• ある研究により、1日11分の運動が長生きにつながることが判明した。
  • 研究者によると、11分という時間は、一般的に成人に推奨されている運動量の半分に相当するとのこと。
  • この研究では「すべての人が推奨される身体活動レベルの半分でもこなせていれば、10人に1人の早期死亡を防ぐことができた」と指摘している 。

健康増進において、運動が非常に大きな役割を果たすのはご存じのとおり。それでも、1日の限られた時間をジム通いやランニングに割くことがなかなかできない、と感じている人は少なくないだろう。しかし、「1日に11分」だけだったら……?

スポーツ医学誌『British Journal of Sports Medicine』に掲載された新たな研究によると、毎日11分の運動を行うことで、健康や長生きに大きな効果をもたらすことがわかった。

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2023年2月末に発表されたこの研究では、最低3年間の活動レベルを自己申告した世界中の3000万人以上の参加者を対象に、194の論文をメタ分析。成人の身体活動と慢性疾患及び死亡率の関係を調べた。

その結果、1日に11分間、中〜高強度の運動を行うことで、早期死亡のリスクを23%、心血管疾患(CVD)の発症リスクを17%、がんの発症リスクを7%下げることにつながることが判明したという。

研究者によれば、1日11分間(もしくは週75分間)の運動は、世界保健機関(WHO)や米国疾病予防管理センター(CDC)が定める推奨運動量(週150分以上の適度な身体活動)の半分に相当するという。「すべての人が、推奨される運動量の半分でもこなせていれば、10人に1人の早期死亡を防ぐことができたでしょう」と、その研究者は述べている。

そして最終的には研究者たちは、「毎日の何らかの身体活動を行うことは、何もしないよりは良い」と述べており、閾値(いきち)に基づく活動の推奨値をさらに下げることを提案している。

「運動に関しては、『何もしないよりは、した方がいい』という意見に心から同意します。しかし、医療界としては、このメッセージを伝えるのに十分な仕事ができていないというのが現状です。文献によると、軽度の活動でもいくつかの健康指標を改善できることが裏付けされています」と説明するのは、カリフォルニア州サンタモニカにあるプロビデンス・セント・ジョンズ・ヘルス・センターの循環器専門医であるリグヴェド・タドウォーカー医師。

「この研究では、確かなデータセットをもとに、推奨される最低限(の運動量)の半分である週75分以下の中強度の活動で効果が見られることを明らかにしました。さらに、用量反応関係を分析すると、運動不足の人は身体活動を少し増やしただけでも最大の効果が得られることが分かっています」

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しかし、タドウォーカー医師は、このメッセージをより大きなスケールで伝える必要があると指摘。「特に運動不足の患者に対して、これを強調することが重要です」「わずかな活動でも、何もしないよりは健康増進のためになるということを知ることで、自信を持つことができるはずですから」

また、一般的な運動は「心臓のコンディションを整える」ため、「安静時の血圧や心拍数を下げ、血糖値を下げ、炎症の抑制し、最終的にはそれらのメカニズムによって心血管疾患死亡率の改善へとつながります」と、カリフォルニア州にあるオレンジ・コースト・メディカル・センター心臓血管研究所の循環器専門医のジェニファー・ウォン医師が過去にも述べている。

では、毎日の運動量を増やすために手軽にできることはないのだろうか?

「もし、何から手をつけたらいいのかわからない場合は、1日30分、週5日、早歩きで歩くことを目標することを提案します」とタドウォーカー医師は提案する。「もし、それが難しいのであれば、機会のある時に5〜10分程度の散歩をすると良いと思います」

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さらに彼は、機会があれば職場のまわりを10〜15分ほど歩いたり、自宅でTVを見ながらフィットネスバイクに乗ることなども勧めつつ、こう締めくくっている。「どんな些細な運動でも、まったくしないよりはマシだということを忘れないでください」「小さな一歩から始めることで自信がつき、それがやがて自分の体に大きな効果をもたらすことにつながります」

※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。

From Prevention

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Shannen Zitz
Assistant Editor

Shannen Zitz is an Assistant Editor at Prevention, where she covers all things lifestyle, wellness, beauty, and relationships. Previously the Editorial Assistant at Prevention, she graduated from the State University of New York at Cortland with a bachelor's degree in English. If she’s not reading or writing, you can probably find her frequenting the skincare and makeup forums on Reddit or hogging the squat rack at the gym.

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 高校生時代にアメリカンカルチャーの影響を受け、大学在学時にアメリカ・シアトルにてホームステイを経験。海外ドラマに関するWEBメディアでライターを務める。海外エンタメ・セレブ、ロイヤルファミリー、ヘルス・ウェルネス記事をメインに、翻訳を担当。手話技能検定3級、世界遺産検定2級、アロマテラピー検定1級を持つ。