有酸素運動はダイエットの成功に欠かせない要素の1つ。中でも水泳は、有酸素運動と同時に筋力トレーニングにもなるので、ダイエットに最適なスポーツの一つ。今回は、水泳がダイエットにおすすめの理由と、ダイエットに効果的な水泳の方法、水泳ならではのインターバルトレーニングの組み立て方も伝授!
「水泳は年齢を問わず誰もが楽しめる有酸素運動の1つです」と話すのは、フィットネスジム『Life Time』のシニア水泳コーチで米国公認および米国スクールカウンセラー協会認定水泳コーチのクリス・ガニエ。「水泳は心筋を強くしますし、体重の90%を水が支えてくれるので関節にもやさしいですよ」
実際のところ水泳は、有酸素運動にも筋トレにもなる。水泳では心拍数が増えてカロリーが消費されるだけでなく、さまざまな泳法で水の抵抗に逆らううちに筋肉も鍛えられる。
とはいえ、新しいワークアウトを始めるのには時として勇気が必要。ここから、ダイエットに水泳を取り入れるべき理由と、水泳を効果的に使う方法をレクチャーしていこう。
水泳はダイエットに役立つの?
水中のトレーニングでは、循環器系と筋肉が地上とは違う動きをしなければならない。いつでも息が吸えるわけではないので、肺は呼吸の仕方を変えなければならないし、水に浮かんで泳ぐには全身の筋肉がチームとして働く必要がある。
要するに水泳は、体の全てに火をつける。
ダイエットに水泳を使う5つのメリットをみていこう。
水泳ダイエットのメリット1.衝撃が少ない
水泳なら、足首、手首、ヒザなどの関節痛が悪化することがない。
水中では浮力によって、ほとんど全てが無重力状態になるため、関節がのんびり休める。「毎日のように泳いでもケガの心配はありません」と話すのは、米インディアナ大学カンシルマン水泳科学センターのディレクターで、水泳の効果を何年にもわたり研究しているジョエル・ステイジャー博士。「ランニングや筋トレでは同じようにいきません」
水泳ダイエットのメリット2. 内容に変化を持たせやすい
水泳の最大のメリットは、泳ぎ方が多数あること。クロールが嫌いなら平泳ぎをすればいい。平泳ぎが嫌いでも、バタフライや横泳ぎがある。メニューの内容は完全にあなた次第。
水泳ダイエットのメリット3.循環器系と筋肉を強くする
水泳では、スタミナをつけながら筋肉もつけられる。
ダイエットを長続きさせるには、筋トレと、心拍数を上げるトレーニングを幅広く取り入れることが大切。多忙な現代人にとって、それが同時にできる水泳はありがたい。
水泳ダイエットのメリット4.器具が少なくて済む
シューズさえあればできるランニングとまではいかないけれど、水泳も3つ(水着、キャップ、ゴーグル)だけあればできるスポーツ。市民プールなどを利用すればジムに通うよりも安価でトレーニングができるというのも始めやすいポイント。
水泳ダイエットのメリット5.生物学的に若返る
米国スポーツ医学会のカンファレンスで発表されたデータによると、水泳選手の血圧、コレステロール値、循環器機能、中枢神経系、認知機能は、実年齢よりずっと若い。
このことからもわかるように水泳はアンチエイジングに効果的で、何歳になってもできるのは大きな魅力。
「このデータから、日頃から水泳をしている人は、実年齢より最大で20歳若いことが分かります」とステイジャー博士。
水泳の泳法ごとの消費カロリーは?
水泳コーチのガニエによると、水泳は心拍数を増やし、筋肉を引き締めてくれるので、間違いなくダイエットに役立つ。水泳は、泳法によって筋肉の使われ方が変わる全身運動。体幹と腕と脚を均等に使わないと、水中にとどまっていられない。米ハーバード大学の論文によると、体重が約57kgの人が30分間の水泳で消費するカロリーは以下の通り。
クロール:330kcal
バタフライ:330kcal
背泳ぎ:240kcal
平泳ぎ:300kcal
体重が約84kgの人の場合は、
クロール:488kcal
バタフライ:488kcal
背泳ぎ:355kcal
平泳ぎ:440kcalのカロリー
を消費できるという。
体重で消費カロリーが異なるのは、体が重ければ重いほど、水中で体を動かすために労力を要するから。さらに、体が大きいほど水中の表面積が大きくなるため、抵抗も大きくなり、泳ぎ続けるためにはより多くのエネルギーが必要になる。
水泳で消費するカロリーを左右する要因となるのは、「運動量(強度)」「時間」「体重」「泳法」の4つ。このうち運動量と時間は当然の要因であり、泳ぐ時間が長く、ハードに泳ぐほど消費カロリーは高くなる。
水泳の消費カロリーを他のスポーツと比較してみよう。30分のランニングで消費できるカロリーは、体重が約57kgの人で342kcal、体重が約84kgの人で510kcal。16km/1時間のサイクリングでは、体重が約84kgの人で165kcal、体重が約84kgの人で246kcalしか消費されないそう。よって水泳は、明らかにトップクラスの有酸素運動と言える。
水泳で、脂肪が減って痩せるの?
