「ケトン」という言葉は今や至るところにある。インスタグラムのフィード、スーパーの棚、食品ラベル、多くの料理本。超人気のダイエットなので、自分でトライする場合、ケトンダイエットで食べてOKかどうか特定の食品を検索してみることも。そして疑問に思うことがあるかもしれない。おいしくてタンパク質が豊富な「豆類」ってケトン食なの? その答えは少し複雑のよう。一体どういうこと? アメリカ版ウィメンズヘルスより詳しく見ていこう。

まず最初に、ケトン食についてもう少し具体的に説明しよう。「ケトン食とは非常に低い炭水化物食のことです」と説明するのは、ケリ・ガンズ管理栄養士。「目標は、体の大きさに応じて、炭水化物の摂取量を1日に20~50グラムに減らすことで、体をケトーシス(糖質を利用してエネルギーが作れなくなったときに体がスイッチを入れ変えて脂質をエネルギー源として使いだす状態のこと)にすることです」ガンズ氏いわく、「全体的に、食事は主に脂肪からのカロリーで構成されることになります。これは他の食事法と比べてかなり制限的なものとなります」(実践する前に医師に相談するようにしよう)

とはいえ、おいしい豆類は、ケトン食としてどうなのだろう? 食事に取り込む方法は? こういったあらゆる問い合わせがあるのも、とりわけインターネット上に矛盾する栄養情報が大量にあふれていることを考慮すれば無理もない。その答えを栄養士の解説と共に詳しく見ていこう。

ケトン食のような低炭水化物食で豆類は食べてOK?

woman eating mediterranean soup with bread, close up
Westend61//Getty Images

初めに、豆類は実際「非常に」体によいと知っておこう。「豆類は栄養価の高い食材です」と『My Indian Table: Quick & Tasty Vegetarian Recipes』の著者である、管理栄養士のヴァンダーナ・シェス氏は話す。「食物繊維、タンパク質、ビタミン、ミネラルが豊富で、炭水化物源でもあります」(基本的に豆類は、通常のバランスのとれた食事に取り入れるには最適なアイテム)

一般的に非常に体によいとはいえ、低炭水化物食を実践している時に、日常的に豆類を食べてもOKなのだろうか? 厳密に言えばOKだが、難しいという。「低炭水化物で高脂肪のケトンダイエットに、豆類を取り入れるのは難しいかもしれません」とシェス氏。一体なぜ? 正確には、豆類を食べることはできるけれど、食事において許容された炭水化物の量のうち大部分を占めてしまうことになる。

「例えば、調理済みのひよこ豆1カップには炭水化物が35グラム含まれます」とシェス氏。炭水化物を1日50グラムまでしか摂取しないという人は、豆類を食べることでその量がすぐに増えてしまうことになる。ただ幸い、調理済みのひよこ豆1カップにはタンパク質が10.7グラム、食物繊維が9.6グラム含まれており、これらすべては栄養摂取には大きく貢献している。要は、ケトン食に豆類を取り入れたいなら、量のコントロールにかなり配慮する必要がある。

ケトン食に最適なのはどんな豆?

正直なところ、ケトン食を実践しているときは、厳密にはどんな豆類でも食べていい。けれども、もし炭水化物を一度に黒豆1カップですべて摂取するのではなく、数回の食事で分散させたいなら、以下のようにしてみよう。(ただ過度な制限はしない方がいいと知っておこう)

「ケトン食に非常に適している豆類と言えば、サヤインゲンと黒大豆です」とガンズ氏は説明する。何が特別なの? 栄養価としては大体他の豆類と同様だが、サヤインゲンと黒大豆は特に炭水化物が低い。「黒大豆半カップでは炭水化物はたった8グラムで、タンパク質が11グラム、食物繊維が7グラム、脂肪が6グラムです」とガンズ氏。ゆえに「超ケトン食フレンドリー」だと言える。

豆類に含まれる炭水化物

legumes, seeds and cereals on a dark background healthy food top view
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アメリカ農務省のデータベースによる、さまざまな豆類の炭水化物量についてもう少し情報があるので、以下を見てみよう。各栄養価は半カップを測定基準として判定されている。

・黒豆:炭水化物20グラム
・サヤインゲン:炭水化物4グラム
・黒大豆:炭水化物8グラム
・レンズ豆:炭水化物18グラム
・ひよこ豆:炭水化物25グラム
・インゲン豆:炭水化物20グラム
・ライ豆:炭水化物19グラム

豆類を代用するなら何?

豆類とケトン食について必要な情報を得たところで、低炭水化物で似たような食感の他の食品はどう毎日の食事や調理に取り入れたらいい? シェス氏による、他のオプションを見ていこう。

・キノコ類:食感がよく、味も素朴なので、豆中心の食事で代用できる物を探しているなら、刻んだマッシュルームが最適。

・ナス:「豆類の代用品として他の低炭水化物野菜を考えてみてください」とシェス氏。彼女が推奨するのは、フムスのような炭水化物を多く含むものをババガヌーシュのようなナスをベースにしたディップに変更すること。

・ピーナッツ:茹でたピーナッツは豆類。豆の代用品を探しているならぜひ試してみて。というのも「ピーナッツは低炭水化物で、豆と似た食感が得られます」と、シェス氏。

・アボカド:高脂肪で、低炭水化物な豆の代用品と言ったら、ワカモレのようなディップが風味が豊かで取り入れやすい。

・ひき肉:ベジタリアンやヴィーガンでなければ、高タンパク質で赤身のひき肉もまた、風味が豊かで食べ応えのある代用品。

まとめ:サヤインゲンや黒大豆のような低炭水化物の豆類を摂取し、その量を記録しておけば、ケトン食の一部と考えてOK。

※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: Women’s Health Editors Translation: Asami Akiyama