腸内環境の改善が関連付けられている。

キングス・カレッジ・ロンドンの研究者たちは、イギリス人女性916名の被験者を対象に、ビールや炭酸酒、赤ワイン、白ワイン、ウイスキーなどのアルコール飲料が、腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)にもたらす影響について調査したところ、赤ワインを飲んでいた被験者は、他のアルコールを飲んでいた被験者に比べて、腸内細菌叢の多様性が高いことがわかった。イギリス、アメリカ、ベルギーで行われた各研究でも同様の結果が得られている。

腸内細菌叢とは、腸内に生息する微生物の生態系で、健康のあらゆる面において重要な役割を果たし、免疫や炎症、気分、メンタルヘルスなど、すべての健康状態に影響をもたらすと考えられている。

この論文の筆頭著者であるキャロライン・ルロワ医師は、次のように声明で発表した。「心臓の健康を向上させる赤ワインの効果は世間で広く知られていますが、今回の研究により、適度に赤ワインを摂取することで、腸内細菌の多様性を高め、腸内環境の健康を増進することがわかりました」

だからと言って、赤ワインを飲みすぎるのはよくないこと。上述した赤ワインの効果は、グラス1杯で十分に得られる。

「赤ワインの摂取と腸内細菌の多様性は関連していますが、この効果は2週間に1杯程度飲むだけで十分に得られるようです」と、ルロワ医師。

「今夜1杯お酒を飲むなら、赤ワインが最良の選択肢です。ですが、アルコールは適量を必ず守るようにしましょう」

イギリスの国民保健サービスによると、アルコールの摂取量は週に14ユニット(1ユニットは100%アルコールで10ml)未満に抑え、これらの量を3日以上に分けて摂取するように推奨している。

また、アルコールはメンタルヘルスへの悪影響が多いことも証明されている。コロナウイルスによる影響でストレスを抱えている人は非常に多いはず。アルコールを飲む量を増やすのではなく、健康に害がない自分にぴったりのストレス解消法を見つけてみて。

※この記事は、イギリス版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: DANIELLE ZICKL Translation: Yukie Kawabata

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