国内外から注目を集めるガールズバンドSCANDALのRINAさん。30歳を迎えた彼女は、いい時も悪い時も、変化する自分を受け入れて前進してきた。しなやかに生きるために、アーティストとして、また、一人の人間として、彼女は心と体をどのように整えているのだろうか。

思いきりドラムプレイが続けられる、強くしなやかな体づくり

rina スキャンダル scandal

SCANDAL結成から今年で16年。ミュージシャンとして人生の半分以上をドラムに捧げてきたRINAさん。ライブを中心に、国内はもちろん海外まで渡り、タフなパフォーマンスを披露してきた。ステージに上がるとき、RINAさんはどのように心を整えているのだろうか。

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「本番1時間前は誰も楽屋に入らないようにしてもらって、メンバーだけの空間で過ごします。それはずっとやっていますね。ステージに出る直前は、自分でも笑えるくらいピリピリしちゃうんです(笑)。ドラムの私が最初にステージにあがるんですけど、その瞬間お客さんは『わっ!』って一段階気持ちが上がる。それが、音を鳴らす前に一番ドキッとさせる瞬間だと思っていて。何も始まってないけど“やばい!”って、そういうゾクッとする瞬間を味わってもらいたい。だから、それだけの集中力や気持ちが必要だと思っています。出る前が一番体力使うかもしれない(笑)」

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「ドラムプレイは全身運動」。だから、食事は「食べたいものを食べる」がマイルール。

「ツアーやフェスが続いたりすると、代謝も上がって痩せやすくなるし、体力もかなり使うんです。でも自分にとって第一なのは、健康的にドラムを叩ける体でい続けること。だから、好きなものをしっかり食べて、気持ちから元気になるような生活を送りたいと思っています」

どんなスタイルでもその人なりのかわいさや素敵さがある」と考えていて、食事制限などのダイエットはしていない。

「目指しているのは、長くしなやかに動ける体。先生とコミュニケーションを取りながらマイペースにトレーニングがしたいと思い、以前も通っていたピラティスをリスタートしました。最近は週1、2回通うのがルーティンになっています」

体を動かすことが、自分をプラスに変えるきっかけ

ピラティスを続けるようになって、自身でも変化を感じているそう。

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「ピラティスをやると心も身体もリセットできるし、スタジオは自分をプラスに持っていける場所になっているなと思います。先生にもすごく元気をもらうんですよ。自分の体のことを話せる人がいるのは、日常的な安心材料になるし、トレーニングがドラムプレイの“お守り”にもなっていて、それが心にもすごくいいなと思います」

子育て/女性支援活動など、枠に取られず幅広く活動するRINAさんからは、芯の強さを感じるが、実は「メンタルには波があるタイプ」だという。

「めっちゃ落ち込むときもあるし、負の気持ちからどうやって抜け出したらいいか分からなくなるときもあります。そんなとき、自分をプラスに変えるきっかけをくれるのが、体を動かすこと。だけど、今はマイナスな状態の自分もお客さんに見せようと思っていて。〈良いとき〉も〈悪いとき〉もナチュラルに見せていく。もちろん限度はあると思いますが、ちゃんと“人間らしいミュージシャンでいたい”と思っています」

ヘルニアを患ったから変われたこと

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改めて「自分の体を知ることは大切だと感じている」と話すRINAさん。実は25歳のときにヘルニアを患っていたことがあるという。発症したのはドラムを初めてちょうど10年目のこと。

「経験したことのない痛みがずっと続いて、1カ月経っても治らなくて、病院も何軒も行きました。でも、疲れや坐骨神経痛と言われて……。そのうち、右のお尻の奥がしびれたり、お尻から指先までしびれが続くようになったりして、どんどんひどくなってきたんです。大きな病院の検査でヘルニアの診断を受けて、やっと楽になりました。『だからこんなに痛かったんだな。じゃあ、これをどうやって治すか考えよう』と」

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回復を目指して、さらにいくつか病院をまわり良い先生に出会うことができ、一年半、薬を飲みながらリハビリを続けることになった。