カロリーを消費しながら筋肉をつけられるので、間違いなく体も変わる。
のんびり泳げば1時間で約500kcal、頑張って泳げば約700kcalのカロリーが消費される。そして、水の密度は空気の密度の800倍。だから、足を蹴ったり、腕を引いたりという動作のひとつ1つが全身の筋トレになる。体幹、股関節、腕、肩、臀筋には特に効く。
また、筋肉がつけば代謝が良くなるので、シャワーを浴びたあとも体はカロリーを燃やし続ける。
水泳は全身運動なので、おなか周りの脂肪にも間違いなく効果的。でも、ガニエが言うように、部分痩せを狙って体の一部だけを鍛える“スポットトレーニング”はNG。なぜなら、体組成と遺伝子が脂肪の貯蓄場所を決める上で重要な役割を果たすから。とはいえ、水泳で体重が減れば体脂肪も全体的に減ってくるので、最終的にはおなかもスッキリするはず。
また、一部の泳法は腹筋をよく使う。「水泳は全身の筋肉を使いますが、バタフライ、背泳ぎ、平泳ぎでは体幹が特によく使われます」とガニエ。「特定の筋肉を集中的に使えば使うほど、その筋肉は引き締まってきますよ」。でも、「おなか周りの脂肪を減らしたいなら、バランスの良いヘルシーな食生活でエクササイズを補うのが一番です」
体重を減らしたいなら、どのくらい泳ぐべき?
初心者は特に、軽い水泳から始めるのがおすすめ。「最初のうちは週に3回、30分泳ぐだけでも十分に効果が出ます」とガニエ。「『こんなところに筋肉があったのか!』と思うはずですよ」
でも、ダイエットの秘訣はカロリーが不足している状態を作ることにある。水泳で消費されたカロリーは、ネット上のカロリー計算機でチェックしよう。最近ではApple Watchでも、水泳をしながら消費カロリーを記録してくれる。
一部のウェブサイト(Compendium of Physical Activitiesなど)では、メッツ(METs)という単位が使われている。メッツは「運動時の代謝率 ÷ 安静時の代謝率」という計算式で割り出され、泳法や強度によって4.8~13.8。体重、MET、所要時間をカロリー計算機に入力すれば、その運動で消費された大まかなカロリー量がはじき出される。
1週間で体重を0.5~1kg減らすには、1日500kcalのカロリーを消費しなければならない。そのためには食べる量を500kcal分減らすか、運動で500kcal燃やすか、その両方を組み合わせるか。体重が60kg弱の成人がハードなバタフライで30分泳ぎ切ると472kcal燃えるので、水泳でカロリーを赤字にするのは比較的簡単。
初心者にオススメの水泳ワークアウト
クロールは一番速いし習得するのも楽なほう。でも、ガニエが初心者に勧めているのは平泳ぎ。「カロリーがかなり消費されますし、水や息継ぎに慣れるまでは、頭を出した状態でも泳げますから」
最初のうちは週に3回、のんびりペースで30分泳げばいい。そこから4週間かけてスピードを上げ、泳ぐ回数を増やしていこう。30分泳ぐことに慣れてきたら、このインターバルワークアウトを試してみて。
- ウォームアップでゆっくりと2往復(息継ぎは片道最大25回)
- 中強度で止まらずに2.5往復
- 高強度または最大速度で止まらずに2.5往復
- クールダウンでゆっくりと2往復
「平泳ぎ以外の泳法を習得したら、ワークアウトのバリエーションを増やして多様な部位を鍛えましょう」とガニエ。「練習すればするほど、速いペースで楽に泳げるようになります」
水泳で、もっとカロリーを燃やすには?
水泳でカロリーの消費量を増やす方法はいくつもある。ワークアウトの難易度を上げたいときは、このアプローチをとってみて。
1.抵抗を強くする。
水中でフィンやレジスタンスバンド、ブイを使えば、抵抗が強くなる。脚や腕を動かしにくくするものなら何でも筋力強化に役立つ。
2.泳法を変える。
泳法の種類によっても結果は大きく変わってくる。最もカロリーを消費するのはバタフライで、平泳ぎ、背泳ぎ、クロールが順に続く。でも、バタフライで1時間泳ぐのは大変なので、4つの泳法をミックスしよう。まずはハードな泳法で1~2分ずつ。疲れ切ったらクロールで体を回復させればいい。
3.インターバルを取り入れる。
泳ぐスピードが速ければ速いほどワークアウトの難易度は高くなるので、水中でHIITをすれば、カロリーの消費量がアップする。「米国スポーツ医学会の調べによると、体重70kgの人がハイスピードのクロールで1時間泳いだ場合は704kcal、スロースピードのクロールで1時間泳いだ場合は493kcalのカロリーが消費されます」とガニエ。でも、ハイスピードで止まらずに泳ぐのは難しいので、インターバルトレーニングにするのがおすすめ。例えば、30秒の全速水泳と30秒の休憩を交互に繰り返す。そうすればスピードとフォームが保ちやすくなり、結果的にパフォーマンスとカロリーの消費量がアップする。
4.水泳コーチをつける。
ガニエによると、水泳コーチと一緒にワークアウトプランを練ったり息継ぎの練習をしたりすれば、ノンストップで泳げる時間とスピードが数カ月で伸びてきて、結果的にカロリーの消費量が多くなる。「初心者にとっては最初が一番大変でしょう」。でも、コーチと一緒に恐怖心やためらいを乗り越えれば、水泳が楽しくなる。
※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。
Text: Nikhita Mahtani Translation: Ai Igamoto
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