「その間はメンタルもブレブレでしたね(苦笑)。『今日のライブ、最後までできるのかな?』って不安を抱えながらステージに上がるので、すごく怖かった。それまで私は『100点を出したい』って気持ちが強くて。だけど、先生と話をしてリハビリを続けていくうちに、『その日の全力でできたら、それが最高!』と思えるようになりました。その時々で、できることを出し切ったら、『今日は良いライブができた!』って思えるようになって、受け入れられるものも増えていきました」

回復後の様子を聞くと、腰をかばうように背中を固める癖がついてしまったそう。ピラティスでは背骨を柔らかく使う練習をして、今も意識しながら生活している。

「痛みの出ない状態を長く続けられるように、自分の体をより良く使えるように。体との向き合い方がわかるようになってきて、それが自分を楽にしてくれていると思います」

頑張った自分を褒めてあげることで、次のステップへ

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体と心を整える時間を持つことが、「いまの自分にとってすごくいい」。自身の変化は、パフォーマンスにも刺激を与えているようだ。

「今は音楽にも“柔らかさ”が出てきたように思います。デビュー当時は、『女の子4人でアグレッシブなライブをしているギャップが最高』という評価だったし、自分たちにとってもそれがベストだったけど、それだけじゃない表現も増えてきました。長く演奏できる音楽をいろんなテイストで作っていけたらと思います」

15歳の誕生日にドラムを始めて16年。海外のツアーのためにフランス語を習うなど常に活動に繋がる過ごし方をしてきたが、最近では何かに直接関係しないようなプライベートな時間も大切にしたいと思っている。

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「以前は『休みたくない!』みたいなタイプで、スケジュールも結構詰めていろんなことをやってきました。だからこそ、MAXで走り続けるフェーズはやりきったなとも思います。今は、『ここまでよく頑張ったじゃん!』って自分を褒めてあげられるようになりました。しっかり休めるようにもなったし、プライベートな時間も増えました。音楽のテイストも、仕事のペースも、変化をつけながら長くできるやり方を考えて、表現を続けていけたらなと思っています」

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RINA プロフィール

ガールズバンドSCANDALのドラム・ボーカル。2006年に大阪でSCANDALを結成し、2008年「DOLL」でメジャーデビュー。翌年「少女S」でレコード大賞新人賞受賞。ライブを中心に国内外で活動し、その圧巻のパフォーマンスが高い評価を得ている。近年はファッションアイコンとしても注目を集め、アパレルブランド「FEEDBACK」をプロデュース、2019年にはプライベートレーベル「her」を設立。活動は多岐に渡り、2020年よりモデルのSeinaと共に子育て/女性支援活動を展開している。Instagram:@urarina821

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現在、ワールドツアーを開催中

1月に発売した10thアルバム「MIRROR」を引っ提げて現在ワールドツアーを開催中。国内公演を完走し、7月からは海外公演に。

<SCANDAL WORLD TOUR 2022 “MIRROR” >https://tix.to/scandal/
<FEEDBACK>https://feedback.official.ec
<MAKE A WISH DAISY PROJECT>https://daisyproject.official.ec

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Pilates Room Tokyo

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プライベートレッスン専門のピラティススタジオ。スタイリッシュで洗練された空間はリラックスしながらのびのびと体を動かすことができると人気。レッスン後は中国茶のサービスも。公式HP

Photo: HIDE OHBA Text:HIROMI ONDA(Listen)

Headshot of Kanna Konishi
Kanna Konishi
ウィメンズヘルス・副編集長

編集者として多くのメディアに携わったのち現職。健康オタク歴20年、趣味は"毒出し"で、体と心と部屋を効率よく整え、環境にもいい健康法を探るのがライフワーク。チアリーダー経験あり、勝手に人を応援しがち。仕事では「心から推せるものしか紹介したくない!」と目を血走らせ、常に情熱大陸に上陸中。 

Instagram: @editor_kanna_purico